連出つれだ)” の例文
またうしてられる……じつ一刻いつこくはやく、娑婆しやば連出つれだすために、おまへかほたらばとき! だんりるなぞは間弛まだるツこい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
スルト同行の山田八郎やまだはちろうう男が私を助けて室外に連出つれだし、水などましてれてヤット正気にかえった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
もう少しで如何どうにかなりそうに思えるけれど、何時迄いつまでっても如何どうにもならんので、少しれ出して、又欲しそうな物を買ってったり、連出つれだしてうまい物を食べさせたり、種々いろいろしてみたが
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
かしつかはしたるが着替きかゆる時に一寸ちよつと見し懷中ふところの金は七八百兩と白眼にらんだ大膳が眼力がんりきはよもたがふまじ明朝みやうてうまで休息きうそくさせ明日は道案内みちあんないに途中まで連出つれだしてわかぎはに只一刀だいまいの金は手をぬらさずと語る聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
で、たゞもんめ連出つれだ算段さんだん。あゝ、紳士しんし客人きやくじんには、あるまじき不料簡ふれうけんを、うまれながらにして喜多八きたはちしやうをうけたしがなさに、かたじけねえと、安敵やすがたきのやうなゑみらした。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
連出つれだしけるがお富には姉と共に奉公せよと種々いろ/\いひなぐさだますかして終に吉原江戸町二丁目なる丁字屋半藏方へ身のしろ金三十兩にて賣代うりしろなし右の金子の内を三次へ五兩お定へ一兩つかはし殘りの金廿四兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ですから、大威張おほゐばりそれでなくツてはおこゑだつてくことの出來できないので、押懸おしかけてつて、無理むり材木ざいもくしげつたところをおけようとおもつて連出つれだしてたんです。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
虫が知たかお安めが二人の娘にあはしてれと晝夜をわかたず口説立くどきたてあはして遣ればお富をもうつた惡事が露顯ろけんなし内から火事を出す都合つがふ可愛想かはいさうだがお安をば何處どこかへ連出つれだし人知ず殺してくれろと頼んだことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ですから、大威張おおいばり。それでなくッてはお声だって聞くことの出来ないのが、押懸おしかけて行って、無理にその材木に葉の繁った処をお目に懸けようと思って連出つれだして来たんです。
木精(三尺角拾遺) (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それが、自分じぶんだといふのだらう。……幽靈いうれいでもいゝ、はし連出つれだしてくれないか。」
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)