茶屋ちゃや)” の例文
茶屋ちゃや主人しゅじんは、家族かぞくのものをみんなやまからろしてしまって、自分じぶんだけがのこり、あとかたづけをしてからやまをおりようとしていました。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんな所でもはえが多い。みね茶屋ちゃやで生まれたのが人間に付いて登って来たものであろうか。焦げ灰色をしたちょうが飛んでいる。
小浅間 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
おんなならではのあけぬ、その大江戸おおえど隅々すみずみまで、子供こどもうた毬唄まりうたといえば、近頃ちかごろ「おせんの茶屋ちゃや」にきまっていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
五六百年の物では無い。松の外に格別古い物はない。石碑は嘉永かえいのものである。茶屋ちゃやがけがしてあるが、夏過ぎた今日、もとより遊人ゆうじんの影も無く、茶博士さはかせも居ない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
立場たてばがわりに駒止こまどめのくいがうってある葭簀掛よしずがけ茶屋ちゃやを見かけて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軒を並べているところから、これを一名なら茶屋ちゃやともいう。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかし、このきつねのはなしは、よほどまことしやかに、つたえられたものとみえ、その翌日よくじつだったか、むら助役じょやくが、茶屋ちゃやはいってくると
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みね茶屋ちゃやから第一の鳥居をくぐってしばらくこんもりした落葉樹林のトンネルを登って行くと、やがて急に樹木がなくなって、天地が明るくなる。
小浅間 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
橘屋たちばなや若旦那わかだんな徳太郎とくたろうが、おせんの茶屋ちゃや安心あんしんむねでおろしていた時分じぶんとうのおせんは、神田白壁町かんだしろかべちょう鈴木春信すずきはるのぶ住居すまいへと、ひたすら駕籠かごいそがせた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「さあ、もう一つさき茶屋ちゃやまでいったらやすませてやるぞ。そして、おまえにもべさせてやる。」といいました。
駄馬と百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この日みね茶屋ちゃや近くで採集した降灰の標本というのを植物学者のK氏に見せてもらった。霧の中を降って来たそうで、みんなぐしょぐしょにぬれていた。
小爆発二件 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さァさた、こっちへおいで、たかやすいの思案しあん無用むよう思案しあんするなら谷中やなかへござれ。谷中やなかよいとこおせんの茶屋ちゃやで、おちゃみましょ。煙草たばこをふかそ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
うまは、その言葉ことばちからて、いっしょうけんめいでくるまいてゆきました。そして、やがてその茶屋ちゃやきますと、百しょうは、茶屋ちゃやなかはいってやすみました。
駄馬と百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みね茶屋ちゃやの主人が助けて思い止まらせ、そうして臨時の切符係に採用したのだということであった。
柿の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そのころ、とうげ茶屋ちゃや主人しゅじんは、そそくさとやまりる仕度したくをしていました。さかだるのうえには、くまがいていった、かきや、またたびまでせてありました。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんの気なしにもらって飲んだお茶の水は天気のいい時はみね茶屋ちゃやからここまでかつぎ上げなければならぬ貴重なものである。雨のときはテントの屋根から集めるという。
小浅間 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
ところが、ある、こんなうわさが、茶屋ちゃややすんだむらひとから、おじいさんのみみへはいりました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とうげの、なかほどに、一けんの茶屋ちゃやがありました。まちほうからきて、あちらのむらへいくものや、またあちらのむらから、とうげをして、まちほうていくものは、この茶屋ちゃややすんだのであります。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おれ主人しゅじんは、あちらの茶屋ちゃや昼寝ひるねをしているのだ。」とこたえました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
それに、はんたいしたのは、もとよりおばあさんでした。つぎには、この茶屋ちゃややすんで、はなをながめたり、すずんだりしたむらひとたちです。それから、賢吉けんきちや、としや、正二しょうじなどの子供こどもたちでした。
青葉の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とうげうえには、一けん茶屋ちゃやがありました。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)