御門みかど)” の例文
でも、大伴と言うお名は、御門みかど御垣みかきと、関係深いとなえだ、と承って居ります。大伴家からして、門垣を今様にする事になって御覧ごろうじませ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
正面には高さ四尺の金屏きんびょうに、三条さんじょう小鍛冶こかじが、異形いぎょうのものを相槌あいづちに、霊夢れいむかなう、御門みかど太刀たちちょうと打ち、丁と打っている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あるものは日本の御門みかどと大君との間に戦争が起こったのであるとし、あるものは江戸の旧政府に対する京都新政府の戦争であるとし、あるものはまた
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
稱して北の御門みかどと云其譯は天子に御世繼の太子たいしましまさぬ時は北の御門御夫婦禁庭きんていへ入る宮樣御降誕あれば復たび北の御門へ御歸りあるなり扨御門の御笏代を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此の事更に御門みかど(後醍醐天皇の御事)の知ろし召されぬよしなど、けざやかに言ひなすに、荒き夷どもの心にも、いと忝き事となごみて、無為なるべく奏しけり。
武士を夷ということの考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
百種ももくさことこもれるおほろかにすな」(巻八・一四五六)、「おほろかに吾し思はば斯くばかり難き御門みかど退まかめやも」(巻十一・二五六八)等の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
花よ、もし御門みかどの国にいるならば、はさみ小鋸このこぎりに身を固めた恐ろしい人にいつか会うかもしれぬ。その人はみずから「生花の宗匠」と称している。彼は医者の権利を要求する。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
(中略)天武天皇十年正月七日に、御門みかど小安殿におわしまして宴会の儀あり、これや七日の節会の始めなるべからんといえり、『日本紀』二十九の本文には白馬の事見えず。
(これから蓼中たでなか御門みかどに行って、そっと弦打つるうち(弓のつるをならすことである)をして下さい。すると、だれかがそれに答えて弦打をするでしょう。そうしたら、口笛くちぶえいて下さい。
女強盗 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
古い伝えは延喜えんぎの昔に。あのや蝉丸せみまる逆髪さかがみ様が。何の因果か二人も揃うて。盲人めくらと狂女のあられぬ姿じゃ。父の御門みかどに棄てられ給い。花の都をあとはるばると。知らぬ憂目に逢坂おうさか山の。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
大君の御門みかど国守くにもりまなり坂つき面白しあれ独り行く(御門国守まなり坂は皆地名)
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
村上むらかみ御門みかど第七の王子、二品中務親王にほんなかつかさしんのう、六代の後胤こういん仁和寺にんなじ法印寛雅ほういんかんがが子、京極きょうごく源大納言雅俊卿みなもとのだいなごんまさとしきょうの孫に生れたのは、こう云う俊寛しゅんかん一人じゃが、あめしたには千の俊寛、万の俊寛、十万の俊寛
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
倭節用集やまとせつようしゅう、京師俟野通尚簒補)万人がそれを認めていた。天皇の名称は、「禁裡きんり」、「内裏だいり」、「御門みかど」などとも、いわれている。それは「主権者ではないこと」を、はっきり示した文字である。
この神は御門みかどの神なり。次に手力男の神は、佐那さなあがたにませり。
大王おほぎみ行幸みゆきかあらし旗立てて雪の御門みかどを騎馬出づる見ゆ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
御門みかどる われら防人さきもり
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひむがしたぎ御門みかどさもらへど昨日きのふ今日けふすこともなし 〔巻二・一八四〕 日並皇子宮の舎人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
すると、フランス側からは早速さっそく抗議を提出して来た。それは御門みかど政府外国事務掛り、東久世少将、伊達伊予守両閣下へとして、次ぎのような手詰めの談判を意味したものであった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
現に延喜えんぎ御門みかど御代みよには、五条あたりの柿の梢に、七日なのかの間天狗が御仏みほとけの形となって、白毫光びゃくごうこうを放ったとある。また仏眼寺ぶつげんじ仁照阿闍梨にんしょうあざりを日毎にりょうじに参ったのも、姿は女と見えたが実は天狗じゃ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
咄さん拙者は九條家の家來なり一體公家方は官位高く祿ろくひくきもの故に聊か役にたつものあれば諸家方より臨時お雇ひに預る事あり拙者九條家に在勤中ざいきんちうは北の御門みかど御笏代おしやくがはりに雇れ參りし事折々なり此きた御門みかどとは四親王の家柄にて有栖川宮桂宮かつらのみや閑院宮かんゐんのみや伏見宮ふしみのみや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御門みかどのまもり
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あさしま御門みかどにおぼほしく人音ひとおともせねばまうらがなしも 〔巻二・一八九〕 同
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
彼は日本の御門みかどと大君との間に戦争の起こったことを布告し、かつ合衆国人民の局外中立を厳守すべきことを言い渡した。軍船あるいは運送船を売ることも貸すことも厳禁たるべきもの。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)