トップ
>
得手
>
えて
ふりがな文庫
“
得手
(
えて
)” の例文
彼はそういう事を事こまかに
大阪弁
(
おおさかべん
)
で話した。しかし僕は大阪弁を写生することが
得手
(
えて
)
でないから、そのまま書くことが出来ない。
遍路
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その
神工鬼斧
(
しんこうきふ
)
に驚嘆して歌をつくり、または
古
(
いにし
)
えの浦島の子の伝説を懐古してあこがれたりするようなことは
得手
(
えて
)
ではありません。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だれでも
得手
(
えて
)
というものがあるから、それをのばせば、
成功
(
せいこう
)
すると
先生
(
せんせい
)
がいったので、ぼく、
元気
(
げんき
)
が
出
(
で
)
て、うれしくなったよ。
空にわく金色の雲
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
きいておこうぞ。いずれあの建札知って参ったからには、それぞれ
得手
(
えて
)
がある筈、右の奴は何と申す名前の何が得手じゃ
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
これらの彫刻は掛かりの方から下絵が出ているので、そうむずかしく意匠することも入らず、
得手
(
えて
)
々々に彫刻して雲形の透かしに配置したものです。
幕末維新懐古談:52 皇居御造営の事、鏡縁、欄間を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
私がやつたやうに、あなたといふ人は、自分のことを話すのが
得手
(
えて
)
ではなくて、人の話を聞いてやる方だといふことが人には本能的にわかるのです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「
得手
(
えて
)
に
帆
(
ほ
)
とやら、お
門出
(
かどで
)
は上々吉です。が、野分のあとを見てくると、東へ行くほど、荒れがひどいようですが」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いろいろと
工夫
(
くふう
)
をして自分の
得手
(
えて
)
に合うようなのを削り上げ、それには名前をつけておいたりする子どももある。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
得手
(
えて
)
でないところは
早間
(
はやま
)
になるうれいがある。彼女の芸は
鴈治郎
(
がんじろう
)
の芸と一脈共通のところがあるかと思われる。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
碎
(
くだ
)
いて
言
(
い
)
へば、
夜逃
(
よにげ
)
は
得手
(
えて
)
でも、
朝旅
(
あさたび
)
の
出來
(
でき
)
ない
野郎
(
やらう
)
である。あけ
方
(
がた
)
の
三時
(
さんじ
)
に
起
(
お
)
きて、たきたての
御飯
(
ごはん
)
を
掻込
(
かつこ
)
んで、
四時
(
よじ
)
に
東京驛
(
とうきやうえき
)
などとは
思
(
おも
)
ひも
寄
(
よ
)
らない。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
は、は、は、とんだ幕が、一幕はさまってしまった。それじゃあ、又、あいましょうぜ。もう、風は、
得手
(
えて
)
だ。潮は、一ぺえに充ちている——思い切って、帆を
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
さればや僕少壮の頃
吉原
(
よしわら
)
洲崎
(
すさき
)
に遊びても
廓内
(
かくない
)
第一と噂に高き女を
相方
(
あいかた
)
にして床の番する愚を学ばず、二、三枚下つたところを買つて気楽にあそぶを
得手
(
えて
)
となしけり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「お、危ねえ。俺は
河童
(
かつぱ
)
の眞似は
得手
(
えて
)
ぢやねえから、飛込まれたら最後見殺しにしなきアならねえ」
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ともかく智恵伊豆は敵の
得手
(
えて
)
を封じ策つきたのを見はからって軽く攻略し、味方の損害は甚しく少なかったが、それにも
拘
(
かかわ
)
らず、攻略に長い日数を要したと云って叱られ
安吾史譚:01 天草四郎
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
今も職掌により猴の
咄
(
はなし
)
を聞いてもその日休業する者多し。予の知れる料理屋の小女夙慧なるが、小学読本を
浚
(
さら
)
えるとては必ず
得手
(
えて
)
と
蟹
(
かに
)
という風に猴の字を得手と読み居る。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
武芸にすぐれ、度胸満点の忠盛も、舞の方は余り
得手
(
えて
)
ではない。それにこの人は生れつきの
眇目
(
すがめ
)
である。眇目の踊りは、どうひいき目にみても、余り優美ではなかったろう。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「三人行けば必ず師あり」で、彼等が寄り合うと、その中にはきっと
得手
(
えて
)
が出て来る。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
人のざんげを聞くことが
得手
(
えて
)
じゃないのです。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「ところが、拙者は投網の方はあんまり
得手
(
えて
)
ではございませんよ、その代り釣りと来たら、御隠居の前だが、おそらく当今では
稀人
(
まれびと
)
の部でござんしょうな」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
兵庫くずしの姿を目あてに、七番堂から馳け出した釘勘の跳足! かれの
得手
(
えて
)
とする捕繩の風を切るより早く。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三味線ひくやつだって、忍びの
得手
(
えて
)
がねえとはかぎらねえよ。夜忍びするは男と決まったもんじゃねえからな
右門捕物帖:23 幽霊水
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
父のガイヤーは絵画を稽古させたがデッサンと
粉本
(
ふんぽん
)
とに囚えられるのは我慢が出来なかったらしく、音楽においても同じような課程の修業はワグナーの
得手
(
えて
)
ではなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
一時剣術に凝つたり、砲術を習つたりした
名残
(
なごり
)
で、どちらかといへば、さういふ時に槍など持つことを好んでゐた。父はさういふとき『
得手
(
えて
)
まへ』といふ言葉を
好
(
よ
)
く使つた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
あくまで素人らしく見せるが高等の
得手
(
えて
)
なれば、女中の仕度して下へ行くまでは座敷の隅に小さくなつて顔も
得上
(
えあ
)
げず、話しかけても返事さへ気まりわるくて口の中といふ風なり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
差免
(
さしゆる
)
すとは相成ず然るを強て申立ること其方は町人の身故に
公儀
(
おかみ
)
の御定法を相
辨
(
わきま
)
へぬ所なり
得手
(
えて
)
勝手
(
かつて
)
而已
(
のみ
)
申立るなり如何樣汝が願ひに及べばとて天下の御定法には
替難
(
かへがた
)
しと申さるゝを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
虹の目玉だ、やあ、八千年
生延
(
いきの
)
びろ、と
逆落
(
さかおと
)
しの
廂
(
ひさし
)
はづれ、
鵯越
(
ひよどりごえ
)
を
遣
(
や
)
つたがよ、
生命
(
いのち
)
がけの仕事と思へ。
鳶
(
とび
)
なら
油揚
(
あぶらげ
)
も
攫
(
さら
)
はうが、人間の手に持つたまゝを
引手繰
(
ひったぐ
)
る段は、お互に
得手
(
えて
)
でない。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
甚だ
得手
(
えて
)
勝手な申し分のようでは御座いますが、万一の場合を予想しまして、この種の犯罪の予防方法と、犯罪の検出探索方法とを、出来る限り周到に研究しておかねばならぬ……と考えましたので
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「まだ宵の口でございますから、あえて急ぐ必要もございますまい、関ヶ原までは僅か一里の道、それもこの良夜を、
得手
(
えて
)
に帆を揚げたような下り坂でございますから」
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小我な欲望は、とどきそうなことでも
得手
(
えて
)
とどかないが、忠節からほとばしる真心なら、どんな至難と思われることでも貫けるものではある——ということをひしと感じた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
併し僕は大阪弁を写生することが
得手
(
えて
)
でないから、その
儘
(
まま
)
書くことが出来ない。
遍路
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
四十五六の
壯
(
さか
)
んな年頃ですが、ひどい
跛者
(
びつこ
)
で蒼白くて、二本差としてモノの役に立ちさうもありませんが、
雜俳
(
ざつぱい
)
や
席畫
(
せきぐわ
)
が
得手
(
えて
)
で、散らしを描いたり、配り物、刷り物の圖案をしたり、代作、代筆
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
同じく人の悪口きくを好み、人のアラ探り出すが
得手
(
えて
)
なる者。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あいつは青い
面
(
かお
)
をして書物と首っ引きをしていたのだから、相当に理窟は言えるようになったろうけれど、それよりもあいつの
得手
(
えて
)
は上役に取入ることだ、
老中
(
ろうじゅう
)
あたりに縁があって
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
乱暴な口ならいくらもたたくが、主君に
忠諫
(
ちゅうかん
)
などは、
得手
(
えて
)
でない限りである。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
得手
(
えて
)
に帆揚げる四藩の
奸物
(
かんぶつ
)
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“得手”で始まる語句
得手勝手
得手吉
得手物
得手不得手