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頽
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くづ
ふりがな文庫
“
頽
(
くづ
)” の例文
竹苑椒房の音に變り、
破
(
やぶ
)
れ
頽
(
くづ
)
れたる僧庵に如何なる夜をや過し給へる、露深き枕邊に夕の夢を殘し置きて起出で給へる維盛卿。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
突然のやうに、眼の前の大きな邸宅が大砲か爆弾に破壊されて、煉瓦や鉄筋コンクリイトが、ばらばらに
頽
(
くづ
)
れて落ちて来た。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
何を見ても
沈
(
しづむ
)
だ
光彩
(
くわうさい
)
である。それで妙に氣が
頽
(
くづ
)
れて
些
(
ちつ
)
とも氣が
引
(
ひ
)
ツ立たぬ處へ
寂
(
しん
)
とした
家
(
うち
)
の
裡
(
なか
)
から、ギコ/\、バイヲリンを
引
(
ひ
)
ツ
擦
(
こす
)
る響が起る。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
若
(
も
)
しさもあらば、貫一はその身の境遇とともに堕落して
性根
(
しようね
)
も腐れ、身持も
頽
(
くづ
)
れたるを想ふべし、とかくは好みて昔の縁を
繋
(
つな
)
ぐべきものにあらず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
頽
(
くづ
)
れたる家の傍、斷えたる水道の
柱弓
(
せりもち
)
の
畔
(
ほとり
)
を、夢心に過ぎゆけば、血の如く紅なる
大月
(
たいげつ
)
地平線より
輾
(
まろが
)
り出で、輕く白き
靄
(
もや
)
騎者
(
のりて
)
の
首
(
かうべ
)
を
繞
(
めぐ
)
りてひらめき飛べり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
一人は俗謡らしい物を歌ひ一人は口笛を吹いて其れに合せて居る労働者にも
其処
(
そこ
)
で逢つた。サン・ロレンツオ寺の
頽
(
くづ
)
れた
古廊
(
こらう
)
も秋の季節に見るべき物である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
彼かく
頽
(
くづ
)
れて地にありしに、塵おのづからあつまりてたゞちにもとの身となれり 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
撞
(
どう
)
と
音
(
おと
)
するを見れば、斯は如何に
紅色
(
くれなゐ
)
の洋装婦人と踊り狂へる六尺ゆたかの洋人の其の鼻
尤
(
もつと
)
も
鳶
(
とび
)
に似たるが、床の滑かなるに足踏み辷らして、大山の
頽
(
くづ
)
るゝ如く倒れしなりけり。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
暫く見つめて居るうち、一尾の魚が彼の
鉤
(
はり
)
にかゝつたらしい。彼は忽ち姿勢を
頽
(
くづ
)
して、腰から小さな手網を拔きとり、竿を
撓
(
たわ
)
ませて身近く魚を引寄せ、
終
(
つひ
)
に首尾よく網の中に收めて了つた。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
さあれ、城山に登りて見る、本丸、二の丸、三の丸の跡は、青き苔と、
女蘿
(
ひかげ
)
、蔦などに掩はれたる石垣の所々に存するあるにすぎず。それさへ
歳々
(
とし/\
)
に
頽
(
くづ
)
れ墜つといふ、保存の至らぬは悲むべし。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
頽
(
くづ
)
れた築地の上に聳える
日まはり
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
土に
頽
(
くづ
)
るる
音
(
おと
)
聞けば……
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
えは
頽
(
くづ
)
ほれぬ勢や
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
遙
(
はるか
)
に
木隠
(
こがくれ
)
の音のみ聞えし流の
水上
(
みなかみ
)
は浅く
露
(
あらは
)
れて、
驚破
(
すは
)
や、ここに
空山
(
くうざん
)
の
雷
(
いかづち
)
白光
(
はつこう
)
を放ちて
頽
(
くづ
)
れ落ちたるかと
凄
(
すさま
)
じかり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
月の光にすかし見れば、半ば
頽
(
くづ
)
れし門の
廂
(
ひさし
)
に
蟲食
(
むしば
)
みたる一面の
古額
(
ふるがく
)
、文字は危げに往生院と讀まれたり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
頽
(
くづ
)
れ
墮
(
お
)
ちたるついぢの石に、三頭の馬を繋ぎたるが、皆おの/\
顋下
(
さいか
)
に
弔
(
つ
)
りたる一束の
芻
(
まぐさ
)
を噛めり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
燐寸会社の古い
頽
(
くづ
)
れた煉瓦塀に沿ひながら、彼らは歩いて行つた。まだ寒い頃だ。風が吹いて、ウメ子の黒い肩掛がヒラヒラした。話のとぎれた時、突然、ウメ子は云つた。
反逆の呂律
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
中には
活々
(
いき/\
)
と
青草
(
あをくさ
)
の
生
(
は
)
えている古い
頽
(
くづ
)
れかけた屋根を見える。屋根は恰で
波濤
(
なみ
)
のやうに高くなツたり低くなツたりして
際限
(
さいげん
)
も無く續いてゐた。日光の具合で、處々光ツて、そして
黯
(
くろ
)
くなツてゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
身も魂も
頽
(
くづ
)
をれぬ、いでこのままに
常闇
(
とこやみ
)
の
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
土壘
頽
(
くづ
)
れ
夷
(
たひ
)
らぎ
駱駝の瘤にまたがつて
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
子爵は心に喜びつつ写真機の前に進み出で、今や
鏡面
(
レンズ
)
を開かんと構ふる時、貴婦人の頬杖は
忽
(
たちま
)
ち
頽
(
くづ
)
れて、その身は燈籠の笠の上に折重なりて
岸破
(
がば
)
と伏しぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
灰汁
(
あく
)
やうのものを鍋の表面に浮かべてゐたし、また、すし屋の
塵芥箱
(
ごみばこ
)
から、集めて来たらしい、赤い
生薑
(
しやうが
)
の色がどぎつく染まつた種々雑多の形の
頽
(
くづ
)
れたすしやら——すべて、異臭を放ち
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
この岸は土
鬆
(
ゆる
)
ければ、踏むに從ひて
頽
(
くづ
)
るることありといへり。そが上、岸近きところには水牛あまたあり。こは猛き獸にて、怒るときは人を殺すと聞く。されど我はこの獸を見ることを好めり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
膝も
頽
(
くづ
)
さず
端坐
(
たんざ
)
せる姿は、何れ名ある武士の果ならん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
石の
階
(
きざはし
)
頽
(
くづ
)
れ落ち、
水際
(
みぎは
)
に寂びぬ
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
おきよはますます硬い表情でとり残されると云った工合であつた、不健康な生活のために二十五だと云ふのに、
肌理
(
きめ
)
が
荒
(
すさ
)
んで、どことなく
頽
(
くづ
)
れて来た容貌がすでに男を
惹
(
ひ
)
かなくなつただけではなく
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
頽
漢検1級
部首:⾴
16画
“頽”を含む語句
衰頽
頽然
雪頽
頽雪
頽廃
廃頽
頽廃的
胡頽子
頽唐
人雪頽
崩頽
頽勢
敗頽
廃頽的
頽齢
頽廢
廃頽期
頽廢堂
傾頽
頽折
...