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誘惑
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ゆうわく
ふりがな文庫
“
誘惑
(
ゆうわく
)” の例文
僕がさきに述べた、
艱難
(
かんなん
)
誘惑
(
ゆうわく
)
を仮想的に描いて、これに対する方法を定めよとは、まことに子供らしいことはわが輩も承知である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
はたして、伊那丸の
主従
(
しゅじゅう
)
は、
捕
(
と
)
らえられもせぬじぶんたちが、きょう
刑場
(
けいじょう
)
で
斬
(
き
)
られるといううわさを聞いて、
奇異
(
きい
)
な感じに
誘惑
(
ゆうわく
)
された。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この位美しい女に、
誘惑
(
ゆうわく
)
された以上、男として手を
拱
(
つく
)
ねていることはないと思ったので、
一緒
(
いっしょ
)
に
寝
(
ね
)
た。割合い広い家なのに、家人は一人もいない。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そのままでゆけば何でもないのであったけれど……。千穂子は
臆病
(
おくびょう
)
であったために、ふっとした肉体の
誘惑
(
ゆうわく
)
を
避
(
さ
)
けることが出来なかったのだ……。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そして、ごまかしの
誘惑
(
ゆうわく
)
や、一
時
(
じ
)
の
宣伝
(
せんでん
)
にとりことなるのを
警戒
(
けいかい
)
し、
自己
(
じこ
)
の
信
(
しん
)
ずる
人
(
ひと
)
に
投票
(
とうひょう
)
しようとしたのであります。
心の芽
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
たちまち次の電光は、マグネシアの
焔
(
ほのお
)
よりももっと明るく、
菫外線
(
きんがいせん
)
[※6]の
誘惑
(
ゆうわく
)
を、力いっぱい
含
(
ふく
)
みながら、まっすぐに地面に落ちて来ました。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この金力を同じくそうした意味から眺めると、これは個性を拡張するために、他人の上に
誘惑
(
ゆうわく
)
の道具として使用し得る至極重宝なものになるのです。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中学生の頃から
誘惑
(
ゆうわく
)
が多くて、十七の歳女専の生徒から
口説
(
くど
)
かれて、とうとうその生徒を妊娠させたので、学校は放校処分になり、家からも勘当された。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「たい焼き屋がきたためにみなが校則をおかすようになりますから、みなの
誘惑
(
ゆうわく
)
を防ぐためにぼくがやりました」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
成経 わしは
昨日
(
きのう
)
巌
(
いわ
)
の上に立って、一そうの船も見えない、荒れ狂う海を見ていたとき、強い強い
誘惑
(
ゆうわく
)
を感じた。わしは足がすべって前にのめりそうな気がした。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
けれども姫は自分の
云
(
い
)
い出したすがすがしい計画から
誘惑
(
ゆうわく
)
され、
身体
(
からだ
)
がむずがゆくなって一刻の
猶予
(
ゆうよ
)
もなく河水に
浸
(
ひた
)
らねば居られぬ気持ちにせき立てられるのでした。
鯉魚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その
頃
(
ころ
)
、ぼくは、銀座のシャ・ノアルというカフェのN子という女給から、
誘惑
(
ゆうわく
)
されていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
口を
極
(
きわ
)
めて
誘惑
(
ゆうわく
)
するんですから、下地のある連中はトテモたまりません。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ただ塾生たちには、おかしら付きの鯛というものが
妙
(
みょう
)
に印象に残るらしいので、ついそれに私たちが
誘惑
(
ゆうわく
)
されてしまうのです。それも教育の一手段だという口実もありましてね。はっはっはっ。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そのことばは、早く楽になるから溺死しなさいと
誘惑
(
ゆうわく
)
している。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうなるとカピまでが
誘惑
(
ゆうわく
)
に負けないとは言えぬ。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
一、
賭博
(
とばく
)
のよろしくないことはつくづく親の話によって承知し、いかなる
誘惑
(
ゆうわく
)
があるとも、
賭博
(
とばく
)
などには手を出すまいぞという思想を
抱
(
いだ
)
いた。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
わが妹を
誘惑
(
ゆうわく
)
して
堕落
(
だらく
)
の
境
(
さかい
)
にひきこもうとしつつあるチビ公をさがしまわった光一がいま松の下陰で見たのはたしかに妹文子の
片袖
(
かたそで
)
とえび茶のはかまである。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
武者たちは、顔見あわせて、かれの弁舌に、ふと、
誘惑
(
ゆうわく
)
をおぼえた様子だったが、
組頭
(
くみがしら
)
かと見える男は、突然、かれの
縄目
(
なわめ
)
を自分の手に持ち直して、どなりつけた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青
(
あお
)
い
星
(
ほし
)
を
見
(
み
)
た
刹那
(
せつな
)
から、
彼女
(
かのじょ
)
を
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へとしきりに
誘惑
(
ゆうわく
)
する
目
(
め
)
に
見
(
み
)
えない
不思議
(
ふしぎ
)
な
力
(
ちから
)
がありました。
青い星の国へ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その白いうなじに、坂本は
接吻
(
せっぷん
)
したい
誘惑
(
ゆうわく
)
を
烈
(
はげ
)
しく感じたが、二人の
純潔
(
じゅんけつ
)
のために、それをも差し
控
(
ひか
)
えて、右の手を
伸
(
の
)
ばし、
豊穣
(
ほうじょう
)
な彼女の肉体を初めて抱きしめたのである
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
わが
同胞
(
どうほう
)
はだいたいにおいて
貧乏
(
びんぼう
)
であるから、
富貴
(
ふうき
)
の
誘惑
(
ゆうわく
)
なるものを知らない。
貧乏人
(
びんぼうにん
)
が金持を批評することは、とかく見当が違うことが多い。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
活動写真、飲食店、諸君がいつも
誘惑
(
ゆうわく
)
を受けるのはこれである。娯楽には友達が必要である、諸君はこのために活動の友達や飲食の友達ができる。不良気分がここから
胚胎
(
はいたい
)
する。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
久
(
ひさ
)
しぶりで
甲府
(
こうふ
)
という都会のふんいきをかいだ蛾次郎には、さまざまな
食
(
た
)
べ物の
慾望
(
よくぼう
)
、みたいものや聞きたいものの
誘惑
(
ゆうわく
)
、なにを見ても買いたい物、欲しいものだらけであった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
街
(
まち
)
に
輝
(
かがや
)
いた
火影
(
ほかげ
)
に、つい
誘惑
(
ゆうわく
)
されて、りんごの
花
(
はな
)
の
警
(
いまし
)
めも
忘
(
わす
)
れて、
飛
(
と
)
んでいくと、そこにはいい
音楽
(
おんがく
)
が
聞
(
き
)
こえたり、
唄
(
うた
)
の
声
(
こえ
)
がしたり、ほかに
美
(
うつく
)
しい
塔
(
とう
)
や、
噴水
(
ふんすい
)
や
銅像
(
どうぞう
)
などがあったり
北海の波にさらわれた蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼女
(
かのじょ
)
は、その
小鳥
(
ことり
)
の
歌
(
うた
)
が、なんだか
自分
(
じぶん
)
まで
誘惑
(
ゆうわく
)
するような
気持
(
きも
)
ちがしたのです。
ふるさとの林の歌
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
誘
常用漢字
中学
部首:⾔
14画
惑
常用漢字
中学
部首:⼼
12画
“誘惑”で始まる語句
誘惑物
誘惑的