御都合ごつがふ)” の例文
老師らうし相見しやうけんになるさうで御座ございますから、御都合ごつがふよろしければまゐりませう」とつて、丁寧ていねい敷居しきゐうへひざいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
手紙には、五月号にに合ふやうに短篇を一つお願ひしたい。御都合ごつがふ如何いかがと書いてあつた。僕は勿論快諾くわいだくした。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
……あらためてふまでもないが、車賃くるまちんなしの兵兒帶へこおびでも、つじちまたさかまをすまでもないこと待俥まちぐるまの、旦那だんな御都合ごつがふで、を切拔きりぬけるのが、てくの大苦勞だいくらうで。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
無邪氣むじやき笑顏ゑがほいつもあいらしく、雪三せつざう菊塢きくう秋草あきくささかりなりとかきくを、此程このほどすぐさずともなひてはたまはらずやと掻口説かきくどきしに、なん違背ゐはいのあるはずなく、おまへさま御都合ごつがふにて何時いつにてもおともすべしと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
こらへ成程當暮たうくれは御不都合との事なれば是非もなき次第なり斯樣申さば御聞取りによりて御腹も立れんがはゞかりながら此御身代しんだいにてわづか二兩か三兩の金子なれば御都合ごつがふの成ぬ事も有まじ又御前樣の爲にも掛替かけがへなき一人の母樣が御いのちにもかゝはる大事の時故今一應御思案ごしあんなされ何卒此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「あちらの御都合ごつがふで、お線香せんかうを。」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
訴へる時には我々われ/\かく仲間なかましうへ二十兩出させたうへ又々番所ばんしよへ引出しては何分どくにて我等われら濟難すみがたきによりまづ内々ない/\詮鑿せんさくいたされよとは云ものゝ明日あしたはらひにこまらるべければ我等われら二百りやう用立ようたてんによりそれにて此節季このせつきすまさるべしもつとも此金は利分りぶんに及ばず御都合ごつがふ宜敷よろしきをり返濟へんさいなさるべしと金子二百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かひに行かんとせしが能々よく/\思へばお夜食やしよくのお米もなければ詮方なく進度あげたき鰻も買うこと成ず是程せつなき譯なれば御相談は爰の處お前樣もお良人つれあひのお手前もあらんが唯今申通りの譯なれば御氣の毒なれども何卒金子三兩夫共御都合ごつがふわるくば二兩にてもよろしく母樣の御病氣の御全快迄御貸下さる樣御願ひ申上ますとをがみつ泣つ頼みいり此金子の出來し事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)