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待給
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まちたま
待給へ
諸共にの
心なりけん、
見し
忍び
寐に
賜はりし
姫がしごきの
緋縮緬を、
最期の
胸に
幾重まきて、
大川の
波かへらずぞ
成りし。
中納言綱條卿と御
對座にて
御座まし越前が登城今や/\と
待給ふ時しも太田主計頭が案内にて越前守
恐る/\御前へ
出遙か末座に平伏す時に主計頭座を
はた
杢を
信ずる
者少ければ、
其命令も
行はれじ、
好き
機もがなあれかしと
時機の
到るを
待給ひぬ。
疑がふは
罪ふかき
事なり
一日二日待給へ
好き
御返事の
參るは
定ぞと
言ひしに
違ひは
無かるべし
若しさうならば
何とせん
八重は
上もなき
恩人なれば
何ごとなり
共氣に
入ることして
悦ばせたし
歳は
下なれど
分別ある
人とて
言少なゝれば
願ひは
有や
望みはなしや
知れ
難きを
又逢ふ
場所は
某の
辻某の
處に
待給へ
必らずよと
契りて
別れし
其夜のこと
誰れ
知るべきならねば
心安けれど
心安からぬは
松澤が
今の
境涯あらましは
察しても
居たものゝそれ
程までとは
思ひも
寄らざりしが
其御難儀も
誰がせし
業ならず
勿躰なけれど
我が
親うらみなり
聞かれぬまでも
諫めて
見んか
否父は