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沸騰
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ふっとう
ふりがな文庫
“
沸騰
(
ふっとう
)” の例文
この一条については下士の議論
沸騰
(
ふっとう
)
したれども、その
首魁
(
しゅかい
)
たる者二、三名の
家禄
(
かろく
)
を没入し、これを藩地外に
放逐
(
ほうちく
)
して
鎮静
(
ちんせい
)
を致したり。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
金も拾いたいし、お嬢さんにも近づきたい……欲と色の
綯
(
な
)
いまぜ手綱だから、この早朝から、いやもう、奔馬のような人気
沸騰
(
ふっとう
)
……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
けれど、この
大捷
(
たいしょう
)
の
沸騰
(
ふっとう
)
も、あくる日は、もう山上に
冷
(
さ
)
めていた。怪しげな咡き声がたちまち拡まっていたのである。たれからともなく
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一、その場の人気の
沸騰
(
ふっとう
)
に
囚
(
とら
)
われず、頭を冷徹に保ち、ひそかに馬の実力を考うべし。その場の人気ほど浮薄なるものなし。
我が馬券哲学
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
金属Qがはいっているという脳髄は、ビーカーの中で、
沸々
(
ふつふつ
)
と
沸騰
(
ふっとう
)
する茶褐色の
薬液
(
やくえき
)
の中で煮られてまっくろに
化
(
か
)
していく。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
惨
(
いた
)
ましく然も偉大なる死! 先生の死は、先生が最後の勝利でした。夫人、あなたは負けました。だからあなたの
煩悶
(
はんもん
)
も、御家の
沸騰
(
ふっとう
)
も起きたのです。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その
沸騰
(
ふっとう
)
がしばらくして静まった後は、すっかり
以前
(
もと
)
の性質と変ってしまったように思われた。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
豚の肉を細く糸切にしてグラグラ
沸騰
(
ふっとう
)
している塩湯へ少しずつ落してザット湯だったら
網杓子
(
あみじゃくし
)
で
笊
(
ざる
)
へ
掬
(
すく
)
い
上
(
あ
)
げてよく水気を切って今度は
外
(
ほか
)
の鍋で油の中へ入れて
炒
(
い
)
り
付
(
つ
)
ける。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
柴山は、「海だよ」と答えてくれました。ぼくも
船板
(
ふなばた
)
から、見下ろした。真したにはすこし風の強いため、
舷側
(
げんそく
)
に
砕
(
くだ
)
ける
浪
(
なみ
)
が、まるで
石鹸
(
シャボン
)
のように
泡
(
あわ
)
だち、
沸騰
(
ふっとう
)
して、飛んでいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それを無理矢理に
体裁
(
ていさい
)
を
繕
(
つく
)
ろって
半間
(
はんま
)
に調子を合せようとするとせっかくの
慰藉
(
いしゃ
)
的好意が水泡と変化するのみならず、時には思いも寄らぬ結果を呈出して熱湯とまで
沸騰
(
ふっとう
)
する事がある。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
輿論が
沸騰
(
ふっとう
)
して来たために、市当局としてこれを市営に統制せざるを得ない機運に向いて来た、そうとなれば、いよいよ、買収ということになる訳だ、そこで、今度は我々の問題だが
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
湯は高い山の上で空気の圧力が弱いから奇態にじきに沸く。
沸騰
(
ふっとう
)
すると茶を手で
揉
(
も
)
み砕いて入れます。それから茶を煮る時には天然のソーダを入れます(チベット山中にあるソーダ)。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
この辺の人気は
沸騰
(
ふっとう
)
して、多くの
日人
(
にちじん
)
がそのために村に
這入
(
はい
)
り込んで来た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
かねてからの文芸愛好の情に油をそそいで燃えあがらせた
悪戯者
(
いたずらもの
)
として、あの一枚の幻燈の画片を云々するよりは、むしろ、日本の当時の青年たちの間に
沸騰
(
ふっとう
)
していた文芸熱を挙げたほうが
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
気圏へ
沸騰
(
ふっとう
)
する
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
やがて港じゅうが
沸騰
(
ふっとう
)
したようにわああッという武者声を捲きおこした。そしてすぐそれは勇ましい
櫓
(
ろ
)
ひびきや
水谺
(
みずこだま
)
と変じて
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例の事件を発見する日の前夜、ハリ・ドレゴは水戸を
引張
(
ひっぱ
)
りまわして町中を飲み歩いた。この日二人の間には珍らしく議論が
沸騰
(
ふっとう
)
したのである。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
直也は、心の
裡
(
うち
)
に
沸騰
(
ふっとう
)
する怒りを、何う現してよいか、分らないように、
暫
(
しば
)
らくは両手を
顫
(
ふる
)
わせながら、荘田の顔を
睨
(
にら
)
んで立っていたが、突如として口を切った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
閑人
(
ひまじん
)
の多いその頃のことである。何々番付という見立てが大いに
流行
(
はや
)
って、なかにも、美人番付には毎々江戸中の人気が
沸騰
(
ふっとう
)
した。その美人番付の筆頭に据えられたお園である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
水へ塩か砂糖を加えるともっと遅くなって二百二十四度でなければ
沸騰
(
ふっとう
)
せん。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
スクリュウに捲き上げられ
沸騰
(
ふっとう
)
し飛散する
騒騒
(
そうそう
)
の
迸沫
(
ほうまつ
)
は、海水の黒の中で、鷲のように鮮やかに感ぜられ、ひろい
澪
(
みお
)
は、大きい
螺旋
(
ぜんまい
)
がはじけたように、幾重にも細かい柔軟の波線をひろげている。
佐渡
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
沸騰
(
ふっとう
)
する飛沫に、
翻弄
(
ほんろう
)
され、そのまま
碧
(
あお
)
い水底に
沈
(
しず
)
んで行くかと思われましたが、不意と、ぽッかり赤い表紙が
浮
(
うか
)
び、浮いたり、沈んだり、はては紅い一点となり、消えうせ、太平洋の
藻屑
(
もくず
)
となった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
平靖号のうえでは、水夫竹見をノーマ号におくりかえして、船長ノルマンの申入れを承諾することに決していながら、なおも議論は、
沸騰
(
ふっとう
)
した。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一方、成都のうちは、いまにも玄徳が攻めてくるかと、人心は動揺してやまず、府城の内でも
恟々
(
きょうきょう
)
と対策に
沸騰
(
ふっとう
)
していた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大いにそれを振るわすため、途上の神仏に
願文
(
がんもん
)
をささげ、また何らかの奇蹟を行い、三軍を
沸騰
(
ふっとう
)
させて出向くのを常道とする。兵法として、はばかるまい。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の胸の中は、今や
沸々
(
ふつふつ
)
と
沸騰
(
ふっとう
)
を始めた。しかし帆村はそんなことを知らない。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とにかく河内平野は、この戦勝で
沸騰
(
ふっとう
)
していた。兵は
勝
(
かち
)
どきに酔い、散所民には、豊年だった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薬液の色はいくたびか変り、最後には薬がかかった色の液が白い泡をたてて
沸騰
(
ふっとう
)
し、もうもうと白煙が天井の方まで立昇った。雪子はそれを見ると狂喜してコップを眼よりも上に高くさしあげ
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし、秀吉の先駆が着くと同時に、極端に
脅
(
おび
)
えていた人心は、それだけ反動的に
沸騰
(
ふっとう
)
して
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ごとごとごとと、ビーカーの中の湯が
沸騰
(
ふっとう
)
をはじめた。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
アレヨアレヨとあぶくのごとく
沸騰
(
ふっとう
)
して、手の
舞
(
ま
)
い足の
踏
(
ふ
)
むところを知らずにいるのにひきかえて、いま、一ぴきの虫でもくわえたように、するどい
嘴
(
くちばし
)
に
木太刀
(
きだち
)
をさらった
大鷲
(
おおわし
)
は
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こっちの壁のすみでも何か一問題
沸騰
(
ふっとう
)
している。こうなっては、政治にわたってはいけないとか、個人的な
誹謗
(
ひぼう
)
は慎みあうこととか、かねての会則などは、吹き飛んでしまっている。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山陰の天地を
震撼
(
しんかん
)
して、丹波丹後二藩の士民を
沸騰
(
ふっとう
)
させた桔梗河原の大試合に、京極藩の大月玄蕃の
代
(
だい
)
試合として現われた稀世の名剣客
鐘巻自斎
(
かねまきじさい
)
と、福知山方の衆望を
担
(
にな
)
って死を決した春日重蔵——。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
沸騰
(
ふっとう
)
すると、民衆は、事実以上にも、誇張したがる。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かかるうちに、町はいよいよ戦時態勢の
沸騰
(
ふっとう
)
ぶりだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当然又——そういう問題の
沸騰
(
ふっとう
)
している裏面には
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これがまた、人々の
憤懣
(
ふんまん
)
を、さらに
沸騰
(
ふっとう
)
させた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“沸騰”の意味
《名詞》
沸騰(ふっとう)
気化が、液体の表面からだけでなく内部からも激しく発生すること。
沸き立つように盛り上がること。騒然となること。
(出典:Wiktionary)
“沸騰”の解説
沸騰(ふっとう、en: boiling)とは、液体から気体へ相転移する気化が、液体の表面からだけでなく内部からも激しく起こる現象である。つまり水の場合で言えば、水の内部から水の分子が出て行くこととも言える。液体の内部からの気化を沸騰というのに対して、液体の表面で起こる気化は蒸発という。
(出典:Wikipedia)
沸
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
騰
常用漢字
中学
部首:⾺
20画
“沸騰”で始まる語句
沸騰点
沸騰酸