“あぶら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アブラ
語句割合
47.7%
24.2%
11.7%
脂肪9.0%
2.3%
膏血0.6%
香油0.4%
石油0.4%
0.2%
0.2%
凝脂0.2%
桐油0.2%
樹油0.2%
死脂0.2%
灯油0.2%
精脂0.2%
脂油0.2%
脂肉0.2%
膏油0.2%
膏脂0.2%
膏膩0.2%
膚膩0.2%
血脂0.2%
髪油0.2%
魚膏0.2%
鯨油0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
内供は、信用しない医者の手術をうける患者のような顔をして、不承不承に弟子の僧が、鼻の毛穴から鑷子けぬきあぶらをとるのを眺めていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「主人や番頭にあぶらをとられたので、山卯の組はみんな引っ込んでしまったんですが、世間は広いもので、また新手が出て来ましたよ」
半七捕物帳:43 柳原堤の女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
日の光りと、月光げつくわうと、まきの火と、魚油ぎよゆしかなかつた暗いころの、ともあぶらになるなたねの花は、どんなに大切なものであつたらう。
初夏でも夜は山中の冷え、炉には蚊燻かいぶしやら燈火ともしび代りやらに、松ヶ根の脂肪あぶらの肥えた処を細かに割って、少しずつ燃してあった。
怪異黒姫おろし (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
かくして烏瓜は身うちに日に日にあぶらが乗つて来るにつけて、その青白い肌は、若い女のやうにふつくりした胸の円味を持つやうになつた。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
民の膏血あぶらともして
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不思議でしょう! ……あなた此の頃、頭髪あたまに付ける香油あぶらかなんか買って来たでしょう。ちゃんと机の上に瓶が置いてあるというではありませんか。そうして鏡を見ては頭髪かみ
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
小苦面こくめいに首を傾げて聞いてゐたが、松太郎の話が終ると、『何しろハア。今年ア作が良くねえだハンテな。奈何だべなア! 神様さア喜捨あげ銭金ぜにかねが有つたら石油あぶらでも買ふべえドラ。』
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
無名ななしの沼のほとりを、あぶらぎった後家婆さんと、竜之助とは、ブラブラと歩いて行きました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あぶらぎった大きな身体からだをそれに引きずられるように、追いすがるように歩いて
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
マリアのふさぎて膏あぶらぬりし疵——これを開きこれを深くせし者はその足元なるいと美しき女なり 四—六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
夕陽を受けた深海の水藻みずものような黒髪、真っ赤なくび、肩から胴腰から下は水の上に浮いて、トロリとした凝脂あぶらがそのまま、赤い水に溶け込んでしまいそうにも見えるのでした。
むしろを解き、桐油あぶらびきの紙を解いて伊織が——
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
椰子や護謨の樹に燃え移る焔が樹油あぶらにパチパチ刎ねる音や、燃え崩れる小屋の地響きや、敵方の上げる閧の声が、千古斧を入れない森林の夜を戦場のように掻き立てる。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すきだよ、七之助。おまえが今、墓場を掘った鋤じゃないか。流れの中へ忘れてゆくと、いつまで、お千代後家の死脂あぶらが里へ流れて行く——」
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今夜もまた灯油あぶらが切れたのか、もうすっかり暗くなっているのにまだ灯もつけずに、泰軒は例によって万年床から頭だけもたげているものとみえて、何だか低いところから声がしている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
以前は少し劔のある乾いた眼元も、今は色と慾の精脂あぶらでシットリと程よくつや布巾をかけられ、人を小馬鹿にしたようなしゃくった鼻さえも、こうなればいっそ愛嬌に見えようというもの。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
またこれをおおきなちちながれと考えるなら、もっと天の川とよくています。つまりその星はみな、ちちのなかにまるでこまかにうかんでいる脂油あぶらたまにもあたるのです。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
竹の子は一旦鍋へ豚の脂肉あぶらをジューと摺りつけたものでよくりましてそこへ豚の湯煮た肉を少さく切って入れて少しお湯をさして味淋と酒と醤油で味をつけてよく煮ます。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
盡きざる膏油あぶら玉髓ぎよくずゐ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
膏脂あぶら 香 息のつまりさうな唐人と
かめ (新字旧仮名) / 濤音(著)
なんじらがつるぎえたり汝ら剣に食をあたえよ、人の膏血あぶらはよき食なり汝ら剣にあくまで喰わせよ、あくまで人の膏膩あぶらえと、号令きびしく発するや否、猛風一陣どっと起って
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
やはらかな円みの上に、かすかなくぼみが、うすく膚膩あぶらをためてゐる——その膝がわかつたのだ。
世之助の話 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ぬぐいきれない無数の精霊しょうりょう血脂あぶらに——失礼ながら、益なき殺生をただ誇る素牢人すろうにんが——といやな気持に打たれたのです
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さんざなまめかしいところを見せつけられて、梅花の髪油あぶらの匂いを嗅ぎこまされて、このまま庫裡くりに引き取ったところが、思いがのこって、かえって、どうにもならなかったろうぜ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
仕度するところと見え、摺鉢すりばちを鳴らす音は台所の方から聞える。炉辺ろばたで鮠の焼ける香は、ぢり/\落ちて燃える魚膏あぶらの煙に交つて、斯の座敷までもうまさうに通つて来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
りらら、鯨油あぶら
(新字旧仮名) / 新美南吉(著)