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純白
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じゆんぱく
温泉は、やがて
一浴した。
純白な
石を
疊んで、
色紙形に
大く
湛へて、
幽かに
青味を
帶びたのが、
入ると、
颯と
吹溢れて
玉を
散らして
潔い。
洗つては
乾し/\
屡それが
反覆されてだん/\に
薄青く、さうして
闇の
夜をさへ
明くする
程純白に
曝された。
食卓は、
人数が
人数だけに、左程大きくはなかつた。部屋の
広さに比例して、
寧ろ
小さ
過る位であつたが、
純白な卓布を、取り集めた花で
綴つて、
其中に
肉刀と
肉匙の
色が
冴えて
輝いた。
と
籠を
開ける、と
飜然と
來た、が、
此は
純白雪の
如きが、
嬉しさに、
颯と
揚羽の、
羽裏の
色は
淡く
黄に、
嘴は
珊瑚の
薄紅。
おつぎは
釣瓶の
竹竿が
北から
打つける
雪の
爲に
竪に
一條の
白い
線を
描きつゝあるのを
見た。ちら/\と
目を
昏すやうな
雪の
中に
樹木は
悉皆純白な
柱を
立て、
釣瓶の
縁は
白い
丸い
輪を
描いて
居る。
と
婀娜たる
聲、
障子を
開けて
顏を
出した、
水色の
唐縮緬を
引裂いたまゝの
襷、
玉のやうな
腕もあらはに、
蜘蛛の
圍を
絞つた
浴衣、
帶は
占めず、
細紐の
態で
裾を
端折つて、
布の
純白なのを