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一掴
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ひとつか
ふりがな文庫
“
一掴
(
ひとつか
)” の例文
むしろ
悪
(
あく
)
どい
刺戟
(
しげき
)
に富んだ、
生
(
なま
)
なましい色彩ばかりである。彼はその晩も膳の前に、
一掴
(
ひとつか
)
みの
海髪
(
うご
)
を枕にしためじの
刺身
(
さしみ
)
を見守っていた。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
遊行上人はこういって、
座右
(
ざう
)
の箱に入れてあった名号の小札を
一掴
(
ひとつか
)
み
無造作
(
むぞうさ
)
に取っておしいただくと、
肩衣袴
(
かたぎぬばかま
)
を附けた世話人が
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
余りにある銭に
竦
(
すく
)
んだようにちょっとためらったが、ひとりが先んじて
一掴
(
ひとつか
)
み取って
退
(
さが
)
ると、同時に、わあっと
凱歌
(
がいか
)
のような歓声があがった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ポケットの中が
空
(
から
)
になると、また木田さんはぼくたちを
一掴
(
ひとつか
)
みポケットの中に入れた。その中にはぼくも
交
(
まじ
)
っていた。
もくねじ
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しばらくして
源
(
げん
)
さんは、ガラス
壺
(
つぼ
)
から
金平糖
(
こんぺいとう
)
を
一掴
(
ひとつか
)
みとり
出
(
だ
)
すと、そのうちの一つをぽオいと
上
(
うえ
)
に
投
(
な
)
げあげ、
口
(
くち
)
でぱくりと
受
(
う
)
けとめました。そして
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
やがて、みぞろが池の御殿へ帰って来ますと、鬼童丸は手下を大広間へ集めて、盗んで来た金銀を山のように積んで、それを
一掴
(
ひとつか
)
みずつ手下にやりました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それを見た豊吉は、
遽
(
には
)
かに元気の好い声を出して、『死んだどウ、此乞食ア。』と言ひながら、
一掴
(
ひとつか
)
みの草を採つて女の上に投げた。『草かけて埋めてやるべえ。』
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
丁度
(
ちやうど
)
荷鞍
(
にぐら
)
の
骨
(
ほね
)
のやうな
簡單
(
かんたん
)
な
道具
(
だうぐ
)
である。
其
(
その
)
足
(
あし
)
から
足
(
あし
)
へ
渡
(
わた
)
した
棒
(
ぼう
)
へ
藁
(
わら
)
を
一掴
(
ひとつか
)
みづゝ
當
(
あ
)
てゝは
八人坊主
(
はちにんばうず
)
をあつちへこつちへ
打
(
ぶ
)
つ
違
(
ちが
)
ひながら
繩
(
なは
)
を
締
(
し
)
めつゝ
編
(
あ
)
むのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ひょいと
島田髷
(
しまだまげ
)
を前へ
俯向
(
うつむ
)
けると、
脊柱
(
せきちゅう
)
の処の着物を
一掴
(
ひとつか
)
み、ぐっと下へ引っ張って着たような襟元に、
尖
(
さき
)
を下にした三角形の、白いぼんの
窪
(
くぼ
)
が見える。純一はふとこう思った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
といって僕が大急ぎで
一
(
ひと
)
かたまりに集めた碁石の所に手を出して
一掴
(
ひとつか
)
み掴もうとした。
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
手際
(
てぎは
)
なもので、
煽
(
あふ
)
ぐ
内
(
うち
)
に、じり/\と
團子
(
だんご
)
の
色
(
いろ
)
づくのを、
十四五本
(
じふしごほん
)
掬
(
すく
)
ひ
取
(
ど
)
りに、
一掴
(
ひとつか
)
み、
小口
(
こぐち
)
から
串
(
くし
)
を
取
(
と
)
つて、
傍
(
かたはら
)
に
醤油
(
したぢ
)
の
丼
(
どんぶり
)
へ、どぶりと
浸
(
つ
)
けて、
颯
(
さつ
)
と
捌
(
さば
)
いて、すらりと
七輪
(
しちりん
)
へ
又
(
また
)
投
(
な
)
げる。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
煙草
(
たばこ
)
の煙の
籠
(
こも
)
り過ぎたのに心づいてわたしは手を伸ばして
瓦塔口
(
かとうぐち
)
の
襖
(
ふすま
)
を明けかけた時彩牋堂へ
宛
(
あ
)
てた手紙を出しに行った女中がその帰りがけ
耳門
(
くぐり
)
の箱にはいっている郵便物を
一掴
(
ひとつか
)
みにして持って来た。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
傍らの乱れ籠の中から
一掴
(
ひとつか
)
みの紙を取り出して、左に持ち換えて引抜いた脇差の身へあてがうと、極めて荒らかにその
揉紙
(
もみがみ
)
で拭いをかけはじめました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お民はやつとかう云つたと思ふと、塩豌豆を
一掴
(
ひとつか
)
みさらつた後、大儀さうに炉側を立ち上つた。……
一塊の土
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それはそれは強そうな、
獅子
(
しし
)
でも
虎
(
とら
)
でも
一掴
(
ひとつか
)
みにしそうな男でした。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「雪が
一掴
(
ひとつか
)
みあればいいと思う。」
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
米友を
一掴
(
ひとつか
)
みにして、引裂いて食ってしまう権幕で迫って来たその
形相
(
ぎょうそう
)
が、人を驚かすに充分です。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あなやと思う間に、その一羽の大鷲が、急に舞い下って、大風にこけつまろびつしている弁信の胸のあたりを見計らい、
一掴
(
ひとつか
)
みに掴んだ、と見れば、そのまま空中高く舞い上ってしまったのです。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
掴
漢検準1級
部首:⼿
11画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥