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萠黄
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もえぎ
ふりがな文庫
“
萠黄
(
もえぎ
)” の例文
大三郎は組中でも評判の美少年で、黒の
肩衣
(
かたぎぬ
)
に
萠黄
(
もえぎ
)
の袴という継𧘕𧘔を着けた彼の前髪姿は、芝居でみる忠臣蔵の
力弥
(
りきや
)
のように美しかった。
半七捕物帳:11 朝顔屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
廻禮の
麻裃
(
あさがみしも
)
や、供の
萠黄
(
もえぎ
)
の風呂敷が、チラリホラリと通るだけ、兩側の店も全く締めて、松飾りだけが、青々と町の風情を添へて居ります。
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一同出立には及びたり其
行列
(
ぎやうれつ
)
には第一番の
油箪
(
ゆたん
)
掛
(
かけ
)
し長持十三
棹
(
さを
)
何れも
宰領
(
さいりやう
)
二人づつ
附添
(
つきそひ
)
その跡より
萠黄
(
もえぎ
)
純子
(
どんす
)
の油箪白く
葵
(
あふひ
)
の御
紋
(
もん
)
を染出せしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
町家の
内儀
(
ないぎ
)
や娘らしいのがそれぞれに着飾って、
萠黄
(
もえぎ
)
の風呂敷包などを首から下げた
丁稚
(
でっち
)
を供に
伴
(
つ
)
れて三々伍々町を歩いている。
長閑
(
のどか
)
な景色だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
唐綾縅
(
からあやおどし
)
の
鎧
(
よろい
)
を着、柿形兜を
猪首
(
いくび
)
にかむり、渋染め
手綱
(
たづな
)
に
萠黄
(
もえぎ
)
の
母衣
(
ほろ
)
、こぼれ桜の
蒔絵
(
まきえ
)
の鞍、五色の
厚総
(
あつぶさ
)
かけたる
青駒
(
あおごま
)
、これに打ち乗ってあらわれた武士は
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
どう/\と
降
(
ふ
)
る
中
(
なか
)
を、がうと
山
(
やま
)
に
谺
(
こだま
)
して
行
(
ゆ
)
く。がらんとした、
古
(
ふる
)
びた
萠黄
(
もえぎ
)
の
車室
(
しやしつ
)
である。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「十一
半
(
はん
)
さ、
近頃
(
ちかごろ
)
どうも
安
(
やす
)
くつてな」
商人
(
あきんど
)
はいひながら
淺
(
あさ
)
い
目笊
(
めざる
)
へ
卵
(
たまご
)
を
入
(
い
)
れて
萠黄
(
もえぎ
)
の
紐
(
ひも
)
のたどりを
持
(
も
)
つて
秤
(
はかり
)
の
棹
(
さを
)
を
目
(
め
)
八
分
(
ぶ
)
にして、さうして
分銅
(
ふんどう
)
の
絲
(
いと
)
をぎつと
抑
(
おさ
)
へた
儘
(
まゝ
)
銀色
(
ぎんいろ
)
の
目
(
め
)
を
數
(
かぞ
)
へた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そこには、竹藪に囲まれ雑草の生い茂った空地に、一軒の
荒屋
(
あばらや
)
が建っていた。六畳一間きりの屋内は、戸も障子もなくて見通しである。その部屋一杯に、色褪せた
萠黄
(
もえぎ
)
の
古蚊帳
(
ふるかや
)
が吊ってある。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
雨のこる
萠黄
(
もえぎ
)
の月の円き
暈
(
かさ
)
いまだ寒けれど遠く蛙啼く
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その束は、大小六つの鍵を、
萠黄
(
もえぎ
)
の紐の紐に通して、
乾漆
(
ほしうるし
)
の見事な根付けで腰に提げるやうにしたものです。
銭形平次捕物控:231 鍵の穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
遠
(
とほ
)
く
離
(
はな
)
れた
寺
(
てら
)
からは
住職
(
ぢうしよく
)
と
小坊主
(
こばうず
)
とが、
褪
(
さ
)
めた
萠黄
(
もえぎ
)
の
法被
(
はつぴ
)
を
着
(
き
)
た
供
(
とも
)
一人
(
ひとり
)
連
(
つ
)
れて
挾箱
(
はさみばこ
)
を
擔
(
かつ
)
がせて
歩
(
ある
)
いて
來
(
き
)
た。
小坊主
(
こばうず
)
は
直
(
すぐ
)
に
棺桶
(
くわんをけ
)
の
葢
(
ふた
)
をとつて
白
(
しろ
)
い
木綿
(
もめん
)
を
捲
(
ま
)
くつて
窶
(
やつ
)
れた
頬
(
ほゝ
)
へ
剃刀
(
かみそり
)
を
一寸
(
ちよつと
)
當
(
あ
)
てた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
かの森と、丘の
萠黄
(
もえぎ
)
と
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
八五郎は
萠黄
(
もえぎ
)
の組紐を一本見付けたのです。長さは四尺くらゐもあるでせうか、細くて弱さうな紐ですが、先に結び目をつけて、ひどく
埃
(
ほこり
)
で汚れてゐるのが氣になります。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
萠黄
(
もえぎ
)
の月の眉引に
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
尤
(
もつと
)
も
長押
(
なげし
)
へ釘を打てば何んでもないが、それでは家がたまらないから、
欄間
(
らんま
)
から
鴨居
(
かもゐ
)
へ紐を一本通してくれと仰しやつて、私は
萠黄
(
もえぎ
)
の細い紐を見付けて通して上げました。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
咄嗟
(
とつさ
)
の智惠で、蒲團を包む
萠黄
(
もえぎ
)
の大風呂敷を
冠
(
かぶ
)
ると、
箪笥
(
たんす
)
の中の脇差を拔いて、いきなり勘太郎を突殺してしまつた。巾着を盜むところを見られると、隱居殺しまで露見する。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あらゆる出入りの可能性を否定して春の
萠黄
(
もえぎ
)
色の空に突つ立つて居るではありませんか。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
善五郎を殺したのは、間違ひもなく
扱帶
(
しごき
)
だ。
鴨居
(
かもゐ
)
にはそれを掛けた跡があり、
縮緬
(
ちりめん
)
の扱帶の端には、
萠黄
(
もえぎ
)
の紐を結んだ跡まで殘つて居る。下女のお元の話を聽いて、俺は、何も彼も讀んで了つたよ
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
萠
漢検準1級
部首:⾋
11画
黄
常用漢字
小2
部首:⿈
11画
“萠黄”で始まる語句
萠黄縅
萠黄色
萠黄金襴
萠黄唐草
萠黄緞子
萠黄股引