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大仰
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おおぎょう
ふりがな文庫
“
大仰
(
おおぎょう
)” の例文
こういう人物の習いとして、苦しい懸け引きの必要上、
大仰
(
おおぎょう
)
な
駄法螺
(
だぼら
)
を吹いたこともあった。他人に対して誠意を欠くこともあった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
さすがに事の
大仰
(
おおぎょう
)
になるのに遠慮されて
御無沙汰
(
ごぶさた
)
を申し上げているとこんなことをおりおり
歎息
(
たんそく
)
しておいでになるのでございます
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
大きな役ばかり引受けていましたが、演技はがさつで、味もそっけもなく、やたらに
吼
(
ほ
)
え立てる、
大仰
(
おおぎょう
)
な見得を切る、といった調子でした。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と早口にいって、仲間の一人が、すでに武蔵の刃にかかって仆れたことを、
大仰
(
おおぎょう
)
な手つきで告げているらしく見える。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
料亭など借りるのは出来過ぎているし、寮は人を介して頼み込むのが
大仰
(
おおぎょう
)
だし、その他に頃合いの家を探すのであるが、とかく女の身は不自由である。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
勘次も彦兵衛も、にやりと顔を笑わせたが、に組の常吉は、冗談どころではないといったふうに
大仰
(
おおぎょう
)
に手を振って
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
金蔵破りのほうはいっさい心配はいらぬと
大仰
(
おおぎょう
)
な
頬桁
(
ほおげた
)
をたたいておったのを、わしはたしかにこの耳で聞いたぞ。
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼はディーネルの両手を取り、
大仰
(
おおぎょう
)
な親しさで叫びだした。店員らは忍び笑いをし、ディーネルは顔を赤らめた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「所が」
翁
(
おきな
)
は
大仰
(
おおぎょう
)
に首を振って、「その
知人
(
しりびと
)
の家に居りますと、急に往来の人通りがはげしくなって、あれを見い、あれを見いと、
罵
(
ののし
)
り合う声が聞えます。 ...
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「今日はほんとに変な日じゃ」長者は左膳の走って行くその
大仰
(
おおぎょう
)
な様子を見て、
審
(
いぶか
)
しそうに云うのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大分
大仰
(
おおぎょう
)
な
噂
(
うわさ
)
が伝わって、末世と雖も誠の志があれば
奇瑞
(
きずい
)
が現れるのであると、一時はえらい評判になった。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
すると、俊三が、すぐあとからついて来て、声をしのばせながら、しかし、いかにも
大仰
(
おおぎょう
)
らしく言った。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
花輪の一箇一箇が出来るだけ
大仰
(
おおぎょう
)
に足を高々とつけて、それを機会として自家広告をしているような葬式を通りぬけて、かえってからよせ鍋の夕飯を五時すぎにすませ
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
……どうも手前、田舎者でございまして、さようなことはとんと勝手が分らぬもので、……(
大仰
(
おおぎょう
)
に右手を指し)では、なよたけを呼んで参りまする。……(右に退場)
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「これはまた
大仰
(
おおぎょう
)
な。試合は真剣の争いにあらず、勝負は時の運なれば、勝ったりとて負けたりとて、
恥
(
はじ
)
でも
誉
(
ほまれ
)
でもござるまい、まして一家の破滅などとは
合点
(
がてん
)
なり
難
(
がた
)
き」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「意地わるっ! こんなに、ちゃんと着てしまっているのに——」クリーム色のピケで、型ばかりはひどくハイカラだが、お手製らしいワンピースを、
大仰
(
おおぎょう
)
に手を
展
(
ひら
)
いて見せた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
誰かに
遇
(
あ
)
うと、
大仰
(
おおぎょう
)
に背中を見せる。すると、一瞬間、重いのを忘れるのである。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「いざという場合に柵がはずれなんだりすると大変だぜ。俺等ちゃんと用意しとるんだ。」健二はわざと
大仰
(
おおぎょう
)
に云った。それで相手の反応を見て、どういうつもりか推し測ろうとする考えだった。
豚群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
ひどくめかしこんで——とは波子があとで言ったことだが、
札幌
(
さっぽろ
)
あたりで作ったと覚しいよそ行きの洋装は、きたないこのバラックを訪ねるにしてはたしかに
大仰
(
おおぎょう
)
で、顔もいやに厚化粧をしていた。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
と元よりたゝかぬとは知っていますが仕打は
大仰
(
おおぎょう
)
なもので
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と答えるのを、
大仰
(
おおぎょう
)
に眉をひそめて受けて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
と、左近将監は
大仰
(
おおぎょう
)
にうなずきました。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
無事の時ならばなんでもないことが、
大仰
(
おおぎょう
)
に仔細ありげに考えられますから、よっぽど注意しないといけません。
半七捕物帳:25 狐と僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
クリストフは、飾りたてた発声法をもってる
大仰
(
おおぎょう
)
な甘ったるい節回しのイタリー
歌劇
(
オペラ
)
を重んじなかったが、それらの詩劇をもまた同様に重んじなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
座敷には
灯
(
ひ
)
がともされて、門前からは大臣の前駆の者が
大仰
(
おおぎょう
)
に立てる人払いの声が聞こえてきた。女房たちが
源氏物語:21 乙女
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「——なんと
大仰
(
おおぎょう
)
な。母を迎えにまいるのは秀吉のわたくし事。……そう大兵を供して参るには及ばぬことだ」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤井
(
ふじい
)
と云う弁護士は、
老酒
(
ラオチュ
)
の
盃
(
さかずき
)
を
干
(
ほ
)
してから、
大仰
(
おおぎょう
)
に一同の顔を見まわした。
円卓
(
テエブル
)
のまわりを囲んでいるのは同じ学校の寄宿舎にいた、我々六人の
中年者
(
ちゅうねんもの
)
である。
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あいつらの
面
(
つら
)
という面、目という目は、みんなこっちばっかりを見合せていやがる——だから、この一匹の馬のためにあの人数が繰出されたと見るよりほかはねえ、
大仰
(
おおぎょう
)
なこった。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「おお、ひょろ松じゃないか。
大仰
(
おおぎょう
)
な旅支度で、いったい、どこへ行く」
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「稀代の逸品でげす、拝むだけで眼の保養でげす」などと
大仰
(
おおぎょう
)
に頭を叩いてからというものは、お艶の名はその唄うお茶漬音頭とともに売り出して、こんな
莫迦騒
(
ばかさわ
)
ぎの好きな下町の人びとの間に
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「え?」と、それを聞くと金兵衛は、わざと
大仰
(
おおぎょう
)
に驚いて見せたが
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あまりにお気の毒なので御辞退ができなかったのだが、これをまた世間は
大仰
(
おおぎょう
)
に
吹聴
(
ふいちょう
)
をするだろうね。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
両手を縛れ、膝を縛れ——などと
大仰
(
おおぎょう
)
にさわぎだすと、伊織は、それらの手を振り払って
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物語らんと座を構えると、事が
大仰
(
おおぎょう
)
になりますが、まあ掻いつまんで申し上げれば、その日は七月十二日、朝の五ツ時(午前八時)に笹川の鶴吉は直七附き添いで高輪へ出て来る。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
年の若い巡査は警部が去ると、
大仰
(
おおぎょう
)
に天を仰ぎながら、
長々
(
ながなが
)
と
浩歎
(
こうたん
)
の
独白
(
どくはく
)
を述べた。何でもその意味は長い
間
(
あいだ
)
、ピストル強盗をつけ廻しているが、
逮捕
(
たいほ
)
出来ないとか云うのだった。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大仰
(
おおぎょう
)
に言えば、
桝
(
ます
)
に芋の子を盛ったようなたかり方だから、七兵衛の
韜晦
(
とうかい
)
にはいっそう都合がよいというもので、ちょっと鼻の先で空世辞を言いながら、人の蔭に隠れて、湯の中へ身を沈め
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
どなるように泰軒がいうと、忠相はにっこりして
大仰
(
おおぎょう
)
に膝を打った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それに続いて紋太夫がさも
大仰
(
おおぎょう
)
に云うのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
縄尻はそばの
巨
(
おお
)
きな石に巻きつけてあるのだった。もう「ウ」も「ス」もいい得ない死人の体をそう
大仰
(
おおぎょう
)
に
縛
(
くく
)
っておかないでもよさそうなものと又八はながめていたことだった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すると金三は「こっちだよう」と一生懸命に
喚
(
わめ
)
きながら、畑のある右手へ走って行った。良平は
一足
(
ひとあし
)
踏み出したなり、
大仰
(
おおぎょう
)
にぐるりと頭を廻すと、前こごみにばたばた駈け戻って来た。
百合
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
与八の驚き方があまりに
大仰
(
おおぎょう
)
なのでおかしくなったのですが、与八はまた、お松が
永
(
なが
)
の病気から身の上を悲観して自害でもするつもりと勘違いをしているので、お松の手から短刀をもぎ取って
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
母
御息所
(
みやすどころ
)
の感謝しておられる志も、せめてこの際に現わしたいと中宮は思召したのであるが、宮中からの賀の
御沙汰
(
ごさた
)
を院が御辞退されたあとであったから、
大仰
(
おおぎょう
)
になることは皆おやめになった。
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
とびのいた与吉は、
大仰
(
おおぎょう
)
に顔をしかめつつ甲をなめて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、朋輩の女郎たちはいかに心配したかということを、さも
大仰
(
おおぎょう
)
にいって、たしなめる。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ると
剣梅鉢
(
けんうめばち
)
の紋ぢらしの
数寄
(
すき
)
を
凝
(
こ
)
らした、——真鍮の煙管である。彼は
忌々
(
いまいま
)
しそうに、それを、また、畳の上へ抛り出すと、
白足袋
(
しろたび
)
の足を上げて、この上を
大仰
(
おおぎょう
)
に踏みつける真似をした。……
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ようやく、それをあけて井戸端まで来て見ると、後ろに倒れた神尾主膳は、福村の手によって
頻
(
しき
)
りに介抱されています。介抱している福村は、度を失うてあわてきっているのがあまりに
大仰
(
おおぎょう
)
です。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
勘次は
大仰
(
おおぎょう
)
に頷いて胸板を一つ叩いて見せた。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
元禄という当時の庶民は、こういう奇行をなす男女があると、唄にしたり、劇に仕組んだり、
大仰
(
おおぎょう
)
に美化して、それを麻痺した生活の刺戟にしたり、酒のさかなに興じたりした。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兄は帰って来るだろうか?——そう思うと彼は電報に、もっと
大仰
(
おおぎょう
)
な文句を書いても、好かったような気がし出した。母は兄に会いたがっている。が、兄は帰って来ない。その内に母は死んでしまう。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
誰もそれを卑怯だとも、
大仰
(
おおぎょう
)
に過ぐるとも笑う者がない。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“大”で始まる語句
大
大人
大事
大袈裟
大分
大切
大抵
大概
大方
大丈夫