近在きんざい)” の例文
一生の思出に、一度は近郷きんごう近在きんざいの衆を呼んで、ピン/\した鯛の刺身煮附に、ゆきような米のめしで腹が割ける程馳走をして見たいものだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そしてその活人形いきにんぎょうおどりを見ようとおもって、町の人はもとより、近在きんざいの人まで、うつくしくかざって、町のにぎやかな広場に集ってきました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ここすむ近在きんざい后谷村ごやむらといふあり。此村の弥左ヱ門といふ農夫のうふおいたる双親ふたおや年頃としごろのねがひにまかせ、秋のはじめ信州善光寺へ参詣さんけいさせけり。
醤油屋しょうゆやというのは、むかしからあるみせで、この近在きんざい人々ひとびと得意とくいとしていました。おじいさんもごろっているので、そのいえたずねたのであります。
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
惜まず施し病人へは醫師いしを頼んでくすりのませなどして貧民を救ふ事を常の樂みとなしければ丸龜まるがめ近在きんざいにては後藤半四郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小諸こもろの竹の子は、鴇窪ときくぼという近在きんざいのほうからくるわらびを見て笑いだしました。小諸にはこんもりとした竹の林と言えるほどのものはほとんど見当たりません。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わたしはまえに、お父さんがにおいあらせいとうの栽培さいばいをやっていたと言ったが、この花を作るのはわりあいに容易よういで、パリ近在きんざいの植木屋はこれで商売をする者が多かった。
しや神樣のいかりに觸れるやうなことがあつたら、都家みやこやとは町内の交際つきあひを絶つといふことにまでなつたけれど、幸ひに秋から冬にかけて惡い病も流行はやらず、近在きんざいみな豐作ほうさくで町もうるほふたから
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ここすむ近在きんざい后谷村ごやむらといふあり。此村の弥左ヱ門といふ農夫のうふおいたる双親ふたおや年頃としごろのねがひにまかせ、秋のはじめ信州善光寺へ参詣さんけいさせけり。
おかみは独で肝煎きもいって、家を近在きんざいの人に、立木たちきを隣字の大工に売り、抵当に入れた宅地を取戻とりもどして隣の辰爺さんに売り
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そこの金網かなあみったかごのなかにいるとりめずらしいとりです。おそらく、こんなとりをこの近在きんざいっているひとはありません。つよいことはこのうえなしです。
金持ちと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ば世話致しをるかつ此度の義に付心當りも是有これあらば申立よと申されし時六右衞門つゝしんでかしらを上げ私事は生國三州藤川宿に御座候藤川近在きんざいまかあり候兄の久右衞門儀先年捨子すてご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして、おまつりというのは、このまちにある、あるしゅう本山ほんざん報恩講ほうおんこうであって、近在きんざいからおとこや、おんなてくるばかりでなく、とおいところからもやってきました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
多くの犬と共に、近在きんざいの豚小屋を襲うと云う評判も伝えられた。遅鈍なしろは、豚小屋襲撃引揚げの際逃げおくれて、其着物きものいちじるしい為に認められたのかも知れなかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
に身請する人ありといつはりて五十兩の金をかたとり種々しゆ/″\惡計あくけいはたらきし其根元こんげんたづぬるに國は三しう藤川ふぢかは近在きんざい岩井村いはゐむらの百姓にさく十と云者あり夫婦のなかに子供兩人有てあにを作藏舍弟おとゝ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大根だいこんや、ねぎや、まめや、いもなどを昨日きのうから、近在きんざいの百しょうだちが会場かいじょうんでいますよ。そして、一とうと二とうとは、たいした賞品しょうひんがもらえるということです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)