夜番よばん)” の例文
すぐばんつじ夜番よばんで、わたしつて、ぶるひをしたわかひとがある。本所ほんじよからからうじてのがれて避難ひなんをしてひとだつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
表通りで夜番よばん拍子木ひょうしぎが聞える。隣村となりむららしい犬の遠ぼえも聞える。おとよはもはやほとんど洗濯の手を止め、一応母屋おもやの様子にも心を配った。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
領主 その書面しょめんようわ。これへ。……して、夜番よばん呼起よびおこしたはく侍童こわらはとやらは何處どこる?……こりや、其方そち主人しゅじん此處このところへはなにしにわせたぞ?
ちこちに夜番よばん拍子木ひょうしぎ聞えて空には銀河のながれ漸くあざやかならんとするになほもあつしあつしと打叫うちさけびて電気扇でんきせん正面まともに置据ゑ貸浴衣かしゆかたえりひきはだけて胸毛を
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
夜番よばんの室から外に出ようとしますと、気のせいか、どっかで物を壊すようなゴトゴトバリバリという音がします。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
長谷川町はせがわちょうの木戸のわきに居た番太郎は江戸ッ子でございます、名を喜助きすけと云って誠に酒喰さけくらいですが、妙な男で夜番よばんをする時には堅い男だから鐘が鳴るとすぐに拍子木を持って出ます
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夜番よばんの爺さんを叩き起し、出入商人の御用聞きを引きつれて来るもの、一々を記していては際限がないが、それらの聞込みや問答からは、読者に伝えて置かなければならぬ程の
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
夜番よばんのために正宗まさむねの名刀と南蛮鉄なんばんてつ具足ぐそくとを買うべく余儀なくせられたる家族は、沢庵たくあん尻尾しっぽかじって日夜齷齪あくせくするにもかかわらず、夜番の方ではしきりに刀と具足の不足を訴えている。
やがて燈火あかりったひとがわせて、はかひらかうとやしゃるやいな、御主人ごしゅじんけんかしゃれました。それでわたくし走出かけいだして夜番よばんしゅうびました。
づは重疊ちようでふむかつて齒向はむかつてでもられようものなら、町内ちやうない夜番よばんにつけても、竹箒たかばうき押取おつとつてたゝかはねばらないところを、とき敵手あひてげてくれるにかぎる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「見届けるって、夜番よばんでもするのかい」
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
したが、夜番よばんかれぬうちにわかれませうぞ、マンチュアへかれぬやうになってはならぬ。
わたしは、安直あんちよく卷莨まきたばこかしながら、夜番よばん相番あひばんと、おなじ彌次やじたちにはなしをした。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御安心ごあんしんなさいまし、大丈夫だいぢやうぶでせう。」といふところへ、濱野はまのさんが、下駄げたならしてんでもどつて、「づか/\にはからはひりますとね、それ、あのぢいさん。」といふ、某邸ぼうてい代理だいり夜番よばん
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)