善良ぜんりょう)” の例文
「そうだよ。おまえは善良ぜんりょう忠実ちゅうじつな友だちだ。けれどなさけないことにはほかのものがいないでは、もうたいしたことはできないのだ」
は、そんなことをされても、だまっていましたが、あいする善良ぜんりょう生徒せいとたちは、けっして、だまってはいませんでした。
学校の桜の木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんな善良ぜんりょう人間にんげんでございますから、こちらの世界せかいうつっててからもいたって大平無事たいへいぶじ丁度ちょうど現世げんせでまめまめしく主人しゅじんつかえたように、こちらでは後生大事ごしょうだいじ神様かみさまつか
荷車の諸君が斯様なものを、と笑った栗、株立かぶだちはんの木まで、駄々をねて車に積んでもろうた。宰領さいりょうには、原宿住居の間よく仕事に来た善良ぜんりょうな小男の三吉と云うのを頼んだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
幕府にてしもせき償金しょうきんの一部分を払うに際し、かねてたくわうるところの文銭ぶんせん(一文銅銭)二十何万円を売りきんえんとするに、文銭は銅質どうしつ善良ぜんりょうなるを以てその実価じっかの高きにかかわらず
きるように、楽しく生きるように頑固がんこに出来上ってる、丈夫じょうぶ騒々そうぞうしいあらっぽいクラフトの人たちの間にあって、いわば人生の外側そとがわはしっこにうち捨てられてるこの弱い善良ぜんりょう二人ふたり
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ところ勿論もちろん秩序ちつじょなく、寐言ねごとのようで、周章あわてたり、途切とぎれてたり、なんだか意味いみわからぬことをうのであるが、どこかにまた善良ぜんりょうなる性質せいしつほのかきこえる、そのことばうちか、こえうちかに
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
影はいつも、つとめていちだん上に立つように心がけていました。そういうことを学者はたいして気にしません。この人はたいへん心の善良ぜんりょうな、またなみはずれておだやかなやさしい人でした。
海賊王デルマが、淡路島に根拠地をおいていたということは、古い文献ぶんけんにも残っています。その当時、デルマは善良ぜんりょう宣教師せんきょうしをよそおい、島の中央に、カトリックの教会を建てたといわれています。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
きました。もう一人ひとりむすめは、かみすくない、ちぢれたでありました。そのむすめは、いたって性質せいしつ善良ぜんりょうな、なさけのふかでありました。
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ガロフォリ、マチア、リカルド、錠前じょうまえのかかったスープなべ、むち、ヴィタリス老人ろうじん、あの気のどくな善良ぜんりょうな親方。わたしをこじきの親分へすことをきらったために、死んだ人。
こんなのは善良ぜんりょう信者しんじゃ標本みほんってもよろしいのでございましょう。
しかしひるになると、また彼をばかにすることばかり考えて、感謝かんしゃの様子などはすこしも見せなかった。その上、クリストフはまだちいさかったので、善良ぜんりょうであるということの価値かちが十分にわからなかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「いや、まったく、ばかげきったはなしですが、なか善良ぜんりょう人間にんげんほど、相手あいて感激かんげきさせるものは、ありません。」と、あには、いうのでした。すると、あにともだちは
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若者わかものは、よろこんで、あらしにかれてぬれたからだを、いえうちへいれました。この若者わかものも、性質せいしつは、善良ぜんりょうですなおなところがあるとみえて、二人ふたりは、やがてけてはなしをしたのであります。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もう一人ひとり、このなかには、自分じぶんというものがあって、その自分じぶんは、わたしよりも、もっとしんせつな、もっと善良ぜんりょう自分じぶんなのであろう。その自分じぶんが、おとうとれていってしまったのだ。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれ性質せいしつは、このときから、だんだん善良ぜんりょうわってまいりました。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)