夫迄それまで)” の例文
宿し奉りし處御部屋住おんへやずみなれば後々召出さるべしとの御約束にて夫迄それまでは何れへ成とも身をよせ時節じせつを待べしとの上意にて御墨附おんすみつき御短刀おたんたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小六ころく御米およね今朝けさから今迄いままで樣子やうすくと、じつあまねむいので、十一時半頃じはんごろめしつてたのだが、夫迄それまで御米およね熟睡じゆくすゐしてゐたのだとふ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と云うのは電柱の蔭に夫迄それまで身を潜めて居たらしい一人の五十格好の鳥打帽とりうちぼうにモジリを着た男が、素早やく私と肩を並べてあたかも私の連れの如くよそおい乍ら
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
勿論もちろんこと成敗せいばい豫期よきがたいが、萬一まんいち氣球ききゆう空中くうちう破裂はれつするとか、其他そのた異變ゐへんために、使命しめいはたこと出來できなければ夫迄それまでこと此方こなた電光艇でんくわうていは、約束やくそく本島ほんたうはつし、橄欖島かんらんたうおもむいて、數日すうじつつても
致しまことの修驗と相成て後當村へかへり其時にこそ師匠ししやう感應院の院を續度つぎたく存ずるなりあはれ此儀を御許おんゆるし下され度夫迄それまでの内は感應院へはよろしき代りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まあそんな手紙てがみだけですから、——そりあかねことつてますが、なに東京とうきやう蒙古もうこだから打遣うちやつてけば夫迄それまでです。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
自動車が三筋町の電停を一二町も過ぎ尚も疾走を続けようとした折に、夫迄それまで石の様に黙り続けて居た男が、運ちゃん、ストップ、と陰気なかすれ声を発しました。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
見合せ伺ひ申べしとのことにてまづ夫迄それまでは大坂の早打はやうち留置とめおけとの趣きなり近江守は甚だ迷惑めいわくの儀なれども御重役ごぢうやくの申付是非ぜひなく御機嫌のよろしき時節を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夫迄それまでつき一度いちど此方こちらからきよ家賃やちんたしてると、むかふからその受取うけとりこすだけ交渉かうせふぎなかつたのだから、がけうへ西洋人せいやうじんんでゐると同樣どうやうで、隣人りんじんとしてのしたしみは
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
全体何時ごろなんです、御帰りになつたのは。夫迄それまで何所どこつてらしつた
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
理窟りくつから云って、読まねばならない義務のある小説というものは、其小説の校正者か、内務省の検閲官以外にそうあろうはずがない。わざわざ断わらんでもいやなら厭で黙って読まずに居れば夫迄それまでである。