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急湍
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きゅうたん
ふりがな文庫
“
急湍
(
きゅうたん
)” の例文
すうつ・けいすの
急湍
(
きゅうたん
)
が、かあき色
膝
(
ひざ
)
きりずぼんの大行列が、パス・ポートが、
旅人用手形帳
(
トラヴェラアス・チェッキ
)
が、もう一度、せいろんへ、せいろんへ
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
この音楽会の時もまた、その勇ましい魂の熱火がクリストフを焼いた。彼は炎の
急湍
(
きゅうたん
)
に巻き込まれた。その他はすべて消え去った。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
電光や
雪崩
(
なだれ
)
や暴風や
急湍
(
きゅうたん
)
が仕残した仕事を氷河が完成した。ただ一つの岩橋を残して暗道の胴中をすっかり持って行ってしまったのである。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その先になると速度が非常に緩やかにほとんど流れていないのかと思うほどに
澱
(
よど
)
んでいるところがあり、そこを過ぎるとまたぞろ
急湍
(
きゅうたん
)
の速さとなる。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
国道を流れる車輪の
急湍
(
きゅうたん
)
に加わってこうしていまエプソム町近郊の競馬場へ馳せ参じたわけだが、BEHOLD!
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
▼ もっと見る
権利が解放さるる前に、
騒擾
(
そうじょう
)
と
泡沫
(
ほうまつ
)
とがある。大河の初めは
急湍
(
きゅうたん
)
であるごとく、反乱の初めは暴動である。そして普通は革命の大洋に到達するものである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
船が、
急湍
(
きゅうたん
)
のような、烈しい潮流に乗って、目まぐるしい
迅
(
はや
)
さで、一方向に急進しはじめたからだ。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
ことに
清冽
(
せいれつ
)
豊富なるヨルダン川の水源でありまして、
瀑
(
たき
)
あり
淵
(
ふち
)
あり、
急湍
(
きゅうたん
)
あり
洞窟
(
どうくつ
)
あり、大瀑のひびきによりて淵々呼び
応
(
こた
)
え、波は波を乗り越えてゆく壮観を呈しました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
その
渓
(
たに
)
を
出
(
い
)
でて
蜿蜿
(
えんえん
)
と平原を流るゝ時は
竜蛇
(
りゅうだ
)
の如き
相貌
(
そうぼう
)
となり、
急湍
(
きゅうたん
)
激流に怒号する時は
牡牛
(
おうし
)
の如き形相を呈し……まだいろ/\な例へや面白い
比喩
(
ひゆ
)
が書いてあるけれど……
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
音楽はやがて
急湍
(
きゅうたん
)
のように迫り、二つの音調は急流のように争いつつ、いつしか渾一に融合するうちに、いつともしれず
大鼓
(
おおかわ
)
の海鳴りの音が新しい根拠をもって轟いて来た。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
馬は、尾と
鬣
(
たてがみ
)
とを、長く風になびかせながら、ひづめに火花を散らして、まっしぐらに狂奔する。一町二町月明かりの小路は、太郎の足の下で、
急湍
(
きゅうたん
)
のように後ろへ流れた。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
久助は片手にひっかけ鉤をつけた釣竿を持ち、片手に
覗眼鏡
(
のぞきめがね
)
を動かしては、
急湍
(
きゅうたん
)
をすかせながら腰まで
浸
(
つ
)
かして川を
渉
(
わた
)
った。こうやって釣った鮎は毎日の客の膳に上るのだった。
忠僕
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
あるいは
急湍
(
きゅうたん
)
をなしあるいは深き
淵
(
ふち
)
を作りつつも、それは常に力強く流れてゆく。「ジャン・クリストフ」十巻は一つの河流として、作者ロマン・ローランの
脳裡
(
のうり
)
に映じていた。
ジャン・クリストフ:01 序
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
趣味の何物たるをも心得ぬ
下司下郎
(
げすげろう
)
の、わが
卑
(
いや
)
しき心根に比較して
他
(
た
)
を
賤
(
いや
)
しむに至っては許しがたい。昔し
巌頭
(
がんとう
)
の
吟
(
ぎん
)
を
遺
(
のこ
)
して、五十丈の
飛瀑
(
ひばく
)
を直下して
急湍
(
きゅうたん
)
に
赴
(
おもむ
)
いた青年がある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その一所が
急湍
(
きゅうたん
)
のように、物すさまじく渦巻いたが、悲鳴と喚き声と刃音とが、周囲の雑音を貫いて、ひときわ高く
轟
(
とどろ
)
くや、バタバタと倒れる人の姿が見え、つづいて一組の人間が
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雪の絶えないヌタクカムウシュペの
裾
(
すそ
)
を西に折れ、山峡の低みをかけおりた水は、
急湍
(
きゅうたん
)
となって川上の
浸蝕谷
(
しんしょくこく
)
をよぎる。やがて盆地の水々を集めて西の壁である中央山脈につき当った。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
きいているのは岩鼻をかむ
急湍
(
きゅうたん
)
のような恐ろしい
吃
(
ども
)
りだ。女は聞き耳を立てた。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
荒砥
(
あらと
)
のような
急湍
(
きゅうたん
)
も透徹して、水底の石は眼玉のようなのもあり、
松脂
(
やに
)
の
塊
(
かた
)
まったのも沈み、
琺瑯
(
ほうろう
)
質に光るのもある、蝶は、水を見ないで石のみを見た、石を見ないで黄羽の美しい我影を見た
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
九州でクマ(隈)といったのもこれに当り、あるいはまた
福良
(
ふくら
)
と称するのも小川内であって、そのいわゆる盆地の上下を
括
(
くく
)
るところの
急湍
(
きゅうたん
)
の地が、ツル(津留)であろうということはかつて述べた。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
急湍
(
きゅうたん
)
は叫喚し怒号し、白く沸々と煮えたぎって跳奔している始末なので、よほどの大声でなければ、何を言っても聞えないのです。私は、よほどの大声で、「毎日たいへんですね!」と絶叫しました。
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ここで再び
蕭々
(
しょうしょう
)
たる
急湍
(
きゅうたん
)
にかかる。観音の瀬である。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
存在の制限を破壊していた。空を、宇宙を、虚無を、満たしていた。世界は神のうちに、
急湍
(
きゅうたん
)
のように
躍
(
おど
)
りたっていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
浮かれ人を花に送る京の汽車は
嵯峨
(
さが
)
より
二条
(
にじょう
)
に引き返す。引き返さぬは山を貫いて
丹波
(
たんば
)
へ抜ける。二人は丹波行の切符を買って、
亀岡
(
かめおか
)
に降りた。
保津川
(
ほづがわ
)
の
急湍
(
きゅうたん
)
はこの駅より
下
(
くだ
)
る
掟
(
おきて
)
である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
辛
(
つら
)
い生活のさ中のオーシス、そして——事物や人々を金色の反映で染める霊妙な光輝——力と苦悩と愛との
急湍
(
きゅうたん
)
たる、ゲーテやシルレルやシェークスピアなど
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
音楽会は、歴史の授業か教化の実例かのようであった。進んだ思想も官学風になされていた。
急湍
(
きゅうたん
)
のごときバッハも、この聖教徒らの中に迎えられると賢明になっていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
破廉恥な修辞法と
賤
(
いや
)
しい写実主義とを
軽蔑
(
けいべつ
)
して、魂の中心に立てこもり、形態と思想との世界が、あたかも湖水に落ちる
急湍
(
きゅうたん
)
のように吸い込まれて、内的生活の色に染められる
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
撓
(
しな
)
ってる枝々はその喜びの腕を、光り輝く空のほうへ差し伸ばしていた。
急湍
(
きゅうたん
)
は笑ってる鐘のように響いていた。昨日は墳墓の中にあったその同じ景色が、今はよみがえっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
自分のキリスト教徒の旅人の歌のある節から今発している悪魔的な
傲慢
(
ごうまん
)
心や、自分の夏の歌の平和な流れを
急湍
(
きゅうたん
)
のようにみなぎらしてる異教的悦楽の情に、身震いをしたことであろう。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼はそういう音楽を聞くや否や、他人と同じく、他人よりももっとはなはだしく、音の
急湍
(
きゅうたん
)
とそれを繰り出す作者の悪魔的意志とにとらえられた。彼は笑った、うち震えた、
頬
(
ほお
)
を
熱
(
ほて
)
らした。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
日に一、二時間しか自由を得なかったので、彼の力はあたかも岩の間の
急湍
(
きゅうたん
)
のように、それへ飛びかかっていった。厳密な範囲内に努力を集中することは、芸術にとってはいい規律である。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼ははっと飛びのいて、こんどは太い
急湍
(
きゅうたん
)
の中に、前から知っていたゾラの
泥
(
どろ
)
深い
浪漫主義
(
ロマンチズム
)
の中に、落ち込んでいった。それから出たかと思うと、文学の大
氾濫
(
はんらん
)
の中にすっかりおぼれてしまった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ただ
急湍
(
きゅうたん
)
の悲しい音楽が——岩を
浸触
(
しんしょく
)
してる水が——大地の喪鐘を鳴らしていた。クリストフは熱が出て寝床にはいった。隣の小屋では、彼と同じように不安を覚えてる家畜が動き回っていた……。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一方は、
泥
(
どろ
)
立った
急湍
(
きゅうたん
)
であって、……末期イタリー趣味と新マイエルベール式との匂いがあり、感情の醜悪な
塵芥
(
じんかい
)
がその
泡
(
あわ
)
の下に流れている……。
嫌悪
(
けんお
)
すべき傑作だ。イゾルデの生み出したサロメだ。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“急湍”の意味
《名詞》
(context、landform)流れの速い浅瀬。
(出典:Wiktionary)
急
常用漢字
小3
部首:⼼
9画
湍
漢検1級
部首:⽔
12画
“急”で始まる語句
急
急遽
急須
急足
急込
急立
急激
急病
急度
急勾配