“俯(ぶ)” の例文
力の籠(こも)った掠(かす)れ声で云って、両手で耳の孔(あな)を塞(ふさ)ぎ、眼を潰って、顔を畳へ打つ俯(ぶ)しにするのであった
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「オカシイデスヨ、奥サンガドコニモイラッシャラナイラシイデス」ト云ウノデ、敏子ガ捜スト、妻ハ風呂ニ漬(つ)カッタママ浴槽ノ縁ニ両手ヲ掛ケ、ソノ上ニ顔ヲ打(う)ツ俯(ぶ)セニシテ睡(ねむ)ッテイタ。
鍵 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
面を深く左大臣の背に打つ俯(ぶ)せて、死んだようにぐったりとなりながら、それでもどうやら自分の力で歩みを運んでいるのであったが、さっき御簾からこぼれて見えたきらびやかな袂や裾が
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)