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窘
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くるし
ふりがな文庫
“
窘
(
くるし
)” の例文
所が、昨年の秋からまた精神に何か動揺が起ったらしく、この頃では何かと異常な言動を発して、私を
窘
(
くるし
)
める事も少くはございません。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
毀
(
こぼ
)
れたる柱、碎けたる石の間には、
放飼
(
はなしがひ
)
の
驢
(
うさぎうま
)
あり、牛ありて草を
食
(
は
)
みたり。あはれ、こゝには猶我に迫り、我を
窘
(
くるし
)
めざる生物こそあれ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼はこの長者の
窘
(
くるし
)
めるを
傍
(
よそ
)
に見かねて、貫一が枕に近く差寄りて
窺
(
うかが
)
へば、涙の顔を
褥
(
しとね
)
に
擦付
(
すりつ
)
けて、
急上
(
せきあ
)
げ急上げ
肩息
(
かたいき
)
してゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
夫れ
憎
(
にくみ
)
を天にうくる一切の邪惡はその
目的
(
めあて
)
非を行ふにあり、しかしてすべてかゝる目的は或は力により或は
欺罔
(
たばかり
)
によりて他を
窘
(
くるし
)
む 二二—二四
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
今日は鼓腹撃壌とて
安堵
(
あんど
)
するも、たちまち国難に逢うて財政に
窘
(
くるし
)
めらるるときは、またたちまち艱難の民たるべし。
政事と教育と分離すべし
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
今や北米合衆国は有色人種を
窘
(
くるし
)
めて、
明
(
あきらか
)
に国祖清教徒の自由平等の大信条に
背
(
そむ
)
いている。彼らはその優秀なる軍備を以て他国を屈服せしめ得るかも知れぬ。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
お浪もこの
夙
(
はや
)
く
父母
(
ちちはは
)
を失った不幸の児が
酷
(
むご
)
い
叔母
(
おば
)
に
窘
(
くるし
)
められる
談
(
はなし
)
を前々から聞いて知っている上に、しかも今のような話を聞いたのでいささか
涙
(
なみだ
)
ぐんで
茫然
(
ぼうぜん
)
として
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
城に籠つてゐたら、他からの侵略は無いが、てもなく
兵粮攻
(
ひやうらうぜめ
)
と謂つたもので、自分で自分を
窘
(
くるし
)
めなければならぬ。自體周三等の籠つてゐる城は、兵粮に
欠乏
(
けつぼふ
)
がちだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
毒蛇が
窘
(
くるし
)
められた時思い切って自分の身を咬んで絶命するという事しばしば聞いたが、毒蛇を酒精に浸すと
困
(
くるし
)
んで七転八倒し、怒って自分の体に咬み付いたまま死ぬ事あり
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
さらば逍遙子は空間に
禁
(
いまし
)
められ、時間に
縛
(
しば
)
られ、はては論理に
窘
(
くるし
)
められむ。衆理想皆是なりとは、逍遙子え言はざるべし。彼は衆理想の中に於て論理にたがひたるものを發見すべければなり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「これは滅相な。
御主
(
おぬし
)
の
父親
(
てておや
)
が気を失ったのは、この
摩利信乃法師
(
まりしのほうし
)
がなせる
業
(
わざ
)
ではないぞ。さればわしを
窘
(
くるし
)
めたとて、父親が生きて返ろう次第はない。」
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
既にして人々は
乞丐
(
かたゐ
)
の群に
窘
(
くるし
)
められて、酒店の軒に避けたれば、獨り立ち戻りて、
盾銀
(
たてぎん
)
一つ握らせたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
然るに何ぞ図らん此の俊徳成功の太祖が熟慮遠謀して、
斯
(
か
)
ばかり思いしことの、
其
(
その
)
身
(
み
)
死すると共に
直
(
ただち
)
に
禍端乱階
(
かたんらんかい
)
となりて、
懿文
(
いぶん
)
の子の
允炆
(
いんぶん
)
、七国反漢の
古
(
いにしえ
)
を今にして
窘
(
くるし
)
まんとは。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
座敷には
窘
(
くるし
)
める遊佐と
沈着
(
おちつ
)
きたる貫一と相対して、
莨盆
(
たばこぼん
)
の火の消えんとすれど呼ばず、彼の
傍
(
かたはら
)
に
茶托
(
ちやたく
)
の上に伏せたる
茶碗
(
ちやわん
)
は、
嘗
(
かつ
)
て肺病患者と知らで
出
(
いだ
)
せしを恐れて
除物
(
のけもの
)
にしたりしをば
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
文久三年
亥歳
(
いどし
)
から明治元年まで五、六年の
間
(
あいだ
)
と云うものは、時の政府に対して
恰
(
あたか
)
も首の負債を
背負
(
しょい
)
ながら、他人に言われず家内にも語らず、自分で自分の身を
窘
(
くるし
)
めて居たのは
随分
(
ずいぶん
)
悪い心持でした。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
が、クリストが
十字架
(
くるす
)
にかけられた時に、彼を
窘
(
くるし
)
めたものは、独りこの猶太人ばかりではない。あるものは、彼に
荊棘
(
いばら
)
の
冠
(
かんむり
)
を
頂
(
いただ
)
かせた。あるものは、彼に紫の
衣
(
ころも
)
を
纏
(
まと
)
わせた。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
汝はかの猶太の翁の事を
記
(
おぼ
)
えたりや。聖母の
龕
(
がん
)
の前にて、惡少年に
窘
(
くるし
)
められし翁の事なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
いつも他の勢力や威力や道理らしいことやを味方にして敵を
窘
(
くるし
)
めることに
長
(
た
)
けたものだ。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
直行の
眼
(
まなこ
)
は再び輝けり。貫一は
憖
(
なまじひ
)
に彼を
窘
(
くるし
)
めじと、
傍
(
かたはら
)
より
言
(
ことば
)
を添へぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
或る一人が他の一人を
窘
(
くるし
)
めようと思って、非常に字引を調べて——勿論平常から字引をよく調べる男でしたが、文字の成立まで調べて置いて、そして敵が講じ了るのを待ち兼ねて
学生時代
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
妻は、私のあらゆる異常な言動が、皆その疑から来たものと思っているらしいのでございます。この上私が沈黙を守るとすればそれは
徒
(
いたずら
)
に妻を
窘
(
くるし
)
める事になるよりほかはございません。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
意
(
こころ
)
蓋
(
けだ
)
し今の朝廷また建文を
窘
(
くるし
)
めずして厚く
之
(
これ
)
を奉ず可きをおもえるなり。
瑛
(
えい
)
はこれを聞きて
大
(
おおい
)
に驚き、
尽
(
ことごと
)
く
同寓
(
どうぐう
)
の僧を得て之を
京師
(
けいし
)
に送り、
飛章
(
ひしょう
)
して
以聞
(
いぶん
)
す。帝及び
程済
(
ていせい
)
も
京
(
けい
)
に至るの
数
(
すう
)
に在り。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と
追窮
(
ついきゅう
)
する。追窮されても
窘
(
くるし
)
まぬ源三は
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
窘
漢検1級
部首:⽳
12画
“窘”を含む語句
窘逐狂
窘蹙
立窘
窘窮
窘迫
居窘
窘逐
掻窘
窘束
窘歩
窘渋
窘付
窘乏
狭窘
窘追
抱窘
困窘