持込もちこ)” の例文
神社じんじゃまつられたからともうして、矢鱈やたら六ヶむずかしい問題もんだいなどをわたくしのところにお持込もちこみになられることはかた御辞退ごじたいいたします。
これ山田やまだ前年ぜんねんすでに一二の新躰詩集しんたいししうおほやけにして、同会社どうくわいしやつてえんからこゝ持込もちこんだので、この社はさき稗史出版会社はいししゆつぱんくわいしや予約よやく八犬伝はつけんでん印刷いんさつした事があるのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
煙草たばこと新聞と、商売用の原稿用紙と万年筆を持込もちこんで、早速翌日あくるひからくだんの事務所に出張しましたが、朝から夕刻まで頑張っていても、客は一人も来てはくれません。
カマクラと称する秋田県の雪小屋などは、以前の鳥追歌とりおいうた御火焚棒おほたきぼうがまだ残っているにもかかわらず、今では女の火鉢ひばちなんか持込もちこんで、静かに煮炊にたきをして楽しむ場所になっている。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わたしはそのころ牛込うしごめ南榎町みなみえのきちやうんでたが、水道町すゐだうちやう丸屋まるやから仕立上したてあがりを持込もちこんで、あつらへの疊紙たゝうむすいたときは、四疊半よでふはんたゞ一間ひとま二階にかい半分はんぶん盛上もりあがつて、女中ぢよちうほそまるくした。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
億万円にも代えられぬ東山のどうをくりぬいて琵琶湖の水を引張ひっぱって見たり、鴨東おうとう一帯を煙とおとにおいけがしてしまったり、せまい町内に殺人電車をがたつかせたり、嵐山へ殺風景を持込もちこんだり
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その大久保おほくぼふところによると、彼女かのぢよはそのあに肉的関係にくてきくわんけいがあるといふのであつた。そしてその因果いんぐわむくいをかれのところへ持込もちこんでたといふのであつたが、竹村たけむらにはしんじられなかつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
何でも出張所の独断でれと談じても、兎角とかくらちかないから、甲比丹は少し立腹して、いよ/\政府の筋で出来なければ此方こっち仕様しようがあるといって、れから方向を転じて桑港サンフランシスコの義勇兵に持込もちこんで
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これを樽入たるいれ、笊転ざるころがしなどといって、そっと背戸口せどぐちからからの容器を持込もちこみ、知らぬ間に持って行くのが普通だったが、或いは竿さおのさきに樽をわえて、高塀たかべいの外からぶら下げるという例も多く
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)