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恋々
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れんれん
ふりがな文庫
“
恋々
(
れんれん
)” の例文
旧字:
戀々
名利
(
みょうり
)
に
恋々
(
れんれん
)
たるのではないが、彼も一族の族長だ。
乱世
(
らんせ
)
の
権化
(
ごんげ
)
みたいな熱血そのものの
輩
(
やから
)
も多くかかえている。弟
正季
(
まさすえ
)
がしかりである。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二千年の昔から不意に呼び出された影の、
恋々
(
れんれん
)
と遠のく
後
(
あと
)
を追うて、小野さんの心は
杳窕
(
ようちょう
)
の境に
誘
(
いざな
)
われて、二千年のかなたに引き寄せらるる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし——今はそんなことに
恋々
(
れんれん
)
としている場合ではない。俺は
昨夜
(
ゆうべ
)
もう少しで常子の横腹を
蹴
(
け
)
るところだった。……
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかのみならず今日に
至
(
いたり
)
ては、その御広間もすでに
湯屋
(
ゆや
)
の
薪
(
たきぎ
)
となり、御記録も
疾
(
と
)
く
紙屑屋
(
かみくずや
)
の手に渡りたるその後において、なお何物に
恋々
(
れんれん
)
すべきや。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼女は
恋々
(
れんれん
)
の情にたまらなくなっていた。しかし彼は彼女を
軽蔑
(
けいべつ
)
していた。彼がその家の前を通ると、彼女は窓掛の後ろに隠れて彼が通るのを眺めた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
当時全盛に全盛を極めたる重井の虚名に
恋々
(
れんれん
)
して、
遂
(
つい
)
に
良人
(
りょうじん
)
たり恩人たる岡崎氏を棄て、心強くも東京に
奔
(
はし
)
りて重井と交際し、果はその愛を
偸
(
ぬす
)
み得たりしなり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
政吉 (
恋々
(
れんれん
)
として話をしたがる)つかぬことを伺いますが、お前さん、こっちには、何か縁故があっておいでなすったか。ここは江戸とは
不通
(
ふつう
)
同然の山の中だが。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
亀井
(
かめい
)
、
片岡
(
かたおか
)
、
鷲尾
(
わしのお
)
、四天王の松は、
畑中
(
はたなか
)
、
畝
(
あぜ
)
の
四処
(
よところ
)
に、雲を
鎧
(
よろ
)
い、
繇糸
(
ゆるぎいと
)
の風を浴びつつ、
或
(
ある
)
ものは
粛々
(
しゅくしゅく
)
として
衣河
(
ころもがわ
)
に枝を
聳
(
そびや
)
かし、
或
(
ある
)
ものは
恋々
(
れんれん
)
として、
高館
(
たかだち
)
に
梢
(
こずえ
)
を伏せたのが
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分の心象を綴るに
恋々
(
れんれん
)
としている私の心をもう押えることは止めにしましょう。
低徊
(
ていかい
)
逡巡
(
しゅんじゅん
)
する筆先は
反
(
かえ
)
って私の真相をお伝えするでしょう。
調
(
ととの
)
わぬ行文はそのまま調わぬ私の心の有様です。
聖アンデルセン
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
それでもまだお前は、傍観者の地位に
恋々
(
れんれん
)
として離れられないのか。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
夢みる大きい白鳥は、大変
恋々
(
れんれん
)
してゐます
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
紛々
(
ふんぷん
)
をかもし、スガ目の忠盛にあきたらぬこと年久しく——しかもなお虚栄に富んで女の晩春に
恋々
(
れんれん
)
たる彼の母は、四人の子をのこして他家へ去る。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恋々
(
れんれん
)
たるわれを、つれなく見捨て去る
当時
(
そのかみ
)
に未練があればあるほど、人も犬も草も木もめちゃくちゃである。孤堂先生は
胡麻塩
(
ごましお
)
交
(
まじ
)
りの
髯
(
ひげ
)
をぐいと引いた
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも僕はルノアルに
恋々
(
れんれん
)
の情を持つてゐるやうに文芸上の作品にも優美なものを愛してゐる。「エピキユウルの園」を歩いたものは容易にその魅力を忘れることは出来ない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
復
(
ま
)
た当年の
苦艱
(
くかん
)
を
顧
(
かえり
)
みる者なく、そが細君すらも
悉
(
ことごと
)
く虚名虚位に
恋々
(
れんれん
)
して、
昔年
(
せきねん
)
唱えたりし主義も本領も失い果し、一念その身の
栄耀
(
えいよう
)
に
汲々
(
きゅうきゅう
)
として借金
賄賂
(
わいろ
)
これ本職たるの有様となりたれば
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
さすれば、それがしの御主君信長が、お市さまを救い出したいばかりに、
恋々
(
れんれん
)
、この小城ひとつを
陥
(
おと
)
しかねているのも、愚かしい沙汰とは
嗤
(
わら
)
えますまい。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
過去を
顧
(
かえり
)
みる人は
半白
(
はんぱく
)
の老人である。少壮の人に顧みるべき過去はないはずである。前途に
大
(
だい
)
なる希望を抱くものは過去を顧みて
恋々
(
れんれん
)
たる必要がないのである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こういう諸将の論や
諫言
(
かんげん
)
の出る軍議の席では、信長も、お市の方のことなどを、
恋々
(
れんれん
)
と口には出せなかった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
抜け
出
(
い
)
でんとして
逡巡
(
ためら
)
い、逡巡いては抜け出でんとし、
果
(
は
)
ては魂と云う個体を、もぎどうに
保
(
たも
)
ちかねて、
氤氳
(
いんうん
)
たる
瞑氛
(
めいふん
)
が散るともなしに四肢五体に
纏綿
(
てんめん
)
して、
依々
(
いい
)
たり
恋々
(
れんれん
)
たる心持ちである。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
恋々
(
れんれん
)
たる離別は
龍顔
(
りゅうがん
)
をかきくもらせてはいたが、ふと、幾多の
唐土
(
とうど
)
の
妃
(
ひ
)
と帝王の例などもお胸をかすめたことであろう。国と女——その比重へこたえるような語気であった。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大事なお使いの途中にありながら、いつまでも
恋々
(
れんれん
)
と女子供などと別離をかなしんでおるか。よいかげんにしてはや立て。いまから急げば明るいうちに
飾磨
(
しかま
)
の浜から船に乗れよう。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、深く考えてみれば、
恋々
(
れんれん
)
と泣き濡れているだけが愛情でもない。おそらく、この林冲がいなくなれば、
高
(
こう
)
御曹司が、そなたの身や、お
舅
(
しゅうと
)
の上に、またあらゆる毒手を加えてくるだろう。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
使者を送って、なお
恋々
(
れんれん
)
、和を講じようなどとは。——ああ、弓矢とる身もいやになる。道義のすたりだ。いずれはこれ、なるべく現状にありたい重臣たちが、お
館
(
やかた
)
の御決意をにぶらせたものだろう。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とか、いつまでも、
恋々
(
れんれん
)
とこだわって、気にかかる顔をしていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしなお
恋々
(
れんれん
)
とその
素朴
(
そぼく
)
なうしろ姿へ向けて
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恋
常用漢字
中学
部首:⼼
10画
々
3画
“恋”で始まる語句
恋
恋敵
恋人
恋歌
恋愛
恋慕
恋仇
恋文
恋煩
恋中