見越みこ)” の例文
あいちやんは彼等かれら石盤せきばん見越みこせるほどちかくにたので、全然すつかりそれがわかりました、『しかしそれはうでもかまはないわ』とひそかにおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
碧潭へきたん一脈いちみやくらんきて、ゆかしきうすものかげむとおぼえしは、とし庄屋しやうやもりでて、背後うしろなる岨道そばみちとほひとの、ふとたゝずみて見越みこしたんなる。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
事実に於て世界の思潮を見越みこす事に鋭敏ですから、時にはかぢを取る為に馬鹿げた干渉もする様ですが、概して温健な推移ならば寛大に見て居る風がありますので
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
だが都会人の気の弱いものが、一たんひるがえると思い切った偽悪者ぎあくしゃになることも、小初はよく下町で見受けている例である。貝原もそれを見越みこして父に安心しているのではないか。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そう思うと、要吉ようきちはなんともいえないいやな気持になりました。商売しょうばいというものが、どうしても、こういうことを見越みこしてしなければならないものだったら、なんといういやなことだろう。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
大づかみな見越みこしを試みるならば、舟はもと内地の小さな止水しすいの上で、発明せられたものであったとしても、是が大陸の沿海地方にまで、移し用いられるようになるのは容易でありまた自然である。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
……唯吉たゞきち見越みこしたはしに、心持こゝろもち會釋ゑしやくげたうなじいろが、びんかしてしろこと!……うつくしさはそれのみらず、片袖かたそでまさぐつた團扇うちはが、あたかつきまねいたごとく、よわひかつてうつすりと
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
またるよ、とふられさうなさき見越みこして、勘定かんぢやうをすまして、いさぎよ退しりぞいた。が、旅宿りよしゆくかへつて、雙方さうはうかほ見合みあはせて、ためいきをホツといた。——今夜こんや一夜いちや籠城ろうじやうにも、あますところの兵糧ひやうらうでは覺束おぼつかない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一文字いちもんじまゆはきりゝとしながら、すゞしいやさしく見越みこす。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)