階下かいか)” の例文
それゆゑ二階にかいあるひ三階さんがい居合ゐあはせたひとが、階下かいかとほることの危險きけんおかしてまで屋外おくがいさうとする不見識ふけんしき行動こうどう排斥はいせきすべきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
至極しごく上手の女にあらざれば此おはたやをたつる事なければ、婦女ふぢよらがこれをうらやむ事、比諭たとへ階下かいかにありて昇殿しようでんくらゐをうらやむがごとし。
別莊べつさうはずつとおく樹深きぶかなかつてるのを、わたしこゝろづもりにつてる。總二階そうにかい十疊じふでふ八疊はちでふ𢌞まはえんで、階下かいか七間なゝままでかぞへてひろい。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
階下かいかは大方雜用の物置とお勝手で、格子窓が一つあるのも、こゝに幽閉されたお喜代に、三度の食事を運ぶ役に立つたのは皮肉なことでした。
半助は、耳をたたみにこすりつけて、さらに、階下かいかの声を一語も聞きもらすまいと息をのんでいた。と、下ではまた卜斎ぼくさいの声で
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
階下かいかにある、外来患者がいらいかんじゃひかしつに、かかっている時計とけいの、おとがしました。かぜが、きはじめたようです。まどのガラスは、いつかめられました。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのねこは階下かいかにすむ、ひとりもの老婆ろうばのかわいがっているねこなんだ。ぼくはのいろをうすめるくすりやらそのほかの薬やらを、苦心くしんしてそのねこにのませたんだ。
それ以上いじよう歩行ほこうすることは困難こんなんであつて、たとひ階下かいかかうなどといふ間違まちがつたかんがへをおこしても、それは實行不可能じつこうふかのうであつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
前垂まへだれがけの半纏着はんてんぎ跣足はだし駒下駄こまげた穿かむとして、階下かいかについ下足番げそくばん親仁おやぢのびをするに、一寸ちよつとにぎらせく。親仁おやぢ高々たか/″\押戴おしいたゞき、毎度まいどうも、といふ。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
起きあがろうとする署長しょちょうを、怪物かいぶつ階段かいだんから下にけり落として、動けなくしてしまった。階下かいかには応援おうえん警官けいかんが二人いた。二人はあわてて、ちゅうを飛ぶガウンを追いまわした。
此校舍このこうしや木造二階建もくぞうにかいだてであつたが、地震ぢしんのために中央部ちゆうおうぶ階下かいかまで崩壞ほうかいし、可憐かれん兒童じどう二名程にめいほど壓殺あつさつしたのであつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ドスン……と階下かいか破目板はめいたをたたきやぶる音がした。つづいて、まどガラスがやぶられた。しかし、一階の窓には、のこらず鎧戸よろいどがつけてある。かんたんには侵入しんにゅうできないだろう。