野鼠のねずみ)” の例文
よるになると方々ほう/″\あるまはつて、たけのこ松茸まつたけいもいね大豆等だいずなど農作物のうさくぶつをあらしたり、ひ、野鼠のねずみうさぎなどもとらへて餌食ゑじきにします。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
味方の人影や陣々の幕すらおぼろな中では、そうした野鼠のねずみにも似た味方ならぬ人間もどこにどう潜んでいたか、決して予測はつかなかった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
船虫が蚊帳の外のゆかでざわざわさわぐ。野鼠のねずみでも柱を伝って匍い上って来たのだろうか。小初は団扇うちわで二つ三つ床をたたいて追う。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
野鼠のねずみ退治たいぢるものはたぬきく。……本所ほんじよ麻布あざぶつゞいては、このあたり場所ばしよだつたとふのに、あゝ、そのたぬきかげもない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女たちは、まだ栗鼠りす野鼠のねずみに持つて行かれないくりの実を集めたり、松をつてたきぎをつくつたりしました。そしてまもなく、いちめんの雪が来たのです。
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
私は毎朝この青年の立派な姿を見るたびに、何ともいわれぬうらやましさと、また身のはずかしさとを覚えて、野鼠のねずみのように物蔭ものかげにかくれるのが常であった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
文字の精霊の数は、地上の事物の数ほど多い、文字の精は野鼠のねずみのようにを産んでえる。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
女たちは、まだ栗鼠りす野鼠のねずみに持って行かれないくりの実を集めたり、松をってたきぎをつくったりしました。そしてまもなく、いちめんの雪が来たのです。
狼森と笊森、盗森 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「ただ、寺域は広い。伽藍がらんも多い。やるとなれば、もう一応、河尻かわじり殿へ沙汰して、これへ人数および、万全を尽さぬと、可惜あたら野鼠のねずみを逃がすおそれもある」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何年か以前に匈奴の於靬王おけんおうが猟をするとてたまたまここを過ぎ蘇武に同情して、三年間つづけて衣服食糧等を給してくれたが、その於靬王の死後は、てついた大地から野鼠のねずみを掘出して
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
日本につぽんきつね日本につぽん固有こゆうのものでやまあなんでゐます。からだ二尺にしやくぐらゐでながく、からだの半分はんぶん以上いじようもあります。食物しよくもつおも野鼠のねずみですが、人家じんかちかいところではにはとりなどをかすめることもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
しかも相手は野鼠のねずみのように素ばやい奴、兇器もことさら短刀を持って、いきなり飛びついて来たのですから。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
られたぞ」といながら一ぺんちょっとかおを出した野鼠のねずみがまたいそいであなへひっこみました。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ことにはしッこい道中師の伊兵衛や、野鼠のねずみのような黒衣くろごむれ。もう一匹もそこには見えない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城あとのおおばこの実は結び、赤つめ草の花はれて焦茶色こげちゃいろになって、畑のあわりとられ、畑のすみから一寸ちょっと顔を出した野鼠のねずみはびっくりしたようにまた急いで穴の中へひっこむ。
マリヴロンと少女 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それ全体を野鼠のねずみが心配して考へるのですから、とても命にさはるほどつらい訳です。けれどもカンがへるは、その立派なゴムぐつを見ては、もううれしくて嬉しくて、口がむずむず云ふのでした。
蛙のゴム靴 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
野鼠のねずみさん、野鼠さん。まうし、まうし。」と呼びました。
蛙のゴム靴 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
野鼠のねずみさん、野鼠さん。もうし、もうし。」と呼びました。
蛙のゴム靴 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
すると野鼠のねずみのお母さんは泣きだしてしまいました。
セロ弾きのゴーシュ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)