難船なんせん)” の例文
南洋なんようのあまり世界せかいひとたちにはられていないしまんでいる二人ふたり土人どじんが、難船なんせんからすくわれて、あるみなといたときでありました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
難船なんせん? それはなんですか、本船ほんせんにはえず海上かいじやう警戒みは當番たうばん水夫すゐふがあるです、あへ貴下きかはずらはすはづいです。』
ヴィタリス老人ろうじんは、よく難船なんせんした人の話をした。ある話では、なにも食べ物のないはなれ島に漂着ひょうちゃくした船乗りが、船のボーイを食べてしまったこともある。
するとある日、町からしらせがとどいて、難船なんせんしたとおもった商人の持ち船が、にもつを山とつんだまま、ぶじに港へはいって来たということが分かりました。
おのれ難船なんせんふやうなものか、うぢや。)と、其處そこむねが、(おまへ隨分ずゐぶんつみつくつてるからうだかれぬ。)とこたへられたにや、覺悟かくごもせずばなるまい。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「二三日前、難船なんせんして、やっと、このこうりだけ持って上ったのです。」と、言っておきました。
そのとき朋輩ほうばい難船なんせんして行方不明ゆくえふめいとなり、ついによろこんでもらえなかったというのだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
世界せかいじゅうを、あちら、こちら、あるいて、めずらしいはな種子たねあつめて、おじいさんはひがしほう故郷こきょうかえ途中とちゅうで、この海岸かいがん難船なんせんしたのでした。
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
西國船さいこくぶね難船なんせんにおいらが叔父的をぢき彌次郎兵衞やじろべゑ生命懸いのちがけ心願しんぐわん象頭山ざうづざんさけつたを、咽喉のどもとぎた胴忘どうわすれ、丸龜まるがめ旅籠はたご大物屋だいもつやくとや、茶袋ちやぶくろ土瓶どびん煮附につけ、とつぱこのおしる
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「もしもし、ここで何をしていらっしゃるのですか。難船なんせんでもなすったのですか。」
けると、おきくらで、ものすごい景色けしきでありました。その難船なんせんをしたふねは、かぞえきれないほどであります。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二人ふたりのものが、自分じぶんらの部落ぶらくかえりましたときに、みんなは、どんなにびっくりしたでありましょう。もう難船なんせんをしてんだものとおもっていました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「きっと、あのひとが、あのしまかしらかもしれない。それで、よく難船なんせんをしてもたすかったというので、これをくれたのかもしれない。」と、おつこたえました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「うちのおじいさんがいった。はまねこをころすと、うみがあれて、ふねが、難船なんせんするって。」
はまねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは二年前ねんまえに、うみりょうかけたきりかえってきませんでした。その当座とうざ、たいへんにうみれて、難船なんせんおおかったといいますから、きっと父親ちちおやも、そのなかはいっているのだろうとかなしみなげきました。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
難船なんせんでない。りょうがないというんだぜ。」
はまねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)