魚膏あぶら)” の例文
仕度するところと見え、摺鉢すりばちを鳴らす音は台所の方から聞える。炉辺ろばたで鮠の焼ける香は、ぢり/\落ちて燃える魚膏あぶらの煙に交つて、斯の座敷までもうまさうに通つて来た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)