乘出のりだ)” の例文
新字:乗出
六丁目ろくちやうめ乘出のりだした自動車じどうしやで、自分じぶん兩國りやうごく乘切のりきらう意氣込いきごみ、が、おもひがけないパンクで、ときぎれば、けたのださうである。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
えず其邊そのへん航路かうろ徘徊はいくわいし、ときにはとほ大西洋たいせいやう沿岸えんがんまでもふね乘出のりだして、非常ひじやう貴重きちやう貨物くわぶつ搭載とうさいしたふねると、たちまこれ撃沈げきちんして、にくよくたくましうしてるとのはなし
なん商人あきうど女房にようばうみせからくるま乘出のりだすは榮耀えいえう沙汰さた御座ござります、其處そこらのかどからいほどに直切ねぎつてつてまゐりましよ、これでも勘定かんぢやうつてますに、と可愛かあいらしいこゑにてわらへば
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あゝ、だまだまり。——あの高橋たかばし汽船きせん大變たいへん混雜こんざつですとさ。——この四五年しごねん浦安うらやすつりがさかつて、沙魚はぜがわいた、まこはひつたと、乘出のりだすのが、押合おしあひ、へしあひ
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『ど、ど、どんな書面しよめんで——。』とわたくし武村兵曹たけむらへいそうとは乘出のりだした。
いま、くるま日盛ひざかりを乘出のりだすまで、ほとんくちにしたものはない。直射ちよくしやするひかりに、くるまさかなやんでほろけぬ。洋傘かうもりたない。たてふゆ鳥打帽とりうちばうばかりである。わたしかた呼吸いきあへいだ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしくるまから、がけうへ乘出のりだした。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯吉たゞきち敷居越しきゐごし乘出のりだしながら
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)