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窃
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そ
ふりがな文庫
“
窃
(
そ
)” の例文
旧字:
竊
二人は
窃
(
そ
)
っと
藁苞
(
わらづと
)
の中から脇差を出して腰に差し、
慄
(
ふる
)
える足元を
踏〆
(
ふみし
)
めて此の
家
(
や
)
の表に立ちましたのは、丁度日の暮掛りまする時。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
はじめの内は、よく
実家
(
さと
)
からお金を取つたりして、
窃
(
そ
)
つと青木さんの手前をつくろつてゐられたやうな事もあつたらしい。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
余は
窃
(
そ
)
と
廊下
(
ろうか
)
伝
(
づた
)
いに書院に往って、障子の外に
停
(
たたず
)
んだ。蓄音器が歌うのではない。
田圃向
(
たんぼむこ
)
うのお琴婆さんが歌うのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼は
奇麗
(
きれい
)
に光る
禿顱
(
とくろ
)
を燈下に垂れて、ツル/\と
撫
(
な
)
で上げ撫で下ろせり、花吉は
絹巾
(
ハンケチ
)
に
失笑
(
をかしさ
)
を包みて、
窃
(
そ
)
と篠田を見つ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
その時、外人はメスを取り、丁度心臓と思われる辺へ、鋭い刃先を
窃
(
そ
)
っと置いた。捨松は俄に恐ろしくなり両方の眼を固く閉じて、心の中で呟いた。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
故郷の家から圭一郎に送つて寄越す千登世には決して見せてはならない音信を彼女には内密に
窃
(
そ
)
つと圭一郎に手渡す役目を内儀さんは引き受けてくれる等、萬事萬端
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
欠伸
(
あくび
)
を封じた上に瞬きをしないで拝聴しろと仰有るのだから助からない。松本君が
何
(
ど
)
んな顔をしているかと思って、
窃
(
そ
)
っと横目を使ったら、
先方
(
むこう
)
も私の顔を見ていた。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「それがしらは執事殿の
館
(
やかた
)
からまいった者。夜中の推参、憚りありとは存ずれど、何を申すも火急の用事じゃ。奥方に
窃
(
そ
)
とお逢い申したい。これにあるは殿の御息女じゃ。」
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
真裸
(
まはだか
)
の
快
(
こころよ
)
さ、人目に触れぬ嬉しさに
窃
(
そ
)
とほゝゑむ。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は
襦袢
(
じゆばん
)
の
袖
(
そで
)
の
端
(
はし
)
に
窃
(
そ
)
と
眶
(
まぶた
)
を
挲
(
す
)
りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
障子の
建合
(
たてあわ
)
せを音もせずに
窃
(
そ
)
っと簪揷をさしてねじると、障子が細く明きましたから、お蘭が内を差覗くと驚きました。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おくみは坊ちやんが、そちこちお歩きになつたりするのにも気を使つて、
窃
(
そ
)
つとこちらへ伴れて来るやうにしてゐた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
離座敷の方へ小走って行き、雨戸を
窃
(
そ
)
っと開け、座敷へ這入った。総司は、やや健康を
恢復
(
かいふく
)
し、
艶
(
つや
)
も出た美貌を行燈に照らし、子供のように無邪気に眠っていた。
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
奥の座敷で日課を書いて居ると、縁に
蹲
(
うずくま
)
って居た猫のトラがひらりと地に飛び下りた。またひらり縁に飛び上ったのを見ると、
蜥蜴
(
とかげ
)
を
啣
(
くわ
)
えて居る。
窃
(
そ
)
と下ろした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
二三本の
卒塔婆
(
そとば
)
が亂暴に突きさゝれた形ばかりの土饅頭にさぞ雜草が生ひ茂つてゐるだらうことを氣にして、
窃
(
そ
)
つと墓守に若干のお
鳥目
(
てうもく
)
を送つてお墓の掃除を頼んだりした。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
窃
(
そ
)
っと
抓
(
つね
)
ったものがありましたから、僕、姉さんだと思って、ウンと抓り返してやったんです。『痛い! 君だったのかい? おや/\』って、兄さん、変な顔をしていましたよ
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
老女は袖口に
窃
(
そ
)
と
瞼
(
まぶた
)
拭
(
ぬぐ
)
ひつ「何ネ、——又た
貴嬢
(
あなた
)
の
亡母
(
おつか
)
さんのこと思ひ出したのですよ、——
斯様
(
こんな
)
立派な貴嬢の
御容子
(
ごようす
)
を一目
亡奥様
(
せんのおくさん
)
にお見せ申したい様な気がしましてネ、——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
飛行機は坊ちやんが御覧になるとお欲しがりになるからと、
窃
(
そ
)
つと手鞄の中へしまつてお置きになる。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
彼方此方
(
あちこち
)
と
抜足
(
ぬきあし
)
をして様子を見ると、人も居らん様子で、是から上って畳二畳を明けて
根太板
(
ねだいた
)
を払って、
窃
(
そ
)
っと抜足をして蓋を取って内を覗くと、穴の下は薄暗く
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
窃
(
そ
)
っと応接間を抜け出して、密告者の手紙を
手頼
(
たよ
)
りにして、
窃
(
こっそ
)
り二階へ行って見ました。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし乗ってから
窃
(
そ
)
っと取ろうとすると、何とまあ、お
呪禁
(
まじない
)
の
種玉子
(
たねたまご
)
だというんです
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
二時間の後、
用達
(
ようたし
)
に上高井戸に出かけた。
八幡
(
はちまん
)
の阪で、誰やら
脹脛
(
ふくらはぎ
)
を後から
窃
(
そ
)
と押す者がある。ふっと見ると、
烏山
(
からすやま
)
の
天狗犬
(
てんぐいぬ
)
が、前足を
挙
(
あ
)
げて彼の
脛
(
はぎ
)
を窃と
撫
(
な
)
でて彼の注意を
牽
(
ひ
)
いたのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
大和は
窃
(
そ
)
と立ちて
室
(
しつ
)
を出でぬ、不安の胸に
腕
(
うで
)
拱
(
こまね
)
きつゝ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其処
(
そこ
)
らで聞くと
此家
(
こゝ
)
だと云うから、済まぬようだが
窃
(
そ
)
っと這入って、裏へ廻って様子を聞いて居りますと、人違いだ/\と云う声がするから、はてと思って聞いて居りましたが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
窃
(
そ
)
つと來てゐる、愕き易い小鳥かなぞを、いつまでもさうしてゐさせようとする時のやうに、こつそりと再び目を閉ぢて——閉ぢてゐると見えるやうに小さくして——寢てゐる風に裝ひながら
女の子
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
と僕も確める必要を認めるほど好奇心を起して
窃
(
そ
)
っと門まで行って来た。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お力は
窃
(
そ
)
っと首を振ってみせ、すぐに窓を閉め、元の座へ帰って来た。
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と云いながら
窃
(
そ
)
っと文治郎の手を下へ置いて立上り、外を
覘
(
のぞ
)
いて見てぴったり
入
(
いり
)
□□□□□□□、□□□□□□□□、□□□□□□
閉
(
た
)
て、薄暗くなった時、文治の側へぴったり坐って
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お父さんはまだ寝ている。他の連中は別の座敷に休んだと見えて誰もいない。僕は
窃
(
そ
)
っと起きて戸の隙間から明るい外を覗いた。すぐ鼻の先が海だ。ポッ/\/\というのは漁船の石油発動機だった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そうして雨戸を
窃
(
そ
)
っと開けた。それから障子を窃っと開けた。
善悪両面鼠小僧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
其の頃のことだから小舟で見舞に堀切の別荘へ来ましたが、
幇間
(
たいこもち
)
なぞというと、
極
(
ごく
)
堅気の
宅
(
うち
)
では嫌う者ゆえ、正孝は来は来たが、
昇
(
あが
)
って
宜
(
い
)
いか悪いか知れませんから、
窃
(
そ
)
っと
覗
(
のぞ
)
いて見ると
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「千円以上のものだね」自分は
窃
(
そ
)
っと囁いた。
広東葱
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
安子さんは
窃
(
そ
)
っと腕時計を見た。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と文治郎涙を浮べ茶椀蒸の
蓋
(
ふた
)
を取って恐る/\母の前へ
窃
(
そ
)
っと差出しました。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「それじゃ
窃
(
そ
)
っと行ってお
出
(
いで
)
」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
忠蔵は
窃
(
そ
)
っと囁いた。
赤格子九郎右衛門の娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
音のしないように
窃
(
そ
)
っと忍んで二階を下りてまいると、寝ずばんの藤助が居眠りをして居りましたから、これ幸いと瀧の戸が音羽の手を曳いて、
跣足
(
はだし
)
で土間へ下りにかゝるとき藤助が目を覚まし
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
文治は
窃
(
そ
)
ッとこれを抜取りまして
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
窃
常用漢字
中学
部首:⽳
9画
“窃”を含む語句
窃盗
剽窃
窃々
窃取
心窃
窃視
窃笑
窃盜
窃窕
強窃盗
窃比我於老彭
露窃
窃眇
窃盗狂者
窃盗狂
窃盗事件
窃書
窃伺
尚窃
小窃偸
...