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見初
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みそ
ふりがな文庫
“
見初
(
みそ
)” の例文
「何でも、
町芸妓
(
まちげいしゃ
)
だったということだが、詳しいことは誰も知りませんよ。荻野左仲様が
見初
(
みそ
)
めて三千五百石のお部屋様に直して——」
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
菊太郎君は虎の門で女学生を
見初
(
みそ
)
めたのだった。注意を学問に払わないで妙な方面へ向ける。心得が違っているから仕方がない。
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この時宗右衛門は安を
見初
(
みそ
)
めて、芝居がはねてから
追尾
(
ついび
)
して行って、紺屋町の日野屋に入るのを見極めた。同窓の山内栄次郎の家である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
すると
本所
(
ほんじょ
)
北割下水
(
きたわりげすい
)
に、
座光寺源三郎
(
ざこうじげんざぶろう
)
と云う旗下が有って、これが
女太夫
(
おんなだゆう
)
のおこよと云う者を
見初
(
みそ
)
め、浅草
竜泉寺
(
りゅうせんじ
)
前の
梶井主膳
(
かじいしゅぜん
)
と云う
売卜者
(
うらないしゃ
)
を頼み
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
江戸
女
(
もの
)
と
覚
(
おぼ
)
しき見目うるわしき女子を
見初
(
みそ
)
め、この七年間、何ものにも眼をくれず、黄金のみ追い来りし
文珠屋佐吉
(
もんじゅやさきち
)
。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
しかし今度の場合のやうに
或
(
あ
)
る若い男が娘を
見初
(
みそ
)
めて、それを自身の両親に打明けて、さて話の第一歩が当方に向けられたといふやうな成立の婚約は
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
どこで
見初
(
みそ
)
めたものか今の奥さんに思い付かれて夢中になったらしく、とうとう子爵家へ引っぱり込んでしまった。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あいつがまだ浅草
田原町
(
たわらまち
)
の親の家にいた時分に、公園で
見初
(
みそ
)
めたんだそうだ。こう云うと、君は
宮戸座
(
みやとざ
)
か
常盤座
(
ときわざ
)
の馬の足だと思うだろう。ところがそうじゃない。
片恋
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
慙
(
は
)
じて蛇になった例は、陸前佐沼の城主平直信の妻、佐沼御前
館
(
やかた
)
で働く大工の美男を
見初
(
みそ
)
め、夜分
閨
(
ねや
)
を出てその小舎を尋ねしも見当らず、内へ帰れば戸が鎖されいた。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私は、この「服装」でスカラ・サンタへお
詣
(
まい
)
りしたわけではありませんが、私の尾行者は、どこかで私を
見初
(
みそ
)
めて、それから、この尾行を始めたものに相違ありません。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
そのお君を別にして……まさか米友を
見初
(
みそ
)
めて
附文
(
つけぶみ
)
をしようという女があろうとは思われません。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
抑
(
そもそ
)
も人間の生涯に思想なる者の
発萌
(
はつばう
)
し来るより、善美を
希
(
ねが
)
ふて醜悪を忌むは自然の理なり、而して世に熟せず、世の奥に貫かぬ心には、人世の不調子不都合を
見初
(
みそ
)
むる時に
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
友達は年久しく恋していた女をば、両親の反対やら、境遇の不便やら、さまざまな浮世の障害を切抜けて、
見初
(
みそ
)
めて後の幾年目、やッとの事で新しい家庭を
根岸
(
ねぎし
)
に
造
(
つく
)
ったのだ。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
色廓
(
くるわ
)
はつい程近く絃歌は夜々に浮き立ちて
其処此処
(
そこここ
)
の茶屋小屋よりお春招べとの客も降るほどなれど、芸道専一と身を占めて、ついぞ
浮名
(
うきな
)
も流さぬ彼女も、ふと呉羽之介を
見初
(
みそ
)
めてより
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
お
聞
(
きゝ
)
なされませ
書生
(
しよせい
)
の
千葉
(
ちば
)
が
初戀
(
はつこひ
)
の
哀
(
あは
)
れ、
國
(
くに
)
もとに
居
(
お
)
りました
時
(
とき
)
そと
見初
(
みそ
)
めたが
御座
(
ござ
)
りましたさうな、
田舍物
(
いなかもの
)
の
事
(
こと
)
なれば
鎌
(
かま
)
を
腰
(
こし
)
へさして
藁草履
(
わらぞうり
)
で、
手拭
(
てぬぐ
)
ひに
草束
(
くさたば
)
ねを
包
(
つゝ
)
んでと
思召
(
おぼしめし
)
ませうが
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ジョージ・モルガン氏、お雪さんを
見初
(
みそ
)
めたのは、勘平さんの年ごろだったが、その時卅四歳、
纏
(
まと
)
まりそうでなかなかまとまらないのでオスヒスとなって、ある晩、ピストルをポケットに忍ばせ
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
嵯峨
(
さが
)
やおむろの花ざかり、浮気な蝶も色かせぐ、
廓
(
くるわ
)
のものにつれられて、外めずらしき嵐山、ソレ覚えてか、きみさまの、袴も春の
朧染
(
おぼろぞめ
)
、おぼろげならぬ殿ぶりを、
見初
(
みそ
)
めて、そめて、恥かしの
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
徳三郎の
優姿
(
やさすがた
)
を
見初
(
みそ
)
めて、顔を
杏
(
あんず
)
のやうに
赧
(
あか
)
くした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
君を
見初
(
みそ
)
めたその
頃
(
ころ
)
の
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「仲人に行って
先方
(
むこう
)
のお母さんを
見初
(
みそ
)
めちゃ済まないが、実際の話、あれじゃ若い時が思いやられます。ヘッヘヽヽって、君のような笑い声だったよ」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そのお菊が、大名に
見初
(
みそ
)
められて下屋敷に上がることになってからというものは、人を人とも思わぬのさばりようで、さすがの私も見るに見兼ねました。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
例の
殺生石
(
せっしょうせき
)
の伝説で名高い、
源翁
(
げんおう
)
禅師を開基としている
安穏寺
(
あんおんじ
)
に預けて置くと、お蝶が
見初
(
みそ
)
めて、いろいろにして近附いて、最初は容易に聴かなかったのを納得させた。
心中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
どうかした拍子に或る一人の男を
見初
(
みそ
)
めたとする……寝ても醒めても会いたい、見たい……一緒になりたいといったような事ばかりを繰返し繰返し考え続けて行く事になると
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ウチの親玉の女狩りにもたいてい
呆
(
あき
)
れるじゃありませんか、きのう、市場でもってちょっと渋皮のむけた木地師の娘かなにかを
見初
(
みそ
)
めてしまったんですとさ、そうして、草の根を分けて
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
山だろう——このあいだの山の旅で、何か知らねえが、おんなを
見初
(
みそ
)
めて来たのだ、と与助、おかしいが笑いもならず、それにしても、いったい何しに山などへ? と胸の隅で
不審
(
いぶか
)
りながら
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
僕のところほどのことはないにしても、
謂
(
い
)
わば旧家の端くれだ。東金君のお父さんが町の大金持の娘を嫁に貰ったのでも分る。好男子だから
見初
(
みそ
)
められたのだという。
村一番早慶戦
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
野幇間
(
のだいこ
)
のような千三つ屋が、とんだ良い娘を持っていることや、その娘が、同じ町内の千両分限、米屋では神田でも屈指と言われた、出羽屋伝右衛門の
倅
(
せがれ
)
伝次郎に
見初
(
みそ
)
められたとか
銭形平次捕物控:044 お民の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「僕は一度
迚
(
とて
)
も豪いのを
見初
(
みそ
)
めかけたことがあるよ。身分が違い過ぎると諦めが早い」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
上総国
(
かずさのくに
)
勝浦一万一千石の領主植村土佐守、遠乗りの帰りお楽の茶店に立寄り、お菊を
見初
(
みそ
)
めて、下屋敷へ入れることになり三百両の支度金まで出しましたが、それほどの事が、いくら隠しても
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
嫁入りも婿取りも
諦
(
あきら
)
めていると、江戸で五番とは下らぬ大町人室町の清水屋総兵衛の倅総太郎が
見初
(
みそ
)
めて、
人橋
(
ひとはし
)
架
(
か
)
けて嫁にくれるか、それがいやなら、持参金一万両で婿に来てもいいという話だ。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「結構さ。それに社長の方で
見初
(
みそ
)
めたんだから、恋女房だ」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「あの時長男の方が安子を
見初
(
みそ
)
めたらしいのよ」
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
見初
(
みそ
)
めたって
次第
(
わけ
)
だね」
村一番早慶戦
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
初
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当