トップ
>
質朴
>
しつぼく
ふりがな文庫
“
質朴
(
しつぼく
)” の例文
ジェレミアス・ゴットヘルフは、もう愛し合わなくてたがいに監視し合ってる夫婦の痛ましい状態を、無慈悲な
質朴
(
しつぼく
)
さで描いている。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それも併し、此上もなく
質朴
(
しつぼく
)
で地味な單衣に包んで、化粧さへも忘れた、お關の底光りのする美しさには比ぶべくもありません。
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いかにも厳然とした口調でいうと、
質朴
(
しつぼく
)
な百姓どもは、神財配分の恩にひれふして、きっと誓約にたがわぬことを口々に答えるのでした。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見かけはどう見直しても
質朴
(
しつぼく
)
なお百姓に過ぎないこの男、義気だか、客気だか分らないが、飛んで火に入る勇気を十二分に持ち合わせている。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして、このとき梅の花は、その中央に
抱
(
だ
)
く
雌芯雄芯
(
めしべおしべ
)
の色や、ふくらんだ
褐色
(
かっしょく
)
の
蕾
(
つぼみ
)
と調和して、最も
質朴
(
しつぼく
)
に見え、
古典的
(
クラシック
)
な感じを与えるのです。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
▼ もっと見る
東北の
訛
(
なま
)
りを感じ、
質朴
(
しつぼく
)
なその人柄に深く心を打たれたが、その山本正雄が岡田良造であったことを太田はずっと後になって何かの機会に知ったのであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
彼女はこんな女にどうしてあんな
鶴
(
つる
)
のような娘が出来たかと思われる、むくつけな婆さんであったが、それでも話の様子には根からの廊者でない
質朴
(
しつぼく
)
のところがあって
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
讀むとき程彼のよい聲が美しくまた張りのある響になつたことはなかつた——また彼の態度が
品
(
ひん
)
のいゝ
質朴
(
しつぼく
)
さの内にそんなに感銘を與へるやうになつたこともなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
酒を飲み宴を開くの風を生じ(元来
飲酒
(
いんしゅ
)
会宴
(
かいえん
)
の事は下士に多くして、上士は
都
(
すべ
)
て
質朴
(
しつぼく
)
なりき)、
殊
(
こと
)
に徳川の末年、諸侯の妻子を
放解
(
ほうかい
)
して
国邑
(
こくゆう
)
に
帰
(
か
)
えすの令を
出
(
いだ
)
したるとき
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「代地様代地様ちょっと来てくだされ」——と、玄関に近い部屋から、男の答える声がしたが、すぐに襖をあける音がして、二十八、九歳の
質朴
(
しつぼく
)
らしい、代地という武士が姿を現わした。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
其
質朴
(
しつぼく
)
愛
(
あい
)
するに堪へたり、余炉辺に
坐
(
ざ
)
し一客に
問
(
と
)
ふて曰く、是より山奥に
至
(
いた
)
らば
栗樹
(
くり
)
ありや否、余等一行
若
(
も
)
し
探検
(
たんけん
)
の
中途
(
ちうと
)
にして
飢餓
(
きが
)
に
陥
(
おちゐ
)
ることあらん乎、栗等の
果実
(
くわじつ
)
に
拠
(
よ
)
りて
餓死
(
がし
)
を
免
(
のが
)
れんとすと
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
これらも又輴哥をうたうてかへるなど、
質朴
(
しつぼく
)
の
古風
(
こふう
)
今
目前
(
もくぜん
)
に
存
(
そん
)
せり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
男の子が二人、女の子が一人あった。長男の太郎は
質朴
(
しつぼく
)
で素直で、よく家業に精を出した。二番目の女の子は
大和
(
やまと
)
の人から嫁にもらわれて、大和にかたづいた。三番目の子に豊雄というのがあった。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
しかし彼らは今の学生にない一種
質朴
(
しつぼく
)
な点をその代りにもっていたのです。当時私の月々叔父から
貰
(
もら
)
っていた金は、あなたが今、お父さんから送ってもらう学資に比べると
遥
(
はる
)
かに少ないものでした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしそれ以上に、このさり気ない
質朴
(
しつぼく
)
な武家娘が、どうして自分を見込んだかと——ふと恐ろしいような心地もしていた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
百姓のように
狡猾
(
こうかつ
)
で
頑固
(
がんこ
)
で、根は正直だが小心翼々たるところはなく、非常な働き者で快活であって、ずるい
質朴
(
しつぼく
)
さや露骨な話しぶりや財産などのために
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
極めて古風な
質朴
(
しつぼく
)
そのものでござる、人を信ずることのみを知って、疑うということを知らない、旅人に危険を与えざるのみか、旅人を愛すること、至れり尽せりですが、それだけ
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これらも又輴哥をうたうてかへるなど、
質朴
(
しつぼく
)
の
古風
(
こふう
)
今
目前
(
もくぜん
)
に
存
(
そん
)
せり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
自分が学生時代の
質朴
(
しつぼく
)
さに比べていろいろ話した。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
独立独歩と、不平家気質と、偉大にたいする軽蔑とを、彼はよく装っていたけれども、しかも富や、権勢や、名誉や、社会的優越にたいして、
質朴
(
しつぼく
)
な賛嘆の情をもっていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
月あかりを
避
(
さ
)
けているが、やつれた
姿
(
すがた
)
がかげでもわかる。年は三十五、六、
質朴
(
しつぼく
)
らしい
木綿着物
(
もめんぎもの
)
、たくさんの子供をうんだ女と見えて、大きな
乳
(
ちち
)
が着物の前をふくらましている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かえって、極めて
質朴
(
しつぼく
)
にして、好意に満ちた親切を表わしてくれました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自分
(
じぶん
)
が
學生時代
(
がくせいじだい
)
の
質朴
(
しつぼく
)
さに
比
(
くら
)
べて
色々
(
いろ/\
)
話
(
はな
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
祖父は鉛筆の大きな字体で、各章を読んだり読み返したりした日付を、書き入れていた。黄ばんだ紙片がいっぱい
插
(
はさ
)
んであって、それには老人の
質朴
(
しつぼく
)
な感想がしるされていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「見れば、
質朴
(
しつぼく
)
そうな
坂東巡
(
ばんどうめぐ
)
りの者、道にまよってきたものならば、深くはとがめないが、一
応
(
おう
)
吟味
(
ぎんみ
)
の上でなくては
放
(
はな
)
してやるわけにはゆかない。しばらくそこでひかえていろ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ドコまでも
質朴
(
しつぼく
)
な
田舎者
(
いなかもの
)
で、前髪がダラリと人のよい
面
(
かお
)
つきの広い額の上にさがっているところは、もうかれこれ
二十歳
(
はたち
)
であろうのに、どこかに子供らしいところがあり、
草鞋
(
わらじ
)
がけでかなりの道中を
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
クリストフは祖父から大人並に話しかけられるのを感謝していて、その
質朴
(
しつぼく
)
な言葉に内心動かされた。彼の子供らしい堅忍と生まれながらの
傲慢
(
ごうまん
)
とは、その言葉をよく受けいれた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
みな
艱苦
(
かんく
)
によく耐え、
質朴
(
しつぼく
)
にして
卑
(
いや
)
しからず、
気骨稜々
(
きこつりょうりょう
)
、
鷹
(
たか
)
のごとき概を感じるが、正信は、素朴にして、言語温和、人に接してかどがなく、しかもどこかにふくみのある
腹据
(
はらず
)
わりが
窺
(
うかが
)
える。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
駕籠舁
(
かごかき
)
は
海道筋
(
かいどうすじ
)
の雲助と違って、
質朴
(
しつぼく
)
なこの辺の百姓。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
すると彼は気分を和らげ、それらの人々に晴やかな顔を見せた。その上に、水上の麗かな午後、舟を
漕
(
こ
)
ぐ楽しさ、
質朴
(
しつぼく
)
な人々の快活さなどは、ついに彼の不機嫌さをすっかり消散さしてしまった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
質朴
(
しつぼく
)
な山家ことばで、その岩の近くで兄弟の虚無僧が返り討ちにされたという古い話や、この絶壁の下の渓流を星影川ということなどを、問わず語りに話してやまないものですから、二人もつい
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“質朴”の意味
《名詞》
自然のままであること。また、そのようなさま。
飾り気がなく真面目であること。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
質
常用漢字
小5
部首:⾙
15画
朴
常用漢字
中学
部首:⽊
6画
“質”で始まる語句
質
質問
質子
質素
質屋
質入
質物
質樸
質店
質実