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貴方
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あんた
ふりがな文庫
“
貴方
(
あんた
)” の例文
何や……
怪我
(
けが
)
に
貴方
(
あんた
)
は何やかて、
美津
(
みい
)
さんは天人や、その人の夫やもの。まあ、二人して装束をお見やす、
雛
(
ひな
)
を並べたようやないか。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴方
(
あんた
)
には
何
(
なん
)
でアノ業平橋で侍に切られる処を助かった大恩があるから、お礼をしていと思っても受けないから、
何
(
なん
)
ぞと思っていた処
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
きいとる人間が、あるちうだけの話じゃなえか! ……だから俺はいうのが厭だというとるに
貴方
(
あんた
)
がいえいえと無理にいわせといて……
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
何卒
(
どうか
)
まあ、
今日
(
こんち
)
のところは、
私
(
わし
)
に免じて許して下さるやうに。ない(なあと同じ農夫の言葉)、省吾さん、
貴方
(
あんた
)
もそれぢやいけやせん。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
貴方
(
あんた
)
は夢を見ておる。まさに実状を顛倒した話じゃ。あの時血は、博士が倒れている周囲にしか流れておらなかったのです」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
「あの
御父
(
おとっ
)
さんの産んだ子だと思うと、厭になってしまう。東京へでも出ていなかったら、
貴方
(
あんた
)
もやっぱりあんなでしょうか」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
剰
(
おまけ
)
に
辛
(
やつ
)
と此の川下へ出たら、何うだえ
貴方
(
あんた
)
、
此間
(
こなひだ
)
の
洪水
(
みづまし
)
に流れたと見えて橋が無いといふ騒ぎぢやないか。それからまた
半里
(
はんみち
)
も斯うして上つて来た。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「さやう、な。けど、
貴方
(
あんた
)
のやうな方が
此方
(
こつち
)
から好いたと言うたら、どんな者でも
可厭
(
いや
)
言ふ者は、そりや無い」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「そない言はんと、まあ考へとみやす。
私
(
わて
)
にしても、
貴方
(
あんた
)
にしても、これまで大石さんには、たんとお金を儲けさせて貰うてまつしやろ、それを今更……」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「……
貴方
(
あんた
)
を見損なって……」
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
貴方
(
あんた
)
行んでおやんなはれ。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
貴方
(
あんた
)
に逢い度いって」
流行作家の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私
(
わし
)
も焼いてしまうべえと思ったが取ってありやすから、これを表向にすれば
貴方
(
あんた
)
のお役にも
拘
(
かゝ
)
わるから、何にも云わずに帰って下せえ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
貴方
(
あんた
)
ばかり殺しはせん。これお見やす、」と忘れたように、血が
涸
(
か
)
れて、
蒼白
(
あおじろ
)
んで、早や動かし得ぬ指を離すと、刻んだように。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
貴方
(
あんた
)
、
好事
(
いいこと
)
を教えて上る」と娘は乗出して、「明日はゆっくりお勝さんの
許
(
とこ
)
へ行って、一緒に小屋の内で本でも読みやれ」
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「なんですと、動機に三つの潮流が……。いや、たしかそれは一つのはずです。法水さん、
貴方
(
あんた
)
は津多子を——遺産の配分に洩れた一人をお忘れかな」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
『莫迦な。』目賀田はそれを
追駆
(
おつか
)
けるやうに又手を挙げた。『
貴方
(
あんた
)
ぢやあるまいし。……若しや袂に入れたかと思つて袂を探したが、袂にもない。——』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「そんな怖い顔をしないどいて! なぜまた
貴方
(
あんた
)
そんな怖い顔をしてわたしの顔ばっかり見ていらっしゃるん?」
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「滅相な、そないとこ
演
(
や
)
つて貰うて溜りまつかいな。大石さんは
貴方
(
あんた
)
、武士道の神やたら言ふやおへんか。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「いや、そんなに悪う取られては
甚
(
はなは
)
だ困る、
畢竟
(
ひつきよう
)
貴方
(
あんた
)
の為を思ひますじやに
因
(
よ
)
つて……」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「そんなことしたって、私
貴方
(
あんた
)
の奥さんにならないわよ。」
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それとも私がお父さんに悪く
取做
(
とりな
)
しでもして居や為ないかと、
貴方
(
あんた
)
が腹でもたてゝいやアしないかと、そればっかり心配して居やしたよ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何や、この
二条
(
ふたすじ
)
の蛇が可恐い云うて?……両方とも、言合わせたように、
貴方
(
あんた
)
二人が、自分たちで、心願掛けたものどっせ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『ほゝゝゝゝ。それはさうと、
御腹
(
おなか
)
が空きやしたらう。何か食べて行きなすつたら——まあ、
貴方
(
あんた
)
は今朝から
何
(
なんに
)
も食べなさらないぢやごはせんか。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
野村は
遂々
(
たうたう
)
恁麽話に
耐
(
こら
)
へ切れなくなつて、其室を出た。事務室を下りて暖炉にあたると、受付の広田が「
貴方
(
あんた
)
新しい足袋だ喃。俺ンのもモウ恁麽になつた。」
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
貴方
(
あんた
)
は、何かの
機会
(
チャンス
)
に、一人の犠牲を条件に、彼女を了解させたのですか。もう
儂
(
わし
)
には、この上釈明する気力もないのです。いっそ、護衛をやめてもらおう。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「また……あの怖い女の人が! 早く
貴方
(
あんた
)
! 早く行って見て!」家内は結い立ての
髷
(
まげ
)
も乱して蒼褪めきって歯の根も合わぬくらいに震えているのでございます。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「お爺さん、わたい
貴方
(
あんた
)
を見送つてから死にたいと思うてましたんやけど……」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
太「はい、伯父様
貴方
(
あんた
)
確
(
しっ
)
かりしねえではいけませんよ、七十八十の爺さまではなし、死ぬなんぞという
弱
(
よえ
)
え気を出しては駄目でがんす」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この意をじゃね、願わくは
貴方
(
あんた
)
から国手にお伝えのほどを
偏
(
ひとえ
)
に希望します。私は職務上の過失であらば
責
(
せめ
)
を負うです。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『あれ、
貴方
(
あんた
)
は起きなすつたばかりぢやごはせんか。
階下
(
した
)
で食べなすつたら?
御味噌汁
(
おみおつけ
)
も温めてありやすにサ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『蝙蝠傘を
翳
(
さ
)
してるのになあ、
貴方
(
あんた
)
、それだのに此の禿頭から
始終
(
しよつちゆう
)
雫が落ちてくるのですものなあ。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「じゃ、ど、どこにいるって云うのよ。
貴方
(
あんた
)
は三伝が、いったいどこにいるって云うのよ」
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「
貴方
(
あんた
)
はん、また
雷鳴
(
かみなり
)
どつせ。どないしまほ、
妾
(
わて
)
あれ聞くと頭痛がしまつさ。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
貴方
(
あんた
)
の兄さんには、女ができている……そしてお母さんを、
殺
(
あや
)
めている……。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
角「それがサ、あのお梅という
娘
(
こ
)
は
七歳
(
なゝつ
)
の時に保泉村の原中で
勾引
(
かどわ
)
かされたお
榮
(
えい
)
という娘だが、何うしてそれを
貴方
(
あんた
)
が娘にしなすったえ」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
で、
私
(
わし
)
が職務としてではない。
一
(
いつ
)
個人として、私一
人
(
にん
)
として、じゃね、……非常に先達ては失敬した、
詫
(
わび
)
をします、と
貴方
(
あんた
)
からよう言うて貰いたいのじゃ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そうかなし」とお春は振向いて、嬉しそうな
微笑
(
えみ
)
を見せた。「
貴方
(
あんた
)
の島田も
恰好
(
かっこう
)
が好く出来た」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『
貴方
(
あんた
)
が泣くべさ。』と云つて、フワリと手巾を私の顔にかけた儘、バタ/\出て行つた。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「兄さん、
貴方
(
あんた
)
はお母さんに、飛んでもないことをしてくれたね?」
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「ここへ連れて来られるとき、
貴方
(
あんた
)
は前後不覚だったじゃないの。間違えて……、ほんとうに、
姐
(
ねえ
)
さんの可哀想なことったらね。私と感違いして、顔もろくろく見ずに、貴方が殺ってしまったにちがいないわ」
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
悪
(
わり
)
い跡は
善
(
よ
)
いだアから
貴方
(
あんた
)
も気を落さずに身体を
大切
(
でいじ
)
にして下せえまし、何事も子供と年寄に免じて勘忍しておくんなさいよ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし
貴方
(
あんた
)
の前じゃけれどお夏さんは珍しい
御容色
(
ごきりょう
)
よし、ほんのこと内なぞはおつきあいがおつきあいじゃから、御華族様から
大商人方
(
おおあきんどがた
)
の弟子も沢山見えるけれど
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わし
)
は神様に使はれる身分で、何も食物の事など構はんのぢやが、
稗飯
(
ひえめし
)
でも構はんによつて、モツト安く泊める
家
(
うち
)
があるまいかな。奈何だらうな、重兵衛さん、
私
(
わし
)
は
貴方
(
あんた
)
一人が
手頼
(
たより
)
ぢやが……
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「あれ、そんな
貴方
(
あんた
)
のような無理な——私は笑いもどうもしやせんよ」
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
市「ねえ此の人が証拠で、神様から貰った
私
(
わし
)
が身体を
打
(
ぶ
)
ったから
打返
(
ぶちかえ
)
しただ、ねえ、だから
貴方
(
あんた
)
の
些
(
ちっ
)
たア手助かりをしたゞ」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
貴方
(
あんた
)
、大抵の事は、ここで
饒舌
(
しゃべ
)
って可えですか。ある種の談話は
憚
(
はばか
)
らんでも構わんですかい。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『持つて来て
上
(
あげ
)
るで。あのね、』と笑つたが『
貴方
(
あんた
)
好
(
え
)
え物持つてるだね。』
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
貴方
(
あんた
)
、お願いでごわすが、
爰
(
ここ
)
から家へ帰って下さい」
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
馬「乗り度くねえたって乗ってお呉んなせえな、馬にも
旨
(
うめ
)
え物を喰わして遣りてえさ、立派な旦那様、や、
貴方
(
あんた
)
ア安田さまじゃありやせんか」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“貴方”の意味
《名詞:あなた》
「あなた」を参照。
《名詞:きほう》
相手を敬って相手のいる場所を指す語。
同等の相手を敬って言う二人称。あなた。
(出典:Wiktionary)
“貴方(
あなた
)”の解説
あなた(彼方、貴方、貴男、貴女)は、特定の人物を直接呼ぶ際に用いる日本語の人称名詞である。また、指示語の一つで、彼方(かなた、あなた、「遠くに在るもの」の意)にある様。此方(こなた、「近くに有るもの」の意)の対義語。
(出典:Wikipedia)
貴
常用漢字
小6
部首:⾙
12画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“貴方”で始まる語句
貴方様
貴方方
貴方等
貴方々
貴方樣
貴方所
貴方達
貴方々々