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青菜
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あをな
「
酷く
安くなつちやつたな、
寒く
成つちや
保存がえゝのに
却て
安いつちうんだから
丸で
反對になつちやつたんだな」
勘次は
青菜を
桶へ
並べつゝいつた。
天子の
御料の、
畑のある
山里に
蒔いた
青菜も、そこの
吉備の
國人と、
二人で
摘んでゐると、
氣がはれ/″\とすることよ、といふ
意味のことをいはれたのです。
青菜の
下葉はもうよく/\
黄色に
枯れて
居た。お
品は
二人を
出し
薄暗くなつた
家にぼつさりして
居ても
畑の
收穫を
思案して
寂しい
不足を
感じはしなかつた。
いくらか、さうしたものゝ
見えるのは、
或時仁徳天皇が、
吉備のくろ
媛といふ
人を
訪問せられたところが、
青菜を
摘んでゐたのを
見て
作られたといふお
歌であります。
曳いて
來たは
空車で、
青菜も、
藁も
乘つて
居はしなかつたが、
何故か、
雪の
下の
朝市に
行くのであらうと
見て
取つたので、なるほど、
星の
消えたのも、
空が
淀んで
居るのも
勘次はおつぎを
相手に
井戸端で
青菜の
始末をして
居る。
根を
切つて
桶で
洗つた
青菜は、
地べたへ
横へた
梯子の
上に一
枚外して
行つて
載せた
其戸板へ
積まれた。
山縣に
蒔ける
青菜も、
吉備びとゝ
共にし
摘めば、たぬしくもあるか