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けいりう
内のか、
外のか、
重なり
疊んだ
棟がなぞへに、
次第低に、
溪流の
岸に
臨んで、
通廊下が、
屋根ながら、
斜違ひに
緩く
上り、
又急に
降りる。……
僕は
溪流に
沿ふて
此淋しい
往來を
當もなく
歩るいた。
流を
下つて
行くも二三
丁、
上れば一
丁、
其中にペンキで塗つた
橋がある、
其間を、
如何な
心地で
僕はぶらついたらう。
一瀬を
低い
瀧に
颯と
碎いて、
爽かに
落ちて
流るゝ、
桂川の
溪流を、
石疊で
堰いた
水の
上を
堰の
其の
半ばまで、
足駄穿で
渡つて
出て、
貸浴衣の
尻からげ。
翌日は
雨、
朝からしよぼ/\と
降つて
陰鬱極まる
天氣。
溪流の
水増してザア/\と
騷々しいこと
非常。
晝飯に
宿の
娘が
給仕に
來て、
僕の
顏を
見て
笑ふから、
僕も
笑はざるを
得ない。
僕はお
絹が
梨をむいて、
僕が
獨で
入いつてる
浴室に、そつと
持て
來て
呉れたことを
思ひ、
二人で
溪流に
沿ふて
散歩したことを
思ひ、
其優しい
言葉を
思ひ、
其無邪氣な
態度を
思ひ、
其笑顏を
思ひ
七
里の
途はたゞ
山ばかり、
坂あり、
谷あり、
溪流あり、
淵あり、
瀧あり、
村落あり、
兒童あり、
林あり、
森あり、
寄宿舍の
門を
朝早く
出て
日の
暮に
家に
着くまでの
間、
自分は
此等の
形、
色、
光