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怨敵
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おんてき
ふりがな文庫
“
怨敵
(
おんてき
)” の例文
(
賢
(
さかし
)
げな百説、どれもこれも採るに足らぬ。吉良は無事に生きているのだ。ただ、亡君の
怨敵
(
おんてき
)
たる彼の
首
(
しるし
)
を申しうければそれで足る)
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ことごとく能く一切の
怨敵
(
おんてき
)
を消滅せしむ。この縁を以て九億銭の償金代りに、この三物を出し、月支国王大いに喜んで納受したそうだ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
しかればすなわち、かつは神道の
冥助
(
めいじょ
)
にまかせ、かつは勅旨の
旨趣
(
しいしゅ
)
を守って、早く平氏の一類を亡ぼして、
朝家
(
ちょうけ
)
の
怨敵
(
おんてき
)
を退けよ。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
……しかし、そのT子の昔の情人は、二人とも二十年来の……否、宿命的の
仇讐
(
あだがたき
)
同志であった。人情世界の
怨敵
(
おんてき
)
、学界の怨敵同志であった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
蟹
(
かに
)
の握り飯を奪った
猿
(
さる
)
はとうとう蟹に
仇
(
かたき
)
を取られた。蟹は
臼
(
うす
)
、
蜂
(
はち
)
、卵と共に、
怨敵
(
おんてき
)
の猿を殺したのである。——その話はいまさらしないでも
好
(
よ
)
い。
猿蟹合戦
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
蒲田が一切を引受けて見事に
埒
(
らち
)
開けんといふに励されて、さては一生の
怨敵
(
おんてき
)
退散の
賀
(
いはひ
)
と、
各
(
おのおの
)
漫
(
そぞろ
)
に
前
(
すす
)
む膝を
聚
(
あつ
)
めて、
長夜
(
ちようや
)
の宴を催さんとぞ
犇
(
ひしめ
)
いたる。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
これだけの動機で人の命を絶とうとする際に、生命の貴さに打たれて「
俄
(
にわか
)
に
怨敵
(
おんてき
)
の思ひを忘れ、
忽
(
たちま
)
ち武意の気を
抛
(
なげう
)
つ」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
すなわち、その共棲がまったく両者共通の
怨敵
(
おんてき
)
たるオオソリテイ——国家というものに対抗するために政略的に行われた結婚であるとしていることである。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
いかなるところへ逃げ隠れようとも、この
怨敵
(
おんてき
)
を突き伏せずしては置かずという意気込みで、燈籠の屋根の上や、台石の横から無二無三に突き立てました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すわこそ
怨敵
(
おんてき
)
ござんなれと、意気込む市之丞、恐れる芳江、その両人を眼で抑えてオースチン師は膝を進めた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
江戸下り初舞台、初日の日に、早くも
怨敵
(
おんてき
)
の一人を引き合せて
呉
(
く
)
れようとする運命に対して……
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
要らぬと言えば、
黙然
(
だんまり
)
で、腰から
前
(
さき
)
へ、板廊下の暗い方へ、スーと消えたり……
怨敵
(
おんてき
)
、
退散
(
たいさん
)
。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
将軍の命を狙う
怨敵
(
おんてき
)
を平らげましたが、笹野新三郎に約束した御鷹野以前に曲者を挙げることが出来なかったのと、事件の性質が性質なので、表向きはその手柄に酬いられませんでした。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
出陣間際に縁起でもないことをわざわざ報告に来たわけである。義元も敗けて居ずに「汝は我が
怨敵
(
おんてき
)
である、どうして我に吉凶を告げよう」、人間でなくても
虚言
(
うそ
)
をつくかも知れないとやり込めた。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
怨敵
(
おんてき
)
人間豹への
憤怒
(
ふんぬ
)
が、今さらのように彼の胸をかきむしった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
当の
怨敵
(
おんてき
)
黄文炳は、その夜、江州奉行所か
蔡九
(
さいきゅう
)
の官邸かにいて、無為軍の家にはいず、ついに討ち洩らしていたのであった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくて魚住氏のいわゆる共通の
怨敵
(
おんてき
)
が実際において存在しないことは明らかになった。むろんそれは、かの敵が敵たる性質をもっていないということでない。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
兵衛はすでに
平太郎
(
へいたろう
)
一人の
敵
(
かたき
)
ではなく、
左近
(
さこん
)
の敵でもあれば、
求馬
(
もとめ
)
の敵でもあった。が、それよりも先にこの三年間、彼に幾多の艱難を
嘗
(
な
)
めさせた彼自身の
怨敵
(
おんてき
)
であった。
或敵打の話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ヘッ、いや
怨敵
(
おんてき
)
退散。真面目な所へ吃逆は
情
(
なさけ
)
ない。そうじゃあございませんか、深川の家に居なすった時なんざ、団扇を持って、自分を煽いだ事だって滅多には無かったでしょう。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
怨敵
(
おんてき
)
『鬼火の
姥
(
うば
)
』などを相手に競争される場合には、老婆姿にもなられるのじゃ」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
わずか五年前をかえりみれば、
執権
(
しっけん
)
高時は、後醍醐の
怨敵
(
おんてき
)
だった。また義貞は、その北条九代の府を、一
朝
(
ちょう
)
のまに、
瓦礫
(
がれき
)
となさしめた人だった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「万歳!
日本
(
にっぽん
)
万歳! 悪魔降伏。
怨敵
(
おんてき
)
退散
(
たいさん
)
。第×聯隊万歳! 万歳! 万々歳!」
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
衆を率いて御岳以来の
怨敵
(
おんてき
)
、伊集院五郎現われた。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
怨敵
(
おんてき
)
退散の
貼御符
(
はりごふう
)
かと思ったが。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さらに、しばらくこらえて
小太郎山
(
こたろうざん
)
の
味方
(
みかた
)
をすぐり、
怨敵
(
おんてき
)
家康
(
いえやす
)
に一
矢
(
し
)
をむくいたのちに死ぬとも、けっして
若君
(
わかぎみ
)
のお
供
(
とも
)
におくれはいたしますまい
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『こうしては居られぬぞ、吉良上野介のありかは何うしたか。——まだ合図の笛も鳴らぬ。それッ、目ざす
怨敵
(
おんてき
)
へ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「兄上は尊氏が恐ろしいのですか。宮(大塔ノ宮)を殺した
怨敵
(
おんてき
)
、みかどの逆臣、世をみだす乱賊。あの尊氏が」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
法は、なるべく、単純がいい。そして法の要は、人の
嘆
(
なげ
)
きがなくなることだ。天下よく治まり、
怨敵
(
おんてき
)
も不安をなくし、みな嘆きのない人の世となることを
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
怨敵
(
おんてき
)
梅雪が道なきしげみへ
逃
(
に
)
げこんだと見るや、ヒラリと
黒鹿毛
(
くろかげ
)
を乗りすてて
右手
(
めて
)
なる
戒刀
(
かいとう
)
を引ッさげたまま
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「このうえは、
砦
(
とりで
)
にのこる兵をあげて、
小勢
(
こぜい
)
ながら
裾野
(
すその
)
へくだり、
怨敵
(
おんてき
)
家康
(
いえやす
)
の
城地
(
じょうち
)
へ、さいごの一戦を」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日は大津から小浜街道へ
伸
(
の
)
して見ようかどうしようかと、捜索の方向に迷っていたところを、フイと、眼先を
掠
(
かす
)
っていったのが忘れもしない、
怨敵
(
おんてき
)
鐘巻自斎の姿であるから
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
怨敵
(
おんてき
)
ござんなれ」と、鳴りをしずめたまま、兵船の近づくまで、一矢も放たなかった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、
当
(
とう
)
の
怨敵
(
おんてき
)
尊氏は海上だった。自然、義貞の注意はしじゅう海上へ引かれていた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
怨敵
(
おんてき
)
毛利家と戦いつづけ、父子二代三代にかけて、尼子の再興を念願し、こうして織田軍の西下を機に、信長公におすがりして、味方となって一功をも挙げて来た者なのに——今
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いくら北条氏の
怨敵
(
おんてき
)
とはいえ、きのうまでは、万乗の天子と、幕府も立てていたお方を
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
目と鼻のさきに当の
怨敵
(
おんてき
)
は、いとも軽装で逗留している。またなき機会だ、絶好な天運だとする——出来心にも似た野望と自身で意識しては、なおさら神のみ前に祈願はこめられまい。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
板敷山の
呪壇
(
じゅだん
)
に、
一七日
(
いちしちにち
)
のあいだ、
護摩
(
ごま
)
を
焚
(
た
)
き、
呪念
(
じゅねん
)
をこらして、眼に描きだしていた
怨敵
(
おんてき
)
親鸞は、さながら自分を
呪
(
のろ
)
う悪鬼とばかり見えていたが——今、眼のまえにある親鸞を仰げば
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この勝久とて、一度は
出家
(
しゅっけ
)
して、まったく世から葬られていたのを、そちのため、家名再興の志を立て、尠なくも今日まで、何十度の合戦に、
怨敵
(
おんてき
)
毛利家をなやまし苦しめて来たことは事実だった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「討ってたも、
怨敵
(
おんてき
)
を」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
怨敵
(
おんてき
)
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“怨敵”の意味
《名詞》
怨敵(おんてき)
怨みがある敵。
(出典:Wiktionary)
怨
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
敵
常用漢字
小6
部首:⽁
15画
“怨敵”で始まる語句
怨敵退散