事物の底に徴するためには、世間体や、礼儀や、遠慮や、人の心を窒息せしむる社会的虚飾などを、あえて蔑視しなければいけない。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「ところが、あなたはどなるばかりじゃない、煙草までふかしておいでになる。それは僕ら一同を蔑視することになります」
罪と罰 (新字新仮名) / フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(著)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「ヘ長調の四重奏曲第二番」は不満と蔑視を報いられ、大ピアニストなるアントン・ルービンシュタインの如きは、チャイコフスキーが献じた「一つの主題による六つの小曲」に対して
といって、私は如何にして過去の凡てを蔑視し、未来の凡てを無視することが出来よう。私の現在は私の魂にまつわりついた過去の凡てではないか。そこには私の親もいる。私の祖先もいる。
ブーラトリュエルはその地方の人々から蔑視されていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
今はただ、ひそかな悩みと、自分および他人にたいする気恥ずかしい蔑視と、子供にたいする愛とだけが、なお残ってるばかりだった。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
忘れ残りの記:――四半自叙伝―― (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西欧科学を輸入した現代日本人は西洋と日本とで自然の環境に著しい相違のあることを無視し、従って伝来の相地の学を蔑視して建てるべからざる所に人工を建設した。
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える― (新字新仮名) / 太宰治(著)
相反するあらゆる党派の人々が、今まで憎み蔑視していた力のまわりに、フランスを代表してる力のまわりに、本能的に集まっていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
新・平家物語:02 ちげぐさの巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この虚偽な生活中に大なる位置を占めている、知的な全然無用なそのうえ退屈なそれらの事柄にたいして、一種敬遠的な蔑視をいだいていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
という風に見られて、そこは戦場や表方では、使い途にならない人間の捨場のように、蔑視されていた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(前略)ひっきょう、支那人がその国の広大なるを自負して他を蔑視し、かつ数千年来、陰陽五行の妄説に惑溺して、事物の真理原則を求むるの鍵を放擲したるの罪なり。
それは最もつらい苦痛だった……彼女の純潔な心のうちでは、彼から蔑視されることよりも、さらに残忍な苦痛だった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
社交界にたいする蔑視の念において、彼らは彼と意見が合わずにはいなかった。彼はグラチアが社交界を好んでるという理由で、それにたいして恨みを含んでいた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
「……なんの、寝返り者が」と、蔑視のお心すらなくはない。宮直参の諸将もまた、口々に宮へおもねる。自然、この宮将軍のお耳には、戦後の高氏の行動が、いちいち人もなげなものにみえた。
私本太平記:09 建武らくがき帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)