露西亜ロシヤ)” の例文
旧字:露西亞
露西亜ロシヤのレニン一派の政府のように極端な無抵抗主義に殉じるの愚を演じない限り、一国だけが単独に撤廃されるものではありません。
何故の出兵か (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
「この戦争、それは最悪ワーストに達するまでやみません。日本の為め、露西亜ロシヤの為め、又世界の平和の為め、まことに困ったことであります」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
青年弁士は水ガブ/\とのんで又た手を振り始めぬ、「諸君が露西亜ロシヤ討たざるべからずと言ふけれ共ダ、露西亜の何物を討つと言ふのです」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ああ、そう、早瀬さん、沢山たんとあがって頂戴、お煙草。露西亜ロシヤ巻だって、貰ったんだけれど、島山(夫を云う)はちっともみませんから……
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
露西亜ロシヤのゴルキイが本国を亡命して紐育ニューヨークに行ったことがあるが矢張輿論のために長くその地にとどまることができなかったような事がありました。
亜米利加の思出 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すしでもけたように船に詰込れて君士但丁堡コンスタンチノープルへ送付られるまでは、露西亜ロシヤの事もバルガリヤの事も唯噂にも聞いたことなく、唯行けと云われたから来たのだ。
日本のひとは、おちぶれた異人を見ると、きっと白系の露西亜ロシヤ人にきめてしまう憎い習性を持っている。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
その神経過敏は農業でもやって身体を壮健にすれば自から解消するものだ。だから万事はその上で考えて見る事にせよ。現在の日本は露西亜ロシヤに取られようとしている。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
室に来る医者の一人は国境に去って、今残っているのは露西亜ロシヤ人だ、余り出来そうな男ではない。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
ゴルキーが以前もと放浪者ごろつきで、今肺病患者である。露西亜ロシヤは日本より豪い。我々はまだ年が若い。血のない人間は何処に居るか。……あゝ、一切の問題が皆火の種だ。自分も火だ。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ハウンド」族でも英吉利イギリスの「グレイハウンド」や露西亜ロシヤ「ハウンド」は躰格も立派で中々見栄がするが、伊太利イタリヤ「ハウンド」と来たら翫弄犬おもちやいぬと言はれるだけに脊の高さが一尺
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
各自傲語しているそうだ「わたしは帝政時代の司令官の娘です」「わたしは帝政時代の侍従長の娘です」「わたしは帝政時代の某大公の姪です」「わたし露西亜ロシヤ皇女タチアナ姫のお友達でした」
赤げっと 支那あちこち (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかしかれをして露西亜ロシヤすまわしめたならば、かれかならず十二がつどころではない、三がつ陽気ようきっても、へやうちこもっていたがるでしょう。寒気かんきためからだなに屈曲まがってしまうでしょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一ころ露西亜ロシヤをバイロニズムが風靡ふうびした。そういう時代の世相をえがいたものである。うぶな少年にはその反社会的な行動が深刻に見なされて、矯激な思想の発揚に一種の魅惑を感じた。
こんな縁遠い話をしているうちで、ただ一つ敬太郎の耳に新らしく響いたのは、露西亜ロシヤの文学者のゴーリキとかいう人が、自分の主張する社会主義とかを実行する上に、資金の必要を感じて
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
長崎画ながさきゑ英吉利イギリス人、法朗西フランス人、露西亜ロシヤ、(驚きし如く)おお! おお!
長崎小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「風が消したか? “隙間風すきまかぜ、人を殺す”って北露西亜ロシヤことわざがあるからね」
(新字新仮名) / 楠田匡介(著)
世の露西亜ロシヤを言ふもの、た一に露西亜の皇帝を見、宮室を見、貴族を見、軍隊を見て足れりとなす、何等の不公平にして又た何等の浅学ぞや
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
露西亜ロシヤ人はどの国よりも逸早いちはやくこの点に覚醒して平和の解決を望んだので、その目的は極めて善いのですが、惜しいことに適当な指導者を持たなかったために
三面一体の生活へ (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
並ぶメタルや勲章の数々。それも国家に偉大な功労。捧げた文官武官の連中が。滅多めったに貰えぬドエライ奴だよ。独逸ドイツ仏蘭西フランス英吉利イギリス露西亜ロシヤ。日本なんぞは無かったようだが。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そろそろ倫敦ロンドンへ発つ仕度を始めたが、戦争になってから、急に入用の旅行免状の裏書、これは露西亜ロシヤをはなれてからは、何の用事もなく、荷物の底につっこまれてあった奴だが
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
そうしてちながら、外国がいこくや、露西亜ロシヤ新聞しんぶん雑誌ざっしいてあるめずらしいこと、現今げんこんはこう思想しそう潮流ちょうりゅうみとめられるとかとはなしすすめたが、イワン、デミトリチはすこぶ注意ちゅういしていていた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
人の入られぬ様に厚い枳殻垣からたちがきを繞らして、本丸の跡には、希臘ギリシヤか何処かの昔の城を真似た大理石の家を建てて、そして、自分は雪より白い髪をドツサリと肩に垂らして、露西亜ロシヤの百姓の様な服を着て
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ここに露西亜ロシヤの詩人の言葉がある。
猿面冠者 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「花吉の凄腕せいわん真に驚くべしだ」「露西亜ロシヤに対する日本の態度の曖昧あいまいなのも、君の為めだと云ふうはさだぞ」「松島君に忠告して早く戦争いくさする様にして呉れ給へ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
この講和条件の中には、戦争中に歓迎された露西亜ロシヤ流の無併合、無賠償説の影響のないのは勿論、ウィルソンの堂々たる十四カ条の痕跡こんせきさえ留めていないではありませんか。
非人道的な講和条件 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
お大師様の「あぼきゃあ兵衛べえ露西亜ロシヤのう、中村だあ」式の英語で、毛唐の厄払いか
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ああ絶体絶命ぜったいぜつめい……そうだ。何時いつ貴方あなた露西亜ロシヤには哲学てつがくい、しかしたれも、かれも、丁斑魚めだかでさえも哲学てつがくをすると有仰おっしゃったっけ。しかし丁斑魚めだか哲学てつがくをすればって、だれにもがいいのでしょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
英吉利イギリス露西亜ロシヤがこれに次いで、沢庵たくあん人種はてんで見あたらない。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
五十年前の露西亜ロシヤの青年に劣らず。
呼子と口笛 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
露西亜ロシヤの過激派の行動は一見して非常識であり、その手段において極端不法であることは勿論ですが、しかしその精神は全人類的の愛から出発していることを否むことは出来ません。
三面一体の生活へ (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
現に露西亜ロシヤの学者ミハイロヴスキイは「人格とは労働の発現である」といい、労働する者のみが人格者と呼び得る者であるという風にいって、労働人格説を唱えていることを教えられます。
婦人改造の基礎的考察 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
八歳から後は露西亜ロシヤのトルストイの翻訳物などを読んで、結婚は罪悪である、人種を絶やして無に帰するのが人間の理想だというような迷信がかなり久しい間自分をとらえていたので、自分はもとより
私の貞操観 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)