“俯”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うつむ30.5%
29.6%
15.6%
うつ11.1%
うつぶ3.3%
1.2%
1.2%
1.2%
ウツム1.2%
かが0.8%
0.8%
0.8%
のめ0.8%
うづむ0.4%
かゞ0.4%
ふし0.4%
0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
薄暗い浴槽の中ですが、慣れた眼には、たった一と目で、その中に若い女が、うつむきになって、上半身を沈めているのが判ったのです。
内儀は賊の姿を見るより、ペったりとひざを折り敷き、その場に打ちして、がたがたとふるいぬ。白糸の度胸はすでに十分定まりたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いいにくそうに伝兵衛がいうと、お那珂なかは、畳へ手をついて、何かいうつもりなのが、そのまま、泣きじゃくって、してしまった。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こんどは少し大声で呼ぶと、何と感づいたかN君は、何か落し物でもしたように、足許あしもとへ顔をうつむけてグルグル舞いをするのである。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
手紙を三四行読みかけた時、お文がこんなことを言つたので、源太郎は手紙の上にうつぶいたなりに、首をぢ向けて、お文の方を見た。
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
力のこもったかすれ声で云って、両手で耳のあなふさぎ、眼を潰って、顔を畳へ打つしにするのであった
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、やっと一段落ついたところでお春を部屋の外へ追いやり、そのままテーブルに突っして心の衝撃の静まるのを待った。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「先生、昨夜の連中は毒瓦斯ガスにやられたそうです。症状からみると一酸化炭素の中毒らしいですが、どうも可哀想かわいそうなことをしました」と松ヶ谷学士は下をいた。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
玉が再、砂の上につぶ/″\竝んで見える。アワタヾしく拾はうとする姫のウツムいた背を越して、流れる浪が、泡立つてとほる。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
そこでかれはかがんだ——もっともかねてリュウマチスに悩んでいるから、やっとの思いでかがんだ。
糸くず (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
軍夫たちは、一斉に、わっと喚き合って、草の中へした。——間をいて、また十発ばかり弾が飛んで来た。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前へめるやうな気がして、人々は思はず、荷の上の油紙を引き寄せ、腰から下へ、前垂代りにかけながら、水面の恐ろしい傾斜を、まざまざと正面に見せつけられた
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
太い、逞ましい喬木でも、しんが朽ちているから、うっかりつかまると枝が折れて、コイワカガミや、ミヤマカタバミの草のしとねのめったりする。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
ひめはしばらくさしうづむいてかんがんでられましたが、そのうち次第しだいにそのかたくちびるすこしづつほころびてまいりました。おはなし前後ぜんごをつづりわせると、大体だいたいそれはぎのような次第しだいでございました……。
滅入るやうに前にかゞんで、又ひとうねりの大波を乗つ越すと、瀬の水は白い歯を剥き出して、船底をがりがり噛み始める、水球が飛び散つて、舷側は平手で、ぴちやぴちや叩かれる音がする
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
うちふしすぎて、かぶと頂辺てっぺんを射られるな。水のうえにて身づくろいすな。物の具に透間すきまあらすな。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)