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りょうけん
ふりがな文庫
“
了見
(
りょうけん
)” の例文
この野だは、どういう
了見
(
りょうけん
)
だか、赤シャツのうちへ朝夕
出入
(
でいり
)
して、どこへでも
随行
(
ずいこう
)
して
行
(
ゆ
)
く。まるで
同輩
(
どうはい
)
じゃない。
主従
(
しゅうじゅう
)
みたようだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ええ、皆様も御承知の通り、拙者もこれで医者の端くれでございますが、医者は医者でも、ただの医者だと思うと
了見
(
りょうけん
)
が違います」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
般若の面の男 見よう
見真似
(
みまね
)
の、から
猿
(
ざる
)
踊りで、はい、
一向
(
いっこう
)
にこれ、
馴
(
な
)
れませぬものだでな、ちょっくらばかり面をつけて見ます
了見
(
りょうけん
)
の
処
(
ところ
)
。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一体自分は、なぜ
此
(
こ
)
のように
了見
(
りょうけん
)
がふわふわして居るのだろう。
愚
(
ぐ
)
にもつかない事ばかり考えて居るのだろう。もっと心を
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自分たちの助平の責任を、何もご存じない天の神さまに転嫁しようとたくらむのだから、神さまだって
唖然
(
あぜん
)
とせざるを得まい。まことにふとい
了見
(
りょうけん
)
である。
チャンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
了見
(
りょうけん
)
が変わり上野に行って、博物館を見たり、動物園を見たり、理屈もなく遊んでしまった日もある。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
それ
迄
(
まで
)
は、これから、向島の待合に行って、芸者と遊んだ末、無理心中でもしようかという虫の良い
了見
(
りょうけん
)
も起しかけていたのですが、ハッと冷水をかけられた気が
致
(
いた
)
しました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
意気地
(
いくじ
)
なしッ、そんな
了見
(
りょうけん
)
でこれから先他人に負けずに一人前になれるか。落盤に押しつぶされた
万里
(
ワンリ
)
のことを考えて見ろ。何万とこの鉱山で殺された子供達のことを考えて見ろ。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
……そりゃア悪い
了見
(
りょうけん
)
だの、考えがちがう。……あなたを生かしておきたいばっかりに、伝四郎
氏
(
うじ
)
とやらが苦労する。それを……、それを、あなたが死んじまったんじゃア身も蓋もない。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
主人がやかましいから一応知っておかなければ、というような
了見
(
りょうけん
)
では
高
(
たか
)
の知れたものであります。好きでおもしろく、楽しんで料理をおやりになられるまで進まれるように希望いたします。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
オヤ/\
乃公
(
おれ
)
は隠して置いた酒さえも
何時
(
いつ
)
か
他人
(
ひと
)
の
尻
(
しり
)
の下に
敷
(
しか
)
れて
了
(
しま
)
うのか、と自分の運命を
詛
(
のろ
)
ったのです。詛うと言えば
凄
(
すご
)
く聞えますが、実は僕にはそんな
凄
(
すご
)
い
了見
(
りょうけん
)
も
亦
(
ま
)
た気力もありません。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
どういう
了見
(
りょうけん
)
か侍のくせに、遊女屋の主人となって、
目端
(
めはし
)
や才覚も
利
(
き
)
くところから、伏見城の徳川家へ手づるを求め、江戸移住の官許を取って、自分ばかりでなく、他の同業者にもすすめて、続々と
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな事をかくと、何だか
剽軽
(
ひょうきん
)
な
冗談
(
じょうだん
)
を云ってるようだがけっしてそんな浮いた
了見
(
りょうけん
)
じゃない。本気に
真面目
(
まじめ
)
を話してるつもりである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そんな
了見
(
りょうけん
)
でやってるんじゃありませんからね、商売でやってるんだから、当ることもありゃ、
外
(
はず
)
れることもありまさあね
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかもこのおれを疑ぐってる。
憚
(
はばか
)
りながら男だ。受け合った事を裏へ廻って
反古
(
ほご
)
にするようなさもしい
了見
(
りょうけん
)
はもってるもんか。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「この野郎、扇屋の女中部屋の
寝像
(
ねぞう
)
にでも
見恍
(
みと
)
れて、またよくねえ
了見
(
りょうけん
)
を出したとみえるな、世話の焼けた野郎だ」
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「いったいこりゃ、どう云う
了見
(
りょうけん
)
だね」と自分で飾りつけた物を
眺
(
なが
)
めながら、御米に聞いた。御米にも毎年こうする意味はとんと解らなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
頑入はお仕置のつもりであんなことをしたんだから、頑入ばかりが悪いと思っているとお前、
了見
(
りょうけん
)
が違うよ
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三下
(
みくだ
)
り
半
(
はん
)
を請求する方もその覚悟、やる方もその
了見
(
りょうけん
)
だから双方共
洒然
(
しゃぜん
)
として形式のために
煩
(
わずら
)
わされないのであります。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いや、お言葉でげす、なにもお前さんを苛めるのなんのと、そんな
了見
(
りょうけん
)
で追いかけて来たんじゃござんせん、神野の旦那に頼まれて、男ずくでよんどころなく……」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それをこの二面がいつでも偶然平らに並行でもしているかのごとき
了見
(
りょうけん
)
で、全体どっちが高いのですと聞かなければ承知ができないのは痛み入ります。
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いったいどうしようてえんだ、このおいらと、馬とを、両方から挟み討ちにして、あの竹槍で突っつき殺さずにゃ置かねえという
了見
(
りょうけん
)
か——それはいよいよわからねえ。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我々は生きたい生きたいと云う
下司
(
げす
)
な念を本来持っております。この下司な
了見
(
りょうけん
)
からして、物我の区別を立てます。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「いけません、早くお引取り下さい、お引取り下さらなければ、こちらにも
了見
(
りょうけん
)
がございますぞ」
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何の故にこんな大きな机を新調して、また何の故にその上に寝て見ようなどという
了見
(
りょうけん
)
を起したものか、本人に聞いて見ない事だから
頓
(
とん
)
とわからない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
よろしうございます、向うがその
了見
(
りょうけん
)
なら、こっちもそのつもりで、先生の御用をつとめてつとめて、ぶちこわし役に廻るのも面白うございますね、ずいぶんやりましょう
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自分の好きなものは必ずえらい人物になって、嫌いなひとはきっと落ち振れるものと信じている。おれはその時から別段何になると云う
了見
(
りょうけん
)
もなかった。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それをケチな奴等が
嫉
(
ねた
)
んで悪口を言ったのが、すなわち近江泥棒、伊勢乞食となったのだ、ひとの成功を
羨
(
うらや
)
むケチな
了見
(
りょうけん
)
の奴が、得てして真面目正直の成功人種をとらえては
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
面白かった事、愉快であった事は無論、昔の不平をさえ得意に
喋々
(
ちょうちょう
)
して、したり顔である。これはあえて
自
(
みずか
)
ら
欺
(
あざむ
)
くの、人を
偽
(
いつ
)
わるのと云う
了見
(
りょうけん
)
ではない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どういう
了見
(
りょうけん
)
か、今まで暗くしてあった大手の方へ向いた番所の室々へすっかり明りを点けて明るくしてしまい、自分はその部屋部屋を
走
(
は
)
せ
廻
(
めぐ
)
って、処分の残るものはないか
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二三分して、細君は
障子
(
しょうじ
)
の
硝子
(
ガラス
)
の所へ顔を寄せて、縁側に寝ている夫の姿を
覗
(
のぞ
)
いて見た。夫はどう云う
了見
(
りょうけん
)
か
両膝
(
りょうひざ
)
を曲げて
海老
(
えび
)
のように窮屈になっている。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
取って喰おうの煮て喰おうのという
了見
(
りょうけん
)
はございませんと言った言葉を思い起しました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「まあ議論はいいが、それからどうするのだい」と東風君、ことによると、やる
了見
(
りょうけん
)
と見えて筋を聞きたがる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あのお代官はお代官でまた極力、この自分を引留めて置きたい
了見
(
りょうけん
)
が充分にある。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
禎二
(
ていじ
)
さんが
蒲団
(
ふとん
)
の横へ来て、どうですと尋ねたが、返事をするのが
馬鹿気
(
ばかげ
)
ていて何とも云う
了見
(
りょうけん
)
にならない。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
誰が——
呆
(
あき
)
れ返っちまうな、あんまり白々しいんで呆れ返っちまうよ、現在、おいらが実地を見届けてるんだ、お前はいったいどういう
了見
(
りょうけん
)
で、あんなことをやったんだ、さあ、返事を
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「血でもってふざけた
了見
(
りょうけん
)
を洗った時に、第一義が躍然とあらわれる。人間はそれほど軽薄なものなんだよ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「与八——お前はまた、何か
了見
(
りょうけん
)
があって、特にあの場所を所望するのかね」
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ところへ寒月君が、どう云う
了見
(
りょうけん
)
かこの暑いのに御苦労にも冬帽を
被
(
かぶ
)
って両足を
埃
(
ほこり
)
だらけにしてやってくる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この胴巻ぐるみ投げ込むことに、こうしてちゃんと
了見
(
りょうけん
)
をきめてるんですよ
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その中で自分の叔父さんが一番偉いという答を寄こしたのがあると聞いてはなはだ面白く感じました。自分の親父が天下一の人物だなどは
至極
(
しごく
)
好い
了見
(
りょうけん
)
で結構です。
中味と形式
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
節
(
ふし
)
とても、繰返して申し上げるまでもなく、お聞きの通りの拙いものでございますから、とても神様をお悦ばせ申すのなんのと、左様なだいそれた
了見
(
りょうけん
)
は持っておりませんのでござりまする。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこへ持って来て、
筍
(
たけのこ
)
を三本、景気に
描
(
か
)
いたのは、どう云う
了見
(
りょうけん
)
だろう。なあ甲野さん、これは
謎
(
なぞ
)
だぜ
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたしが思うのには、お徳さんは今度は出かけられないかも知れませんわ、もしお徳さんが出かけられなければ、組の
頭
(
かしら
)
はお浪さんになってもらわなければならないでしょう、まあお徳さんの
了見
(
りょうけん
)
を
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もっとも別段社からつけてくれたという訳じゃないんだが、本人の特志で社の用事をすっぽかす
了見
(
りょうけん
)
らしい。そうしていつの間にか、ホテルへ馬車を云いつけている。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どういう
了見
(
りょうけん
)
だか知れたものではない——
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その結果だけがこう云う目的に
叶
(
かな
)
っているだけでもいっこう
差支
(
さしつかえ
)
ないのであります。我々が結婚するようなもので、何も必ず子を産む
了見
(
りょうけん
)
で嫁を貰うとは限りません。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
まあまあ
了見
(
りょうけん
)
を聞いてみての上で
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
親しき友の、わが母を、そうと評するのは、面の内側で評するのか、または外側でのみ云う
了見
(
りょうけん
)
か。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お前は
了見
(
りょうけん
)
の悪い女じゃ」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“了見”の意味
《名詞》
了見(りょうけん)
思案。考え。
(context、dated)取り計らい。
《動詞》
考えをめぐらす。
我慢する。堪える。おおめにみる。
(出典:Wiktionary)
了
常用漢字
中学
部首:⼅
2画
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
“了見”で始まる語句
了見方