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嵩張
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かさば
ふりがな文庫
“
嵩張
(
かさば
)” の例文
お葉の差出した縫つぶしの、
洒落
(
しや
)
れた紙入。小型ではあるが、少し
嵩張
(
かさば
)
つた感じのを受取つて、平次は銀の小ハゼをはづしました。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そしてその
隙
(
ひま
)
に近所で昼食をしたためて来てから、自分も若夫婦に手を貸して、
埃
(
ほこり
)
の
堆
(
うずたか
)
い
嵩張
(
かさば
)
った荷物を明るい縁先へ運び出した。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
店の
上
(
かみ
)
さんに、土産を買えと勧められて、何か
嵩張
(
かさば
)
らないものをと、
楊枝入
(
ようじい
)
れやら、煙草箱やらを、二つ三つ
選
(
え
)
り分けていた。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「まあ、出しなさい。なるほど
嵩張
(
かさば
)
る割に軽いもんだね。見っともないと云うのは小野さんの事だ」と宗近君は屑籠を
揺
(
ふ
)
りながら歩き出す。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
玄関をかこうように網代の袖垣がある、その垣の下に厚い
布子絆纒
(
ぬのこはんてん
)
でくるんだ赤児とかなり
嵩張
(
かさば
)
った包みとが置かれてあった。……はま女は
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
勘定は大分
嵩張
(
かさば
)
っていた。なぜと云うに、宿料、朝食代、給仕の賃銀なんぞの外に、いろいろな筆数が附いている。
襟
(新字新仮名)
/
オシップ・ディモフ
(著)
それはしきたりを無視した現れかもしれないが、みていて自然ではなく、男の方だけが
嵩張
(
かさば
)
っている感じだった。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
人間豹が魔術師のようなゼスチュアで箱の中から引きずり出したものは、ひどく
嵩張
(
かさば
)
った黒くてグニャグニャした、何かしらゾッとするようなものであった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
母は押入の隅に
嵩張
(
かさば
)
っている三尺ほども高さのある地球儀の箱を指差した。——私は、ちょっと胸を突かれた思いがして、かろうじて苦笑いを
堪
(
こら
)
えた。そうして
地球儀
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
たとへ費用が
嵩張
(
かさば
)
つても、すぐれた醫師を招かなければ村の惡疾の消滅する望みがないやうに思はれた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
彼は自分でも、自分が今、しかかる素振りに驚きつつ、彼は権威者のように「出せと云ったら、出さないか」と体を
嵩張
(
かさば
)
らせて、のそのそとみち子に向って行った。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「すると十一時三十五分前後ですね。動物の食うものというと、随分
嵩張
(
かさば
)
ったものでしょうね」
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その
葛籠
(
つづら
)
や荷物がおそろしく
嵩張
(
かさば
)
っている上に、この騒ぎの中だというのに、ある者は金糸銀糸の衣裳を着、ある者は
毛脛
(
けずね
)
に
白粉
(
おしろい
)
をなすりつけており、気をつけて見ると
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
簡單
(
かんたん
)
な
普請
(
ふしん
)
には
大工
(
だいく
)
が
少
(
すこ
)
し
鑿
(
のみ
)
を
使
(
つか
)
つた
丈
(
だけ
)
で
其
(
その
)
他
(
た
)
は
近所
(
きんじよ
)
の
人々
(
ひと/″\
)
が
手傳
(
てつだ
)
つたので
仕事
(
しごと
)
は
只
(
たゞ
)
一
日
(
にち
)
で
畢
(
をは
)
つた。
長
(
なが
)
い
嵩張
(
かさば
)
つた
粟幹
(
あはがら
)
で
手薄
(
てうす
)
く
葺
(
ふ
)
いた
屋根
(
やね
)
は
此
(
こ
)
れも
職人
(
しよくにん
)
の
手
(
て
)
を
借
(
か
)
らなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
見ると、何か
嵩張
(
かさば
)
る箱のようなものを
背負
(
しょ
)
って、額に汗を
掻
(
か
)
いて大分
疲労
(
くたび
)
れた
体
(
てい
)
である。
幕末維新懐古談:54 好き狆のモデルを得たはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
こんないつ売れるともわからぬ
嵩張
(
かさば
)
った物なぞは
疏
(
は
)
いてしまいたかったのでございましょうが、今こちらが落ち目になりかかっているところだけに、万戸屋からこれを言われたのでは
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
実際軽いけれどこんな
嵩張
(
かさば
)
るものとは思いがけなかった。巧く一杯食わされたよ
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「何だ、焼物だつて。
嵩張
(
かさば
)
らないとこを見ると、一
輪挿
(
りんざし
)
の瀬戸物かな。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
卓
(
テーブル
)
の上に置かれた、物々しい紙挾みと
嵩張
(
かさば
)
った白い大きな角封筒を、珍らしい生物でも眺めるような眼つきで、眼の隅からジロジロと見物していたが、そのうちに、なんともいえない重苦しい不安と
キャラコさん:11 新しき出発
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
嵩張
(
かさば
)
つた紙包がバタリと疊の上に落ちた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そういう物が、少し
嵩張
(
かさば
)
ると、父は
死までを語る
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
嵩張
(
かさば
)
った手土産がありました。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何か
嵩張
(
かさば
)
った重そうな包みを寝台の下からずるずる引きずり出しながら、出て行く弘のうしろかげへ眼をやって高夏は云った。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今度はさして大幅でなかつたためか、
軸
(
ぢく
)
から切り離すやうなことはしませんが、
嵩張
(
かさば
)
つた桐の二重箱は持つて行きません。
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
荷物其他
嵩張
(
かさば
)
り候ものは皆当地にて売払い、なるべく手軽に引き移るつもりに御座候。唯小夜所持の
琴
(
こと
)
一面は本人の希望により、東京迄持ち運び候事に相成候。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
全身、
蒼黒
(
あおぐろ
)
くなりその上、
痩
(
やせ
)
さらばう骨の
窪
(
くぼ
)
みの皮膚にはうす紫の
隈
(
くま
)
まで、漂い出した中年過ぎの男は
脹
(
は
)
れ
嵩張
(
かさば
)
ったうしろ
頸
(
くび
)
の
瘤
(
こぶ
)
に背を
跼
(
くぐ
)
められ
侏儒
(
しゅじゅ
)
にして餓鬼のようである。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「鳥羽は真珠の名産地だよ。
嵩張
(
かさば
)
らない物だから
何程
(
いくら
)
でも買って行き給え」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「随分
嵩張
(
かさば
)
るだらうからな。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
買う金もなし第一あんな
嵩張
(
かさば
)
るものを担ぎ込む訳に行かないので三味線から始めたのであるが調子を合わせることは最初から出来たというそれは音を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「小判といふと、千兩箱の事ばかり考へて
嵩張
(
かさば
)
るものと思つたからいけなかつたんだ。サア、行かう、八」
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのうちで一番重くて
嵩張
(
かさば
)
った大きな洋書を取り出した時、彼はお延に云った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
手土産の果物籠が
嵩張
(
かさば
)
るから円タクで行った。近間へ差しかゝった時、以前その辺を
悄然
(
しょうぜん
)
として通ったことを思い出した。門前で下りて玄関へ進むと、先生が一人の男を送り出すところだった。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
僕ハ妻ガ、
嵩張
(
かさば
)
ラナイデ音ノシナイアノ紙ヲ何ノ用途ニ使ッテイルカヲ直チニ想像スルヿガデキタ。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
懷中
(
ふところ
)
はあまり豐かでないが、新鳥越の知合を訪ねて、觀音樣へお詣りして、雷門前で輕く一杯呑んで、おこしか何んか、安くて
嵩張
(
かさば
)
るお土産を買つて、明神下の錢形の親分のところへ
辿
(
たど
)
り着くと
銭形平次捕物控:222 乗合舟
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
とお父さんに何だか妙に
嵩張
(
かさば
)
った新聞包を渡した。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そこに収めてあった筈の武具やその他の
嵩張
(
かさば
)
った荷物が戦争のために
悉
(
ことごと
)
く取り出されてしまったらしく、土間の大部分ががらんどうになっていて、一方の隅に
急拵
(
きゅうごしら
)
えで拵えた
竃
(
かまど
)
が築いてある。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
妻戸
(
つまど
)
と壁とで仕切られたその部屋の中は、大輪の花のような
嵩張
(
かさば
)
った衣裳を着けている上﨟の体を
容
(
い
)
れるために十分なゆとりが取ってあって、茶の間程の面積に一杯に畳が敷き詰めてあるので
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
両側から
掬
(
すく
)
い上げるようにして辛うじてその
嵩張
(
かさば
)
るものを車へ入れた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
嵩
漢検準1級
部首:⼭
13画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“嵩張”で始まる語句
嵩張物