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とりつくろ
ふりがな文庫
“
取繕
(
とりつくろ
)” の例文
平次が妾のお源の神妙らしく
取繕
(
とりつくろ
)
つた顏を
顧
(
かへりみ
)
ると、お源は少しあわてて、大きく
肯
(
うなづ
)
きました。平次の推理には一點の隙もありません。
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
京都大学にある内田氏の研究室は、あの人の
室
(
へや
)
だけにきちんとしたものだが、たつた一つ
取繕
(
とりつくろ
)
はないものが中に
交
(
まじ
)
つてゐる。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
わたくしはそれをぼんやり眺めて亡父の思い出に
耽
(
ふけ
)
りながら、どうやら外出着の着物に着替えました。化粧も
取繕
(
とりつくろ
)
い、階下へ降りて行きました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
室中
(
しつちゆう
)
に
入
(
い
)
る
以上
(
いじやう
)
は、
何
(
なに
)
か
見解
(
けんげ
)
を
呈
(
てい
)
しない
譯
(
わけ
)
に
行
(
い
)
かないので、
已
(
やむ
)
を
得
(
え
)
ず
納
(
をさ
)
まらない
所
(
ところ
)
を、わざと
納
(
をさ
)
まつた
樣
(
やう
)
に
取繕
(
とりつくろ
)
つた、
其場
(
そのば
)
限
(
かぎ
)
りの
挨拶
(
あいさつ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
平田氏が一寸口をすべらしたのが
緒
(
いとぐち
)
だった。若し相手が普通の人間だったら、なんなく
取繕
(
とりつくろ
)
うことが出来たであろうけれど、青年には駄目だった。
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
成程汗みづくになつて自分ばかり働いて、娘にはほんの
上面
(
うはつら
)
ばかり撫でるやうに
捏
(
こ
)
ねさせて人前を
取繕
(
とりつくろ
)
つて置く。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
取繕
(
とりつくろ
)
ひ申にぞ次右衞門三五郎口を
揃
(
そろ
)
へて然らば其
石塔
(
せきたふ
)
へ
參詣
(
さんけい
)
致し度
貴僧
(
きそう
)
には先へ歸られ其
用意
(
ようい
)
をなし置給へと云に祐然
畏
(
かしこ
)
まり候と急ぎ立歸りて
無縁
(
むえん
)
の五
輪
(
りん
)
の
塔
(
たふ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
心安い台所女中の口からなりと引き出して署長の機嫌を取直したい……当座の不面目を
取繕
(
とりつくろ
)
いたいと、暫くの間そればっかりを気にして考え直していたが、しかし
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
尚お
能
(
よ
)
く
視廻
(
みまわ
)
すと、壁は元来何色だったか分らんが、今の所では
濁黒
(
どすぐろ
)
い変な色で、一ヵ所
壊
(
くず
)
れを
取繕
(
とりつくろ
)
った
痕
(
あと
)
が目立って黄ろい
球
(
たま
)
を描いて、
人魂
(
ひとだま
)
のように尾を曳いている。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
盗み出し、根津の清水の花壇に埋め、
剰
(
あまつさ
)
え萩原様を
蹴殺
(
けころ
)
して
体
(
てい
)
よく跡を
取繕
(
とりつくろ
)
い
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「げに親子の情二人が間に
発
(
おこ
)
らば源叔父が
行末
(
いくすえ
)
楽しかるべし。紀州とても人の子なり、源叔父の帰り遅しと
門
(
かど
)
に待つようなりなば涙流すものは源叔父のみかは」
夫
(
つま
)
なる
老人
(
おきな
)
の
取繕
(
とりつくろ
)
いげにいうも真意なきにあらず。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
と定兼君は
頻
(
しき
)
りに
取繕
(
とりつくろ
)
っていた。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
取繕
(
とりつくろ
)
つたところを見ると、紛れもありません。それは人形町で踊の師匠をして居る、有名過ぎるほど有名な女だつたのです。
銭形平次捕物控:030 くるひ咲
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
極端に云えば、
黄金
(
おうごん
)
の光りから愛その物が生れるとまで信ずる事のできる彼には、どうかしてお延の手前を
取繕
(
とりつくろ
)
わなければならないという不安があった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それで、どこかからにせ札を仕入れて来て——支那人なんかに頼むと精巧なものが手に入るといいますから——私や信者の前を
取繕
(
とりつくろ
)
っていたのかも知れません。
盗難
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
頼
(
たの
)
み傳吉が助命
願
(
ねが
)
ひしが
叶
(
かな
)
はず然ながら
種々
(
いろ/\
)
に
取繕
(
とりつくろ
)
ひ牢屋まで飯を送りしと先達て申立しが
其節
(
そのせつ
)
役人へ何を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
大方
(
おおかた
)
駒下駄の
主
(
ぬし
)
も奥の座敷に
取繕
(
とりつくろ
)
ってチンと澄しているに違ないと思うと、そのチンと澄している処が一目なりと見たくなったが、
生憎
(
あいにく
)
障子が
閉切
(
たてき
)
ってあるので、外からは見えない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
少年はわたしに向い少しバツの悪い顔をしたが、
取繕
(
とりつくろ
)
うように
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
咄嗟
(
とつさ
)
の間にお二人で相談して、刀を隱して格子戸を外し、曲者が外から入つて父上を害めたことに
取繕
(
とりつくろ
)
つたのです。それに間違ひはないでせうな
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
室中
(
しつちゅう
)
に入る以上は、何か
見解
(
けんげ
)
を呈しない訳に行かないので、やむを得ず納まらないところを、わざと納まったように
取繕
(
とりつくろ
)
った、その場限りの
挨拶
(
あいさつ
)
であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
忌々
(
いま/\
)
しく思ひ仁田村の八と云ふ
獵人
(
かりうど
)
の
宅
(
たく
)
へ
引越
(
ひつこし
)
居
(
ゐ
)
る處へ手先の
幸
(
かう
)
八と云ふ者此事を
嗅付
(
かぎつ
)
け
郡代役所
(
ぐんだいやくしよ
)
へ引行入牢させけるを
兄
(
あに
)
九郎右衞門聞
込
(
こみ
)
流石
(
さすが
)
憫然
(
あはれ
)
に思ひ
内々
(
ない/\
)
取繕
(
とりつくろ
)
ひを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
確かに狼狽を
取繕
(
とりつくろ
)
おうとしていらっしゃるのだ。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
八五郎の顔を見ると、手代徳松はちょっとイヤな表情をしましたが、物馴れた
商人
(
あきんど
)
らしく一瞬の間に
取繕
(
とりつくろ
)
って
銭形平次捕物控:128 月の隈
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
取繕
(
とりつくろ
)
ふ積りで、左近太夫樣は萩と廣島に上陸して、
毛利
(
まうり
)
と淺野の居城の繩張りから防備の樣子を見、毛利と淺野の家中に騷がれたことはお前も知つてる通りだ
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
繕
常用漢字
中学
部首:⽷
18画
“取”で始まる語句
取
取出
取縋
取柄
取除
取次
取敢
取交
取做
取付