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ぞうごん
ふりがな文庫
“
雑言
(
ぞうごん
)” の例文
旧字:
雜言
黙れ黙れえい
老耄
(
おいぼれ
)
! 場所もあろうに
他人
(
ひと
)
の前、吾を大盗と
吐
(
ぬ
)
かしたな! 虎狼の心を抱いた姿と吾に
雑言
(
ぞうごん
)
したからには虎狼の姿を
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ええ、この……女!」と彼はふいにありたけの
雑言
(
ぞうごん
)
を並べながら、
喉
(
のど
)
も裂けよとばかりどなりつけた。(喪服の婦人はもう帰っていた)。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
と、当惑し切ってもじもじしている茶坊主をつかまえて、殿へも聞えよがしの
雑言
(
ぞうごん
)
。たまりかねて野田武蔵、ぐいと百石衛門の方に向き直り
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その夜も険しく眉をひそめて居りましたが、私の甥に向いましても、格別
雑言
(
ぞうごん
)
などを申す勢いはなかったそうでございます。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
右の袖をブラリとゆりうごかし左手に大刀の柄をおさえた異様な浪人者だから、今の
雑言
(
ぞうごん
)
でテッキリ斬られると思った屑屋。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
幼少からわしの側に侍していた
其方
(
そち
)
のことゆえ、わしの前では、甘えていうものとしてゆるすが、人なかではいうな。めったに、そのような
雑言
(
ぞうごん
)
は
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
啖呵
(
たんか
)
を切ったものですから、浪人とはいえ、武士の手前、この
雑言
(
ぞうごん
)
にムッとするかと思うと、釣を楽しんでいる浪人はかえって
和
(
なご
)
やかに笑いました。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と法外な
雑言
(
ぞうごん
)
を申しますから、恒太郎が
堪
(
こら
)
えかねて拳骨を固めて立かゝろうと致しますを、清兵衛が
睨
(
にら
)
みつけましたから、
歯軋
(
はぎしり
)
をして
扣
(
ひか
)
えて居ります。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「なにッ。
雑言
(
ぞうごん
)
申して何を言うかッ。小地たりとも美濃八幡二万四千石、従四位下を賜わる遠藤主計頭じゃ。貴殿に応対の用はない。とく帰らっしゃい」
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
おのれは舌がやわらかなるままに、口から出るに任せてさまざまの
雑言
(
ぞうごん
)
をならべ、この実雅を
塵
(
ちり
)
あくたのように言いおとしめたことを、おれはみな知っている。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
互いに悪口
雑言
(
ぞうごん
)
をし合っていますうちに、相手の男が、親方のお古を頂戴してありがたがっているような意久地なしは黙って引っ込めと怒鳴ったものとみえます。
女難
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
実際この内儀さんの
噪
(
はしゃ
)
いだ
雑言
(
ぞうごん
)
には往来の人たちがおもしろがって笑っている。君は当惑して、
橇
(
そり
)
の後ろに回って三四間ぐんぐん押してやらなければならなかった。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
世間から何一つ批難をお受けにならない大臣を、出まかせな
雑言
(
ぞうごん
)
で悪く言うのはおよしなさい。
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「許しておけば無礼な
雑言
(
ぞうごん
)
、重ねていはば手は見せまじ」「そはわれよりこそいふことなれ、爾曹如きと問答
無益
(
むやく
)
し。
怪我
(
けが
)
せぬ
中
(
うち
)
にその鳥を、われに渡して
疾
(
と
)
く逃げずや」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
諸人の眼に
曝
(
さら
)
されて沿道に溢れる悪口
雑言
(
ぞうごん
)
を浴びながら、蒼白な顔に太々しい笑みをたゝえつゝ
傲然
(
ごうぜん
)
と曳かれて行ったであろう父の餘りな鼻柱の強さが、見ることはおろか
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ところが江戸から連れていった
猪山勇八
(
いのやまゆうはち
)
というのが事をあせって内々村方へ借金の
強談判
(
こわだんぱん
)
に行ったから、村中が評議したのち竹槍を手に手に宿舎をとりまいて
雑言
(
ぞうごん
)
をあびせる。
安吾史譚:05 勝夢酔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ひとりは
悪態
(
あくたい
)
、ひとりは
雑言
(
ぞうごん
)
。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
佐渡守だったから、いいが、もし今日のような
雑言
(
ぞうごん
)
を、列座の大名衆にでも云ったとしたら、板倉家七千石は、
忽
(
たちま
)
ち、
改易
(
かいえき
)
になってしまう。——
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして、門内門外には、戦時同様な
恐
(
こわ
)
らしき武者どもがかために充満していて、これは昼夜、
焚火
(
たきび
)
をかこんで、すき勝手な
雑言
(
ぞうごん
)
や笑い声をあげていた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なにッ。似せ侍とは何を申すかッ。どこを以って左様な
雑言
(
ぞうごん
)
さるるのじゃッ。怪しからぬことほざき召さると、仙台武士の名にかけても許しませぬぞッ」
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
まして今は将軍家のおそばに召されて、若狭の局とも名乗る身に、一応の会釈もせで無礼の
雑言
(
ぞうごん
)
は、鎌倉武士というにも似ぬ、さりとは作法をわきまえぬ者のう。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
葉子が出て行く時には
一人
(
ひとり
)
として葉子に
雑言
(
ぞうごん
)
をなげつけるものがいなかった。それから水夫らはだれいうとなしに葉子の事を「
姉御
(
あねご
)
姉御」と呼んでうわさするようになった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「おのれ、主君を
嘲弄
(
ちょうろう
)
するか! いま一言申して見よ、一刀の下に切り斃してくりょう! ただしは深い意味あって今の
雑言
(
ぞうごん
)
洩らしたか! 返答致せ! えい、
売僧奴
(
まいすめ
)
が!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いまの無礼の
雑言
(
ぞうごん
)
だけでも充分に、免職、
入牢
(
にゅうろう
)
の罪に
価
(
あた
)
いします。けがらわしい
下賤
(
げせん
)
の臆測は、わしの最も憎むところのものだ。ポローニヤス、建設は永く、崩壊は一瞬だね。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ラッキョの味噌漬なんぞと聞くに堪えない
雑言
(
ぞうごん
)
を吐く、道庵自身は相当の
実入
(
みい
)
りがあるのに子分を憐まず、ためにデモ倉やプロ亀の反逆を来たしたことの
卑吝慳貪
(
ひりんけんどん
)
を並べ、そのくせ
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もうきんか頭の光もここらで
萎
(
しぼ
)
むであろうなどと
憚
(
はばか
)
らぬ
雑言
(
ぞうごん
)
が、耳をふさいでも、朝夕に聞えて来るしのう……
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
町人
風情
(
ふぜい
)
の葉ッ葉者が、武士を粗略にした
雑言
(
ぞうごん
)
を吐いたばかりか、ききずてにならぬ事を言いながら、わが旗本退屈男を痩せ浪人ででもあるかのごとくに取扱って
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
太郎は、あまりの
雑言
(
ぞうごん
)
に堪えかねて、立ち上がりながら、
太刀
(
たち
)
の
柄
(
つか
)
へ手をかけたが、やめて、くちびるを急に動かすとたちまち相手の顔へ、一塊の
痰
(
たん
)
をはきかけた。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
やおら
人中
(
ひとなか
)
から立ち上がると、ずかずか葉子に突きあたらんばかりにすれ違って、すれ違いざまに葉子の顔を
孔
(
あな
)
のあくほどにらみつけて、聞くにたえない
雑言
(
ぞうごん
)
を高々とののしって
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
何とかして思い切りむごく振られてみたいものさ、などと天を恐れぬ
雑言
(
ぞうごん
)
を吐き散らして江戸へ着き、あちらこちらと遊び
廻
(
まわ
)
ってみても、別段、馬の目を抜く殺伐なけしきは見当らず
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今の
雑言
(
ぞうごん
)
を聞くからは、もはや一寸も動かぬぞよ!
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一人は
悪口
(
あっこう
)
、一人は
雑言
(
ぞうごん
)
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「イヤ、最前の
雑言
(
ぞうごん
)
は、あれや禅坊主の奥の手でな、
機鋒
(
きほう
)
を
奪
(
と
)
るというやつだが、あの尼はビクともせん」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まだ
雑言
(
ぞうごん
)
をやめ居らぬか。」と、恐ろしい
権幕
(
けんまく
)
で罵りながら、
矢庭
(
やにわ
)
に
沙門
(
しゃもん
)
へとびかかりました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
フランシスの事になるとシッフィ家の人々は父から下女の末に至るまで、いい笑い草にした。クララはそういう
雑言
(
ぞうごん
)
を耳にする度に、自分でそんな事を口走ったように顔を赤らめた。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それはよいが——その文中に、聞きずてならない
雑言
(
ぞうごん
)
を
誌
(
しる
)
してある。それは、おまえの
妊娠
(
にんしん
)
だ。
御鷹
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
張儀の類などと軽々しく口にするはまことに小人の
雑言
(
ぞうごん
)
で、真面目にお答えする価値もない
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だまれ。右大臣家にたいして、恐れ多い
雑言
(
ぞうごん
)
。そち達と同席はできない。立て、立て」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足利
若御料
(
わかごりょう
)
の
礼讃
(
らいさん
)
はまア
笑止
(
しょうし
)
ながら聞き捨ててもおこうが、鎌倉入りの大合戦は、ひとえに、若御料(千寿王)の参陣があったからこそ勝ったのだと
吐
(
ぬ
)
かした
雑言
(
ぞうごん
)
だけはききずてならん。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だまれ。ひとの功をそねんで要らざる
雑言
(
ぞうごん
)
。どこに虎之助が
逆上
(
あが
)
っているか」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なにを
猶予
(
ゆうよ
)
」などと、
雑言
(
ぞうごん
)
を吐きちらしているのも、手にとるように聞えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「控えろ! かかる
狼藉
(
ろうぜき
)
を致しながら無礼な
雑言
(
ぞうごん
)
、捨て置かぬぞッ」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「容易ならんことをやすやす申すが。よも
雑言
(
ぞうごん
)
ではあるまいな」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たちどころに、土間は小酒屋らしい混雑と
雑言
(
ぞうごん
)
で、埋まった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不死人が、一同の
雑言
(
ぞうごん
)
を、叱っていうには
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
雑言
(
ぞうごん
)
するかというんですかえ。それはおとといの晩、酒の上で、
腸
(
はらわた
)
の洗濯に、ぞんぶん吐いて見せた通りでさ。いやあれも酒の上じゃあない、忍ノ大蔵の本心だ。——あっしはこれから、千早の城へ一目散に帰るつもりだ」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“雑言”の意味
《名詞》
様々な悪口。
(出典:Wiktionary)
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“雑言”で始まる語句
雑言交
雑言哉
雑言申