給金きふきん)” の例文
自分じぶんみせつて註文ちうもんるほどの資力しりよくはないまでも、同業どうげふもとやとはれて、給金きふきんらうなら、うした力業ちからわざをするにはあたらぬ。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うらやまずあしたよりくるるまで只管ひたすら米をつきつぶにてもむだにせず其勤め方信切しんせつなりければ主人益々悦び多くの米も一向に搗減つきへりなく取扱ひ夫より其年の給金きふきん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
與吉よきちが三つにつたのでおつぎはよそ奉公ほうこうすことに夫婦ふうふあひだには決定けつていされた。ころ十五のをんなでは一ねん給金きふきん精々せい/″\ゑんぐらゐのものであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
持せて遣度やりたき者なれども知らるゝ如く我等は此家へ奉公はすれども給金きふきんを取身分にも有ねば一兩の工面くめんも成難き夫故に種々いろ/\工夫くふうせしに一ツの計略を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
給金きふきんをのこらず夜具やぐにかける、くのが二枚にまいうへへかけるのが三枚さんまいといふ贅澤ぜいたくで、下階した六疊ろくでふ一杯いつぱいつて、はゞかりへきかへりあし踏所ふみどがない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そらなあ、いくつとめたつて途中とちうだからなんてつちめえば、りただけ給金きふきんはみんなつくるえされんのよ、なあ、それからき/\もなくつちやなんねえのよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ふくろはおしないてるので、勘次かんじ不足ふそく婿むこおもつてはなかつた。勘次かんじそのくれまた主人しゆじんまかせるはず前借ぜんしやくした給金きふきんを、おしなうちんだのでおふくろかへつよろこんでた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
にくみけるが或時給金きふきん三兩を田舍ゐなかつかはさんとて手紙てがみふう瀬戸物町せとものちやうの島屋へ持行もちゆき途中とちう橋向はしむかふにて晝抅盜ひるとんびうばはれ忙然ばうぜんとして立歸たてかへりしがかねを取れてはまた一年奉公ほうこうを爲ねばならぬと力を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)