)” の例文
いきに吾がふ君はとりが鳴くあづまの坂を今日か越ゆらむ」(同・三一九四)等、結句の同じものがあるのは注意すべきである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
をぢが張る四つ手の網に、月さしていろくづ二つ。その魚のくちびるあかき、この魚の背の鰭青き、うつつともへばつめたく、幻と見ればらひつ。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
百枝もゝえ刺し生ふる橘、玉に五月さつきを近み、あへぬがに花さきにけり、毎朝あさにけに出で見る毎に、気緒いきのをに吾がふ妹に、まそかゞみ清き月夜に、たゞ一目見せむまでには
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
それが許されましたなら影さえ見ゆる(浅香山影さへ見ゆる山の井の浅くは人をわれはなくに)
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「にあり」「てあり」「といふ」が、「なり」「たり」「とふ」となるのも同様の現象である。「ふ」「われはやぬ」など連語においても、これと同種の現象がある。
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
をさなごらひとまのいへにとりかこむきみがたまどこへばかなしも十二月十三日
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
大船のはつる泊りのたゆたひにものひ痩せぬひとの児ゆゑに(弓削皇子)
万葉集の恋歌に就て (新字旧仮名) / 三好達治(著)
づらしとふきみは秋山の初もみぢ葉に似てこそありつれ
学生と生活:――恋愛―― (新字新仮名) / 倉田百三(著)
大きなるおどけまなこの中に見えぬとへば哀れなりけり
河馬 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
一たび我の手に落ちぬ、免るべしとふ勿れ。
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
「エ、ちっとンべ行って見べいとって」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ぞ、ものふは、ひそやかに。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
いきらむと一〇 心はへど
をぢが張る四つ手の網に、月さしていろくづ二つ。その魚のくちびるあかき、この魚の脊の鰭青き、うつつともへばつめたく、幻と見ればらひつ。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「吾をぞも汝にすとふ、汝はいかにふや」(巻十三・三三〇九)という長歌の句は、この東歌に比して間が延びて居るように感ずるのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「谷には春も」(光なき谷には春もよそなれば咲きてとく散るものひもなし)
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)
明日あすよりはたばこやめむとひつつねあさあけに先づ吸ふ「さつき」のけむり
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
術もなく苦しくあれば出で走りななとへど児らにさやりつ(同)
万葉集の恋歌に就て (新字旧仮名) / 三好達治(著)
へば夢の中にてこの夢を馴染なじみの夢と知れりし如し
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
春さらばかざしにせむといし
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
い取らむと 心はへど
見せむとひし宿のたちばな
浮標 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
水仙と寒菊の影、現なくうつらふ観れば現なし、さびしかりけり。近々と啼き翔る鵯、遠々とひびく浪の。誰か世を常なしと云ふ、久しともかなしともへ。
巻十五(三七八五)に宅守やかもりの、「ほととぎすあひだしまし置け汝が鳴けばふこころいたすべなし」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
秋のゆふべたらちねの母のみひつぎ送りゆく君をへばいたまし十月二十二日
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
ふと過ぐる月日も知らぬまに年もわが世も今日や尽きぬる
源氏物語:42 まぼろし (新字新仮名) / 紫式部(著)
ま玉なす ふ妹
戰ひのある日とは
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
水仙と寒菊の影、現なくうつらふ観れば、現なし、さびしかりけり。近々ちかぢかと啼き翔る鵯、遠々とほどほとひびく浪の。誰か世を常なしと云ふ、久しともかなしともへ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
或は、『靡き寝し児を深海松ふかみるの深めてへどさし夜はいくだもあらず』。
人麿の妻 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
日に常にたうべ馴れつつ米の飯やうましともはねも飽かぬかも (二五三頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
チヤイコフスキー交響曲第六ロ短調「悲愴」なり香蘭のことをいつかひゐき
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おのもおのもたうべなれつつ米の飯をうましともはね飽かずたうべつつ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
涙共に下るこの声この子らぞかなしとはへ亦聴き難し (学生委員)
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
こぞり来しよしとひけりつつがなく遊べる子らを眺めやりつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
憂ふ無き君たはやすし事々につくづくとへばよく投げにけり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
禿髪かむろる黒きかほばせあどなくてあてなるきはものはずらし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
誰待つと家居るならずおなじくも憂ふる人のよとふのみ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
誰待つと家居るならずおなじくも憂ふる人のよとふのみ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
聴くとしてふみ読ませゆく気づまりも妻にははず心かずも
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一太刀にひた打ちおろす、響あり何をはむぞ小手先のわざ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まかがやく日の位置低し空は觀て西かともへど南とも見ゆ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
まかがやく日の位置低し空は観て西かともへど南とも見ゆ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夜明けに白馬ヶ嶽へ出で向ふこの子とへばうやうやし母と
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
夜明けに白馬ヶ嶽へ出で向ふこの子とへばうやうやし母と
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あきらかに春としへど夕照のから松のうれが黒くそよげり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
折ふし障子ひびかす羽根の音雀ぞとへどほとほと寂しき
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
城ヶ島の女子うららに裸となり鮑取らいで何ふらむか
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
印旛金鱗こんりんの鯉みじろがずあきらめ果てし姿ひ食ふ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
靄の青みに静ごころ君暫時しばし
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)