あれ)” の例文
隨分ずゐぶんあれえことしたとえつけな、らも近頃ちかごろになつてくれえな唐鍬たうぐは滅多めつたつたこたあねえよ、」鍛冶かぢあかねつした唐鍬たうぐはしばらつちたゝいて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
山はあれ氣味で、吹おろす風が強かつた。道ばたの蕎麥の畑から山鳩が飛んだ。友達は直に身構へた。銃聲が山に響いてこだました。傷ついた鳩は少しさきの豆畑に落ちた。
山を想ふ (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
山家の人のはなしに熊をころすこと二三疋、あるひはとしたる熊一疋を殺も、其山かならずあるる事あり、山家さんかの人これを熊あれといふ。このゆゑに山村さんそん農夫のうふもとめて熊をとる事なしといへり。
それでもいゝなら遠慮はないから出る処へ勝手におなせえ、本当ならおいらが方から出べいと思うんだが、そんなあれえ事もしたくねえから、五両の金を上げべえから、草鞋銭と思って
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
己にゃあその隅に、お前のうしろに、フリント親分が見えてるんだ。刷物すりものみてえに、はっきりと見えてるんだ。もし酒精中毒を起すとなると、己ぁあれえ渡世をして来た男だ、大騒ぎを起すぜ。
うしお遠く引きさりしあとに残るはちたる板、ふち欠けたるわん、竹のきれ、木の片、柄の折れし柄杓ひしゃくなどのいろいろ、皆な一昨日おとといの夜のあれ名残なごりなるべし。童らはいちいちこれらを拾いあつめぬ。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
予が阿婆良気はアバラヤ(亭)同様あれすさんだ義で毛無と近くほとんど相通じたらしく、かくて不毛をアバラケ、それよりカワラケと転じ呼んだだろうと述べたはこの二島の名を混合した誤解で
捕へしやとぶ如くに馳戻はせもどむらがる中へ切入ど彼方は名におふあれくれども手に/\息杖棒いきづゑぼうちぎり打合ふ折から又四五人どてかげよりあらはいで疊んで仕舞へとのゝしり前後左右を追取卷打込棒は雨よりしげく多勢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あれだちし波に心は騒がねどよせけんいそをいかが恨みぬ
源氏物語:07 紅葉賀 (新字新仮名) / 紫式部(著)
あれたるたちの花妻の
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
あんた取合わずにまア柳に受けて居て下さると、あれえこともめえから、打遣うっちゃらかして居て下すって、其の時云った事が貴方のお気に障れば、其の時はどんなにきもがいれる事があっても
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うけたる者も今は見放みはな寄付よりつかず身近き親類なければ何語らんも病の親と私しと二人なれば今迄いままで御定宿の方々も遂にわきへ皆取られ只一人も客はなし其上去々年をととし山津浪やまつなみあれたる上に荒果あれはて宿やどかる人も猶猶なく親子の者の命のつな絶果たえはてる身の是非もなく宿のはづれに旅人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)