だか)” の例文
「どこかツーラかオリョル県あたりがいいな。……第一に、別荘なんかは要らないし、第二に、と言ってあがだかは確かでなくちゃあね。」
富籤 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なに、本さへ出来上つたら、請合うけあつて百五十回位は舞台にのぼせて見せるさ。一回のあがだかがざつと五千フランとして、百五十回で七十五万法。
すると相応さうおうあきなひもあるから、あきなだかうちよりめて置いて、これを多助なすけあづけたのが段々だん/\つもつて、二百りやうばかりになつた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
と正吉が言う処を、立直って見れば、村の故道ふるみちを横へ切れる細い路。次第だかの棚田にかかって、峰からなぞえに此方こなたへ低い。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其時長井は自分で風呂のまきを焚いてて、実際の消費だかと帳面づらの消費だかとの差違から調しらべにかゝつたが、終日終夜この事丈に精魂を打ち込んだ結果は
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この人は見上げるほどの大兵だいひょうで、紫の打紐うちひもで大たぶさに結い、まちだかの袴に立派な大小だいしょうを差して、朴歯ほおば下駄げたを踏み鳴らし、見るからに武芸者といった立派な風采。
この坊ちゃんをわたしに売って頂戴。千円上げます。ちょうど今日中の上りだかぐらいあるでしょ。親方へ上げる妾の香奠こうでんよ。ね……いいでしょ……いけないの……。いいわ。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と思うと、かんだかい女の声が、舌のまわらない男の声といっしょになって、人もなげに、みだらな冗談を言いかわして来る。次郎は、思わず扇を腰にさして、立ち上がった。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
長い野太刀をこじりだかに差し込み、鎖鎌くさりがま前差まえざしに帯びている眼の怖い男だった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昨日のあがだかでは千五百円の大損、それに引きかえて、同所の、火除ひよけ地へ、毎夜出る麦湯むぎゆの店は百五十軒に過ぎ、氷水売は七十軒、その他の水菓子、甘酒、諸商人の出ること、晴夜せいやには
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そういって激昂げきこうしきった葉子はかみ捨てるようにかんだかくほゝと笑った。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
なんにんときとしては何萬人なんまんにんかずへられ、お賽錢さいせんだけでもなんゑんといふあがだかで、それにれていままではさびしかつた田舍道ゐなかみちに、のきならべる茶店ちやみせやら賣店ばいてんやら、これも新築しんちく三百餘軒よけんたつしたとは
私の毎日のかせだかは少いときで四五百円だつた。
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
だかみ 下をわしせ
貧しい場末の町端まちはずれから、山裾やますその浅い谿たにに、小流こながれ畝々うねうねと、次第だかに、何ヶ寺も皆日蓮宗の寺が続いて、天満宮、清正公せいしょうこう、弁財天、鬼子母神きしぼじん、七面大明神、妙見宮みょうけんぐう、寺々に祭った神仏を
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
沙金しゃきんは、またかんだかい声で、笑った。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やあ、それだがね……先刻さっきから気い付けるだか、どうも勝手が違ったぞよ。たしか、そこだっけと勘考します、それ、その隅っこの、こんもりだかとこさ、見さっせいまし、おら押魂消おったまげただ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)