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猜疑心
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さいぎしん
ふりがな文庫
“
猜疑心
(
さいぎしん
)” の例文
これが、彼のいちばん
不可
(
いけ
)
ないところだった。じぶんを持することあまりに高いために、すぐ人と争い
猜疑心
(
さいぎしん
)
を燃やす癖がある。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
葉子は自分の愛子ぐらいの年ごろの時の自分の経験の一々が生き返ってその
猜疑心
(
さいぎしん
)
をあおり立てるのに自分から苦しまねばならなかった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「一ノ関は
猜疑心
(
さいぎしん
)
の強い人だ、仙台、江戸はもちろん、館にいても非常に用心がきびしい、まあ聞いてくれ」と十左が云った
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
チベット国民はほとんど巡査か探偵 のように
猜疑心
(
さいぎしん
)
を起し外国人に対しては非常の注意を持って
穿鑿
(
せんさく
)
するという有様である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
で、続けて言いますがね、あなたはその
猜疑心
(
さいぎしん
)
のために、鋭い機知を持ちながら、事物に対する健全な判断力までなくしてしまわれたのです。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
▼ もっと見る
血統というものは恐ろしいものである。酒飲みの子供は、たいてい酒飲みである。頼朝だって、ただ
猜疑心
(
さいぎしん
)
の強い、攻略一ぽうの人ではなかった。
花吹雪
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
智者を用いるのに
猜疑心
(
さいぎしん
)
がつよくて、そのために君の腹心となって身命をなげ出すという家臣がいないのです。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
余が
猜疑心
(
さいぎしん
)
はますます深くなり、余が
継子根性
(
ままここんじょう
)
は日に日に増長し、ついには明け放しの門戸を閉鎖して我黄色な顔をいよいよ黄色にするのやむをえざるに至れり
自転車日記
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
嫉妬
(
しっと
)
から、
猜疑心
(
さいぎしん
)
から、競争心から、好奇心から、等々。噂はかかるものでありながら噂として存在するに至ってはもはや情念的なものでなくて観念的なものである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
ミンナが肺患になって、その病苦を忘れるために
阿片
(
あへん
)
を
喫
(
の
)
み始め、次第に
猜疑心
(
さいぎしん
)
は強くなっていた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
彼はかれ自身で知らない間に、彼自身の心から永い間の
猜疑心
(
さいぎしん
)
をとりのぞいていたのである。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
猜疑心
(
さいぎしん
)
は、成りあがり者の持前である。彼らは、献帝のそばにまで、密偵を立たせておいた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それで
苟
(
いやしく
)
も乗ずべき機会があらば、あるいは
猜疑心
(
さいぎしん
)
、嫉妬心、もしくは人種的感情、宗教的感情とにより、我が国の勃興を妨げんとするものが起らないとは言えないのである。
〔憲政本党〕総理退任の辞
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
背負揚
(
しよいあげ
)
のうちに、
何等
(
なんら
)
の
秘密
(
ひみつ
)
があらうとは
思
(
おも
)
はぬ。が、もし
有
(
あ
)
つたら
如何
(
どう
)
する?と
叫
(
さけ
)
んだのも、
恐
(
おそら
)
く
此
(
こ
)
の
猜疑心
(
さいぎしん
)
であらう。
私
(
わたし
)
はそれを
感
(
かん
)
ずると
同時
(
どうじ
)
に、
妙
(
めう
)
に
可厭
(
いや
)
な
気
(
き
)
が
差
(
さ
)
した。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
個人としても国民としても自ら悪意や
猜疑心
(
さいぎしん
)
を以て暗雲を立て、東西の方角までも
朦朧
(
もうろう
)
たらしむるに代え、善意と友情によりて
碧空
(
ひきくう
)
一点の
雲翳
(
うんえい
)
を止めざる所まで昇るを要する。
東西相触れて
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ああした不具者見たいな男のことで、その方の
猜疑心
(
さいぎしん
)
は人一倍発達しているだろうからね。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
余はその巨大なる外力の数値を何とかして得たいと思って努力したが、それは不成功に終った。その不成功の原因の一つは、わが国に対する妥当でない
猜疑心
(
さいぎしん
)
によるものである。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
敵愾
(
てきがい
)
的観念、外国の侮辱に対する
猜疑心
(
さいぎしん
)
、その自国同胞の卑屈に反撥する
慷慨心
(
こうがいしん
)
等は、実に彼が満身の熱血を沸騰点まで
上衝
(
じょうしょう
)
せしめ、この熱血の
凝
(
こ
)
る所
遡
(
さかのぼ
)
りて尊王の観念となり
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
吉見の父が少年二人を
密訴
(
みつそ
)
に出したので、門番も
猜疑心
(
さいぎしん
)
を起さずに応対して、
却
(
かへ
)
つて運びが好かつた。門番の聞き取つた所を、当番のものが
中泉
(
なかいづみ
)
に届ける。中泉が堀に申し上げる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
露西亜から日本に送ったのであろうなどゝ評議
区々
(
まちまち
)
なりしと
云
(
い
)
う。当時クリミヤ戦争の当分ではあるし、
元来
(
がんらい
)
英吉利
(
イギリス
)
と露西亜との間柄は犬と猿のようで、
相互
(
あいたがい
)
に色々な
猜疑心
(
さいぎしん
)
がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
猜疑心
(
さいぎしん
)
がつよくて、責任心は、まるでなかつた。薩長人や、浪人や、政争者流は、ワイロをおくつて、この一団を勝手放題に利用していた。その野望をとげる道具につかつていたわけである。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
「君等は
猜疑心
(
さいぎしん
)
の為めに自殺するのか」
流石
(
さすが
)
に行徳も
遂
(
つひ
)
に
赫怒
(
かくど
)
せり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
長い限りの無い悪夢にでも襲われたようにして起って来た恐怖——
親戚
(
しんせき
)
や友人に対してさえ
制
(
おさ
)
えることの出来なかった
猜疑心
(
さいぎしん
)
——眼に見えない迫害の力の前に恐れ
戦
(
おのの
)
いた彼のたましい——夢のように急いで来た遠い波の上——知らない人の中へ行こうとのみした名のつけようの無い悲哀——何という恐ろしい眼に
遭遇
(
であ
)
ったろう。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
なぜならば政府の内でも既に
猜疑心
(
さいぎしん
)
を起して反対の傾向を持って居る者が沢山ある。現にこういう事をいうて居る人がある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼はふいに直覚した——彼の
猜疑心
(
さいぎしん
)
はポルフィーリイにたった一度接触しただけで、わずか一言二言かわしただけで、一、二度目を見合せただけで
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あの
猜疑心
(
さいぎしん
)
、あの執念、あの残虐、それらが悉く私の
執拗
(
しつよう
)
なる復讐心から生れたものだと知ったなら、私の読者達は恐らく、そこに
籠
(
こも
)
る妖気に
身震
(
みぶる
)
いを禁じ得なかったであろう。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
猜疑心
(
さいぎしん
)
は時代の通有性だった。又太郎の方でも特にいやな
奴輩
(
やつばら
)
だとは考えもしない。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其
(
それ
)
を
憶浮
(
おもひうか
)
べると
同時
(
どうじ
)
に、
私
(
わたし
)
の
胸
(
むね
)
には
妙
(
めう
)
な一
種
(
しゆ
)
の
好奇心
(
かうきしん
)
が
起
(
お
)
きて
来
(
き
)
た。
若
(
も
)
し、
私
(
わたし
)
が
妻
(
つま
)
に
対
(
たい
)
して
不満足
(
ふまんぞく
)
を
抱
(
いだ
)
いてゐたとすれば、
其不満足
(
そのふまんぞく
)
は、
今
(
いま
)
一
種
(
しゆ
)
の
猜疑心
(
さいぎしん
)
となつたのであらう。
私
(
わたし
)
は
無論
(
むろん
)
妻
(
つま
)
を
信
(
しん
)
じてゐた。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
ところがそのうちに私の
猜疑心
(
さいぎしん
)
がまた起って来ました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それ故に彼はつねに
猜疑心
(
さいぎしん
)
に苦しめられる。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
そうでなくても山間の人民で殊に
猜疑心
(
さいぎしん
)
の深き国民でございますから、なおさら疑いを深からしめました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
平和の
偽
(
にせ
)
もの、偽の平和——と、まったく影をひそめてしまった庶民たちの
猜疑心
(
さいぎしん
)
が、らんらんたる太陽一つを、空におきのこして、なおさら、この地上を、わびしいものにしていた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自惚
(
うぬぼれ
)
の強い私の
猜疑心
(
さいぎしん
)
は、そんな
途方
(
とほう
)
もないことまでも、想像するのであった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
猜
漢検1級
部首:⽝
11画
疑
常用漢字
小6
部首:⽦
14画
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
“猜疑”で始まる語句
猜疑
猜疑深
猜疑嫉妬
猜疑褊狭