善悪よしあし)” の例文
旧字:善惡
その近所の山々から沢山出ましてその中にたち善悪よしあしはありますけれどもどうしても本場と申すだけ西京辺のは全体に良いようです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
前陳の各種を製作するにつき、これに附属する飾り金物かなもの、塗り、金箔きんぱく消粉けしこな彩色さいしき等の善悪よしあしを見分ける鑑識も必要であります。
アッハハハハこれは冗談だが、それほどおいらには歌は唄えねえ。それにも拘らず他人のを聞くと、善悪よしあしぐらいはまずわかる。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もう宿の善悪よしあしえらぶにいとまなく、ただ泊めて呉れさえすれば宜しいとうので無暗むやみ歩行あるいて、どうこうか二晩とまって三日目に小倉に着きました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
東京でも下町の女でなければ善悪よしあしのわからないような、中形の浴衣に仕立直しの半帯をきちんと締めたおかみさんである。
羊羹 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
自分もチョークで画くなど思いもつかんことであるから、画の善悪よしあしはともかく、先ずこの一事で自分は驚いてしまった。
画の悲み (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
百姓や何かにはわからないが、あなたのとこの若旦那わかだんなは大学校へはいっているくらいだから、石の善悪よしあしはきっとわかる。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なる程石ほど可愛かあいい物はない、石は人の罪を語らない。そしてもつと本当なのは、石は美術批評家のやうに画家の作品の善悪よしあしを言はない事である。
それにしても、御許にかぎりて、左様なことは有るまじくと存じ居り候。何につけ善悪よしあしとも御便り下されたく候。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その善悪よしあしを、ただすのではない。唯、お前に告げておくのは、わしの見るところ、この儘では、お前の身辺が危いことだ。そちの本心は、どうあろうと、幕吏ばくりが眼を
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふつつかな世話の焼きようである。しかし昔の人の目には掟である。子供らの母はただそういう掟のある土地に来合わせた運命をなげくだけで、掟の善悪よしあしは思わない。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
廃する事は出来ない。殊にじゃ善悪よしあしは兎に角、どの家でも犠牲を払って夜警を勤めているのに、福島と云う奴はしからん奴じゃ。あんな奴の家は焼き払って仕舞うがよい
琥珀のパイプ (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
善悪よしあしはともかく、内の嫁が可愛いにつけ、余所よその娘の臨月を、出てけとは無慈悲で言われぬ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「なんで、きよが、たこの善悪よしあしなんかるものですか。自分じぶんいにいくべきものを、横着おうちゃくをするから、そんなことになったのです。もう、あんたには、たこをってあげません。」
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
あれよりわるうございますと、それは恐入おそれいりましたな、わたくしは美人だと思つてましたが、器量きりやう善悪よしあしなでたツてわかりません……あ……あぶねえなア、んですなア……これは……。近「人力車じんりきだ。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼処あすこの釣を見ては、竿や綸鈎いとはり善悪よしあしなどを論じてるのは、馬鹿げきツてるです。
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
御存じのとおり、茶壺にはいろいろの焼きがございますが、各大名の壺をあずかりました茶匠においては、禄高、城中の席順に関係なく、壺の善悪よしあしによって、棚の順位を決めるのでござります。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
われの観るこの日ものち万年まんねんも遼河は濁る善悪よしあしほか
恋人は現身後生善悪よしあしも分たず知らず君をこそ頼め
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
野菜でも菓物でも肉でも何でもお料理に使うものは品物の善悪よしあしをよく鑑別みわけた上にその食べ頃を知らなければ折角せっかくの美味しいものが不味まずくなります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
すると銀之丞は顔を上げたが、「お前のような町人にも、鼓の善悪よしあしがわかるかな。いったいどこがよいと思うな?」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
百姓や何かにはわからないが、貴所あなたのとこの若旦那は大学校へ這入つてゐる位だから、いし善悪よしあしは屹度わかる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
氷見鯖ひみさばの塩味、放生津鱈ほうじょうづだら善悪よしあし、糸魚川の流れ塩梅あんばい、五智の如来にょらい海豚いるか参詣さんけいを致しまする様子、その鳴声、もそっと遠くは、越後の八百八後家はっぴゃくやごけの因縁でも、信濃川の橋の間数まかずでも
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はい御免よ孫兵衞さんお前う泣いてばかり居ちゃアいけないよ、其様そんなにくよ/\したって仕方がない、是はお前何うもその、悪い事は悪いこと、善悪よしあし共におかみは明らかにお調べなさる処だから
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし同じ三十銭でもクリームの善悪よしあしは素人にちょいと解りませんからうっかりすると悪い品物を押付けられます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
自分はちょうだいしておる。恩賜の時計は時を計るのみならず、脳の善悪よしあしをも計る。未来の進歩と、学界の成功をも計る。特典にれた甲野さんは大した人間ではないにきまっている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まねき善悪よしあしでござりまして、姫方や小児衆こどもしゅうこわいとおっしゃって、旅籠屋はたごやうなされるお方もござりますそうでござりまする。それではお気味が悪くって、さっさと通り抜けておしまいなされましたか。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「坊やに善悪よしあしが解るかしら?」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
第四十六 あゆの鮨 は大層たいそう上品な味で各地の名物になっていますがこれには鮎の善悪よしあしで非常な相違があります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「かいだって、鰹節の善悪よしあしはわかりませんよ」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その食品屋が西洋人の家から注文される時は割合に悪い品物を持って行きません。西洋人は使い慣れて品物の善悪よしあしが分りますから悪い品物はぐ突戻して受取りません。それはそれは厳重なものです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
玉子たまご善悪よしあし 春 第三十八 玉子の善悪よしあし
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
第三十八 玉子の善悪よしあし
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)