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邀
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むか
ふりがな文庫
“
邀
(
むか
)” の例文
毛受勝助も、いちどは身を
翻
(
ひるがえ
)
して、尾撃の敵を
邀
(
むか
)
えていたが、ふたたび主人の駒の後を追い、勝家のうしろから、なお叫んでいた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〔譯〕心は
現在
(
げんざい
)
せんことを
要
(
えう
)
す。事未だ來らずば、
邀
(
むか
)
ふ可らず。事已に
往
(
ゆ
)
かば、
追
(
お
)
ふ可らず。
纔
(
わづ
)
かに追ひ纔かに邀へば、
便
(
すなは
)
ち是れ
放心
(
はうしん
)
なり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
北條時宗
邀
(
むか
)
え撃って大いに
之
(
これ
)
を
敗
(
やぶ
)
ったことは、
凡
(
およ
)
そ歴史を知るほどの人は
所謂
(
いわゆる
)
「
元寇
(
げんこう
)
の
役
(
えき
)
」として、
誰
(
たれ
)
も
諳
(
そらん
)
じている所である。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
則ち明夜
人定
(
じんてい
)
後脚船一隻を発し、柿崎村海浜の人家無き処に至りて、生らを
邀
(
むか
)
えられよ。生ら
固
(
もと
)
より
応
(
まさ
)
に約に先んじて該地に至り相待つべし。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「今日は四郎に美人を以て招かれたから、この次は、かならず二郎と五郎を
邀
(
むか
)
えて、酒を買って健康を祝そう。」
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
▼ もっと見る
茲に於て彼等は早軍が渡米の途に上らんとする前九日、丗八年三月廿七日を以て得意満面の早軍を自校々庭に
邀
(
むか
)
へ撃ち、一対零を以て撃破して仕舞つた。
野球界奇怪事 早慶紛争回顧録
(新字旧仮名)
/
吉岡信敬
(著)
「
瓢
(
ひよう
)
空
(
むなし
)
く
夜
(
よ
)
は
静
(
しづか
)
にして高楼に
上
(
のぼ
)
り、酒を買ひ、
簾
(
れん
)
を巻き、月を
邀
(
むか
)
へて
酔
(
ゑ
)
ひ、
酔中
(
すいちゆう
)
剣
(
けん
)
を払へば
光
(
ひかり
)
月
(
つき
)
を射る」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
自分の行手から、餓えたる犬が群がって来たのでは、これを
邀
(
むか
)
えては事面倒だし、うっかり後ろを見せればつけ入られる。相手が悪い——とでも思ったのでしょう。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
遠く敵地に侵入して戦線をひろげ兵力を分散して有力な敵の主力を
邀
(
むか
)
へることは不利である。
二流の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
是を祭の始とす。「カピトリウム」の巨鐘は響き渡りて、全都の民を呼び出せり。我は急ぎ歸りて、かの
状師
(
だいげんにん
)
の服に着換へ、再び街に出でしに、假裝の群は早く我を
邀
(
むか
)
へて目禮す。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
入洛競争のテープを切つたのは信長だつたが、甲斐の龍、信玄の鋭鋒を
邀
(
むか
)
へては、あまり勝味のない桶狭間を、も一度繰り返さねばならない破目になつてゐた信長は救はれたわけだ。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
唯
是
(
こ
)
れ関ヶ原の降参武士のみ、常々たる
三河
(
みかわ
)
譜代の八万騎、何の面目あれば彼の降参武士に膝を届すべきやなんて、
大造
(
たいそう
)
な剣幕で、薩長の賊軍を東海道に
邀
(
むか
)
え
撃
(
うた
)
んとする者もあれば
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
公子はやがて孔生を
邀
(
むか
)
えて一つの村へ往った。そこは樹木がまっくらに生えて陽の光が射さない所であった。その家へ入ってみると金色の鴎の形をした浮き鋲を打ったりっぱな旧家であった。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
阿那律すなわち入りて結跏趺坐し、繋念して前に在り。寡婦衆人の眠れる後に語りて言う、大徳我の相
邀
(
むか
)
える所以の意を知れるや
不
(
いな
)
やと。答えて言う、姉妹よ汝が意は正に福徳に在るべしと。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
単于
(
ぜんう
)
はこの報に接するや、ただちに婦女、老幼、畜群、資財の類をことごとく
余吾水
(
しょごすい
)
(ケルレン河)北方の地に移し、
自
(
みずか
)
ら十万の精騎を率いて
李広利
(
りこうり
)
・
路博徳
(
ろはくとく
)
の軍を
水南
(
すいなん
)
の大草原に
邀
(
むか
)
え撃った。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
当時父伊勢守
正倫
(
まさとも
)
が詰衆、正精は
詰並
(
つめなみ
)
で、本庄とは同僚であつた。邸宅も亦同じ小川町にあつた。瑞英は本庄の子を治して功があつたので、棕軒も亦其子のためにこれを
邀
(
むか
)
へたのではなからうか。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
遥か南々西に位する雄峰乗鞍岳に
禦
(
あた
)
るのには、
肩胛
(
けんこう
)
いと広き西穂高岳が、うんと突っ張っている、南方霞岳に対しては、南穂高の鋭峰、東北、常念岳や蝶ヶ岳を
邀
(
むか
)
うには、屏風岩の連峰、北方の
勁敵
(
けいてき
)
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
醒めきれぬまゝに立ち
邀
(
むか
)
はふとしてゐるが……
逸見猶吉詩集
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
逆賊とはいえ、光秀もわしを
邀
(
むか
)
えたら、その一戦が彼のわかれ目じゃ。光秀の智謀才識、到底秀吉の遠く及ぶところでない。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
請う所を
許允
(
きょいん
)
せられなば、則ち明夜初更を以て
号礮
(
ごうほう
)
を約と為し、脚船一隻を発して横浜応接館以東二十許町、海岸絶危し、人家無き処に至りて、生らを
邀
(
むか
)
えられよ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
〔譯〕
獨得
(
どくとく
)
の
見
(
けん
)
は
私
(
わたくし
)
に似る、人其の
驟至
(
しうし
)
に
驚
(
おどろ
)
く。
平凡
(
へいぼん
)
の
議
(
ぎ
)
は公に似る、世其の
狃聞
(
ぢうぶん
)
に安んず。凡そ人の言を
聽
(
き
)
くは、宜しく
虚懷
(
きよくわい
)
にして之を
邀
(
むか
)
ふべし。
狃聞
(
ぢうぶん
)
に
苟安
(
こうあん
)
することなくんば可なり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
五日夜、幸村と勝永天王寺より平野に来り基次に云う、「今夜鶏明道明寺に会し、
黎明
(
れいめい
)
以前に国分の山を越え、前後隊を合し、東軍を嶮隘に
邀
(
むか
)
え、三人討死するか両将軍の首をとるかを決せん」
大阪夏之陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
福山藩士に
稲生
(
いなふ
)
某と云ふものがあつた。其妻が難産をして榛軒が
邀
(
むか
)
へられた。榛軒は忽ち
遽
(
あわた
)
だしく家に還つて、妻志保に「
柏
(
かえ
)
の著換を皆出せ」と命じ、これを
大袱
(
おほぶろしき
)
に
裹
(
つゝ
)
んで随ひ来つた僕にわたした。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
直義はわが身のあやういのを恐れて、一旦は都を落ちのびたが、さらに大軍をあつめて攻めのぼって来たので、尊氏は播磨路まで出てそれを
邀
(
むか
)
え撃つことになった。師直も無論に主君と共に出陣した。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
当然、光春以下、明智勢はそれへぶつかってゆき、堀隊もまた猛然と
邀
(
むか
)
え撃った。馬のうごきも槍の柄も意のままにならないほど道幅も狭い辻である。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〔評〕南洲
弱冠
(
じやくくわん
)
の時、
藤田東湖
(
ふじたとうこ
)
に
謁
(
えつ
)
す、東湖は
重瞳子
(
ちやうどうし
)
、
躯幹
(
くかん
)
魁傑
(
くわいけつ
)
にして、
黄麻
(
わうま
)
の
外套
(
ぐわいとう
)
を
被
(
き
)
、
朱室
(
しゆざや
)
の
長劒
(
ちやうけん
)
を
佩
(
さ
)
して南洲を
邀
(
むか
)
ふ。南洲一見して
瞿然
(
くぜん
)
たり。乃ち室内に入る、一大白を
屬
(
ぞく
)
して
酒
(
さけ
)
を
侑
(
すゝ
)
めらる。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
谷間
攀
(
よ
)
じに迫る秀吉勢を眼下に
邀
(
むか
)
え撃つ戦態にあったが、獅子児一群の奮迅が、忽ち堀切のタテを踏みのぼり、彼が中軍の幾将を槍先に
梟
(
か
)
けるにいたるや
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これを
邀
(
むか
)
え撃つなら、破竹羽柴の精鋭といえ、ついにこの辺りで、さしもの力も尽き、
断弦
(
だんげん
)
の恨み、一挙に勝敗の地をかえて、惨たる敗退を強いられたかもしれないのである。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
如
(
し
)
かず、秀吉の鋭鋒を
躱
(
かわ
)
して、ひとまず坂本まで御退陣の上、
江州
(
ごうしゅう
)
その他に散在しているお味方の勢を一つに結束し、不敗の陣容を
確
(
しか
)
とかためた上、敵をお
邀
(
むか
)
え遊ばすが、ここにおいては
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
邀
漢検1級
部首:⾡
17画
“邀”を含む語句
邀撃
可憐小女去邀賓
呼邀
小邀撃